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新体操のほっち(7) 「ちっちゃいほっち」をいつも隣に
~自分を客観視してくれた大切な相棒

新体操のほっち(7)  「ちっちゃいほっち」をいつも隣に~自分を客観視してくれた大切な相棒
authored by 坪井保菜美新体操元日本代表

 みなさんこんにちは、新体操の坪井保菜美です。今回で第7回目の連載となります。気付くと2018年もあと4カ月...時間が経つのが早すぎる! 同じように過ぎていくこの時間を、うまく使えているかな?と見直すことが多々あります。うまく使えている時と、そうでない時。またなぜこうした変化が生まれるのか。そんな日々変化のある自分を受け入れながらも、その日その日の過ごし方に工夫があるといいなぁと感じる今日この頃です。

 そしてみなさん聞いてください! そんな工夫ある生活を!と言っている私に最近大きな変化がありました。それは、引越しです! 引越し、みなさんも経験あるかと思いますが、簡単なことではないですよね。すんごい大変。今だに片付きません^^;

 また面白いことに、今まで持っていた家具や棚が、微妙なサイズ違いによって新居には見事に合わないんです。あと数ミリなのに!というズレばかり。コンセントの位置まで・・あっちもこっちもぬぉ~って感じ。笑 まぁ、引越しは気合ですね。

 まだまだ片付くまでに時間はかかりそうですが、気分が一変し、良い気の通りを感じています。それこそ家具の配置など工夫しながら頑張るぞーー

さて今回は、自分を「客観視」する、自分を「コントロール」することの大切さについて、お話を進めていきたいと思います。

心と身体のバランスに乱れ...自分には何が足りないの?

 前回は、私の中で一番過酷だと感じた「仲間=ライバル」についてお話をしました。心が折れそうになっても、家族の支えがあったことで、世界を目指したい!という初心の気持ちを取り戻すことができました。どんな状況でも、凛とした姿勢で立ち向かっていかなければならない強い気持ちを常に持っていなければ、同じことの繰り返し。

 以前にもお話ししましたが、どんな感情であろうと曲が鳴れば笑顔で踊り、観ている人に個々の気持ちは関係ない。この気持ちの切り替えが難しく、心と身体のバランスに乱れが生じていました。そんな自分には何が足りないのか、何が必要なのか。

コーチからはよく、自分を客観視しなさいと言われていました。常にもう一人の自分を横に置くようにと。初めはよくわかりませんでした。しかしそれは、経験と共に理解できてくるものだと感じたのです。自然と自分をコントロールする力が身に付いていったのを実感しました。不思議と冷静になれる瞬間が増えていき、自分のことでいっぱいいっぱいになっていた頃を思うと、自分のことも含め周りの様子を伺える心の余裕さえ出てきました。

 そう、私たちは団体。チームスポーツである以上、自分のことばかりになっているようじゃメンバーとしてふさわしくないということ。

 もう一人の自分と会話をし、気持ちの整理、身体や心のコントロールをしながらこの環境と立ち向かっていく。自分を客観視することで、私は一人じゃない、そう思えるようになりました。自分には常に味方がいる!と思うことができ、心強さを感じられたのです。

メンバーを入れ替えて演技の練習を何度も繰り返し、レギュラーを決めていく(右から2番目が私)

 私たちは数カ月に一度、唯一家族と過ごせる帰省がありました。岐阜へ帰る前日が楽しくて楽しくて。しかしそんな楽しい時間も束の間。東京へ戻る時間が迫るにつれ、腹痛が...といった具合。

 東京行きの電車の扉が閉まる瞬間まで家族と離れるのが寂しく、涙が出る出る。なかなかこの切なさに慣れるまで、時間がかかりました。いつも岐阜へ帰るときは、東京→岐阜までの片道切符しか購入していませんでした。それがいつしか往復切符を買うようになったとき、母は大きな成長を感じたと話します。確かに、ホームシックが続く毎日でしたが、気付いたときには涙の数も減っていたように思います。

 今やるべきことを理解し、自分の置かれている立場を自覚していったのだと思います。自分の感情を表に出すのが苦手で、なおかつ印象のあまり良くない当初の私。損をするタイプだというのも実感してました。慣れるまでに時間のかかる人間だと。でもこれでいいと思ってはいけない世界にいた以上、何かを積極的に変えていかなければ団体メンバーとして付いていけませんでした。

もう一人の自分と喧嘩したり慰められたり

 この何かとは。私が思うに、当時、今とは全く別人の自分がいたのではないかと思うのです。キリッとしていて(←自称)性格もきつかったと思います。逆に今は、ふわふわしています。これじゃ潰されます(笑)。

 いやそれとも、キリッとふわっとのオンオフを切り替えていたのか!? 兎にも角にも、今思えばよくこの世界にいたなと(笑)。

 これをお話すると変に思われがちですが、自分の周りには色んな思考を持った私がいるのです。例えば、誘惑に負けそうな自分に対し指摘する自分。逆に、この誘惑に共感する自分。そういうときは、自分に甘くなります。

 何かを選ぶとき、もう一人の自分が相談相手になります。なのでよく一人で喋っているときがあります。笑 自分と意見が合わないと喧嘩することもあります。そんなときはとてもイライラします。それを慰めてくれる自分もいます。

 こんな感じで、ちっちゃいほっちが周りに常に存在することで、冷静に、より的確な判断が出来るようになりました。おそらく皆さんも、この感覚とは言わなくとも何かを考えるとき、自分の心と相談しながら決断することあるのではないでしょうか。

最終的に決めるのは自分

 もちろん、他人に相談するのも大切です。自分の中にはない回答もあるので、とても参考になります。否定的にならず、この人はこういう考えを持っているのかと、色んな意見を聞き入れた上で判断するのが、良い方向へ繋がるのではないかと思っています。そして最終的に決めるのは自分。自分を信じるというのは大切ですね。

 今回はあまり競技には触れず、精神面や心のコントロールについて多くお話しさせていただきました。自分を俯瞰することで、自身はもちろん自分以外の人間も見ることができる。周りの様子を見て行動し、冷静な対応ができるようになれば、チームとして必要な存在になれると自覚することができた。それからどんどん自分のメンタル面が強化されていくのを感じられ、競技にも生かされていったのです。

 さて次回は、このメンタルがどう競技に繋がったのか。また、オリンピックに向けてレギュラー争いからどう進展していったのか、についてお話しさせて頂きたいと思います! 連載第7回目、読んで頂きありがとうございます。次回もどうぞよろしくお願いしますっ⭐︎