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【PR】Special Interview――
宇宙飛行士 山崎直子(東京大学:1993年工学部卒業)
大学で何を学ぶべきか。

【PR】Special Interview――宇宙飛行士 山崎直子(東京大学:1993年工学部卒業) 大学で何を学ぶべきか。
Text:東 雄介、志村 江 Photo:松谷靖之

各業界の第一線で活躍する3人に、今の仕事の礎となる、大学時代に身につけた力をうかがった。

山崎直子さん――
基礎を統合する力。あらゆる多様を受容する力。

山崎直子(やまざき・なおこ)
東京大学工学部航空学科卒業、同大学航空宇宙工学専攻修士課程修了。1996年からNASDA(現JAXA)勤務。2010年4月、スペースシャトルディスカバリー号で国際宇宙ステーションの組み立てに従事。JAXA退職後は、内閣府宇宙政策委員会委員、日本ロケット協会理事、同協会のプロジェクト・宇宙航空男女共同参画活動「宙女―sorajo」委員長などを務める。

 私が卒業したのは、東京大学工学部航空学科です。計算機工学、構造計算、熱収支計算など、工学の基礎をとにかく徹底的に学びました。今でこそ人工衛星を造るといったプロジェクトを通じて、大学生のうちから実践的な研究ができる機会もあるようですが、私の学生時代はアカデミックな講義の受講がほとんどでした。とはいえ、基礎を学んでおしまいではありません。そうした基礎となる知識を組み合わせ、宇宙船を動かすためのシステムをまとめあげる作業が、航空学科での最大の学びでした。

 例えば、構造計算が成り立っていても、熱設計とのバランスが取れていなければ宇宙船としては未完成です。個別に設計したシステムの組み合せを試行錯誤して、何十回も失敗を重ねて初めて、ようやく宇宙船として成り立つシステムをみつけ出せるのです。試行錯誤の大切さや、視野を広げて違う観点からも検討する、そうすると解に近づけることなどを学生時代に学びました。

 その後の私の仕事に直結したのは、まさに、そうした個々の要素を"1つに統合する経験"でした。JAXAの技術者時代、国際宇宙ステーションのためのシステムインテグレーションに携わりましたが、さまざまなメーカーの技術や材料といった要素を集めて開発する過程で、学生時代の経験が大変役に立ったわけです。

 宇宙飛行士に認定されてからは海外で、陸上サバイバル訓練や船外活動の方法などの訓練を受けました。訓練開始間もなく、アメリカ人のパートナーとロボットアームの操作訓練を行ったときのことです。パートナーが手順書を読み上げ、私が操作をするという役割分担で、作業はスピーディーに終了。にもかかわらず、インストラクターからの評価は大変低いものでした。理由は、私とパートナーとのコミュニケーション不足ということでした。「作業はすばやかったが、あなたがきちんとパートナーの指示を聞き入れ、自分自身の行動予定などを伝え、十分なコミュニケーションを経たうえで完了できたのかは不明である」と。本来は、私からパートナーに対して、一つひとつの動きを言葉で伝えて確認する必要があり、パートナーは私の操作に疑いがあれば即、その場で操作を止めなくてはいけなかったのです。仲間と意思疎通するには、私が考えていることを通常の2~3倍の分量で言語化・発信する必要があって、"あ・うんの呼吸"ですべてが通じ合う環境ではないということを、このとき痛感しました。宇宙飛行士としての訓練、地上での技術支援業務などにおいて、国籍や言語、文化的背景、さまざまな学問分野の専門知識などのあらゆる多様を受容し、連携し合うことが、宇宙開発の仕事に携わるということなのです。

 これからの社会では、産業や教育などいろいろな業界において、異分野間のインテグレーションが求められていくでしょう。われわれは、世の中の先を見越し、環境変化に強くなっていかなければなりません。それには、多様な視点、多様を受容する力、そのなかでの意思疎通が必要です。私は宇宙開発の仕事を通じて、"多様"に触れる機会を多くもちましたが、これから社会に出られる方々は、大学生のうちに、さまざまな多様を感じておくことが大事になるのではと思います。

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