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食べる幸せ 広げたい!(3)野菜を楽しく学び、おいしく食べる
~女子大生の食育事業@ハピべジ

食べる幸せ 広げたい!(3) 野菜を楽しく学び、おいしく食べる~女子大生の食育事業@ハピべジ
authored by お茶の水女子大学 Ochas

 「野菜を食べましょう」。そんな風潮がすっかり根付いた現代の日本では、普段の食事で野菜を選ぶこと、またコンビニやスーパーでも野菜ジュースやカット野菜が並んでいるのを目にすることは、もはや当たり前の光景となりつつあります。

 では、なぜ私たちは野菜を食べるのでしょうか。健康にいいから、文化だから、好きだから、食卓に出てくるから...と、答えは三者三様かもしれません。これらの「野菜を選択するための視点」を広げ、野菜に楽しく親しみを持ってもらうことが、私たちが参加した食育事業――『ハピベジ』の意義であると思うのです。

「野菜を食べてしあわせに」モットーに賛同

 『ぶんきょうHappy Vegetable大作戦』、通称『ハピベジ』は、平成24年から文京区で毎年行われている、野菜の食育を中心としたイベントです。食育というのは、大きくとらえると健やかな食環境づくりのための教育のことをいいます。私たちが文字を読み、数字で計算することで生活が豊かになるように、食育で得た知識が元となって、毎日の生活を豊かにする食生活を選択できる...このように考えると分かりやすいかもしれません。

 私たちOchasは、「野菜を食べてしあわせになろう」というハピベジのモットーに賛同し、様々な視点から野菜の楽しさを伝える側として毎年参加しています。そこで、今回の記事では、このハピベジを通してOchasがどんな食育を行ったのかを紹介します。

 まず、ハピベジの特徴として、子どもから年配の方まで層が幅広いことが挙げられるので、伝える方法として①模造紙と展示 ②レシピ付きリーフレット ③パネルシアター を選びました。

 模造紙では、普段使っている野菜について深く掘り下げるとともに、「こんな使い方もあるんだ!」という気付きを与えられるような媒体を作成しました。野菜は体にいいと言われるものの、なぜ良いのか、また上手く普段の食事に取り入れるためにはどうすればいいのか...と思っている皆さんのために、私たちからヒントを提供させていただきました。

 スイーツを作っているチームは野菜入りのスイーツレシピを、野菜を作っているチームは作物の効能を...というように、紹介方法は得意分野に合わせて夏野菜の栄養素やハーブの効能、野菜を使ったスイーツなどを、カラフルな厚紙と実際の写真を見せるというもの。すると、お客さんが興味を持って聞いてくれるので質問にお答えするのですが、こちら側も学ぶことが多いくらいでした。ニーズがあるぶん、私たち紹介する側が正確にわかりやすく情報を伝えなくては、と食育に関わる者として身が引き締まる思いになりました。

世界の文化知り野菜の意外な使い方を発見

 次に紹介するのは、トマト、とうもろこし、ナスにおける国ごとの野菜料理。普段私たちが料理をするとき(または食べるとき)には、つい「いつもの味」、例えばナスだったら田楽やマーボー茄子など、家庭で慣れたものや文化的に根付いているものを想像してしまいがちです。しかし、国ごとの文化と調味料の違いによって、同じ野菜から全く違う料理ができると考える機会はあまりないでしょう。

 そこで、世界の文化を知るとともに野菜の意外な使い方を発見できる機会を設けられたらと思い、世界の野菜料理を紹介することになりました。お客さんと話していると、「知らなかった!」という声も多いのですが、「私、これはお店で一度食べたことがあるわ~~美味しかったのよ!」「トルコに旅行に行ったときにね...昔の話だけど(笑)」と、野菜が思い出の味になっている話も聞けました。皆さんが持っている鮮やかなエピソードと野菜料理が繋がっていることを知った私は、Ochasの紹介によって食べたことの記憶を思い出せたのかな、と少し嬉しく思ったのです。

 また、「これ、美味しそうだね。簡単そうだから作ってみようかしら...」と、新たな発見もしてもらえたようでした。レシピのリーフレットもOchasから配布していたので、野菜に対する興味と料理のレパートリーが増えるきっかけになっていたら、やった甲斐もあるなあ、と内心で喜ぶメンバーたち(笑) もし今日の夕飯に見たことない料理が出てきたら、Ochasが紹介した外国料理かもしれませんね!

「これは何の野菜の花?」野菜が育つ過程も学ぶ

 また、葉や花といった実になる前段階の写真を見て、その野菜を当ててもらうというクイズも行いました。私たちがよく見る野菜の姿は、スーパーに並ぶものや調理済みのものが多く、農作業や家庭菜園をしたことが無ければ、どういう過程で野菜が育つのか知らない方も多いでしょう。そこで、より深く野菜のことを知り、親しみを持ってもらうために、このクイズを作成しました。

 せっかくですので、一番正答率の低かった問題をこちらでも紹介します!この花は皆さんもよく食べている野菜の花なのですが、何の野菜でしょうか。

 なんと、これはジャガイモの花なのです!普段食べているのは「地下茎」という部分なので、滅多に見ないですよね。「ジャガイモに花がある」ということすら考えたことない方も多いかもしれません。驚かれるお客さんが多い中、「北海道に行ったときに知った」という強者も(笑) 他にも、「ニンジンの花がカスミ草みたいで綺麗ね!」という奥様から、「ぼく、トマトを保育園で育ててたから、この花は知ってるよ!」という元気な男の子まで、幅広い年齢層の方が野菜の元の姿について考えてくれたように思いました。このように、毎日のように目にしているはずの野菜ひとつをとっても知らないことがたくさんあるので、食育をする側の私たち自身も、ちょっと立ち止まって野菜に興味を持ちたいものです。

こうした展示を見るのが難しい小さな子向けに、Ochasでは「ほねくんと野菜スープ」というパネルシアターも行いました。

 内容は「体に良い野菜を好き嫌いせずに食べよう」というもので、お話の中で野菜の良いところを学びながら、野菜を食べる意欲を自然に引き出せるように工夫してあります。Ochasのメンバーが明るい声でセリフを読んでいくと、集まってくれた子たちはすっかりパネルに釘付け! 身振り手振りと掛け声では、みんな一緒になって声を出して盛り上がってくれたようで、嬉しかったです。

家庭全体の食環境について考えてもらえれば

 これを見てくれたお子さんが「今日、野菜のお話を見たから、野菜スープを食べてみよう!」と思ってくれるだけでも、食育を行った意義は十分すぎるくらいです。しかし、同時に一緒にいた親御さんの意識を高めることも、食育を考える上では大切なポイントです。会場にいる皆さんに参加を促すことで家庭全体の食環境について考えてもらい、更には自分の食卓でもお子さんに「野菜を食べさせよう」と勧められるようになることが、食育を普及させる有効な方法であると考えています。私たちも、食べることの楽しさを伝えていけるように、日々考え、おいしいものを深く追求していきたいと思いました。

 このハピベジでは、Ochas以外にも多くの団体が関わっています。高校や自治体がブースを出したり、周辺の飲食店が野菜メニューの割引を行ったりするなど、野菜を楽しく学び、そしておいしく食べるためのヒントがたくさん詰まっています。区をあげて行っているプロジェクトなので、「真面目なイベントなのかな?」と身構えず、誰でも気軽に参加できるのが魅力です。

 今回の記事を見て興味を持ってくれた方は、来年ハピベジに足を運んでみてはいかがでしょうか。皆さんも、最近食べた野菜について、もう一度深く考えてみると面白い発見があるかもしれませんね♪ お読みいただきありがとうございました。