秋冬のインターンシップは行くべきか?
就活教室 内定者座談会(1)
10月に入り、大学構内でも就職ガイダンスが頻繁に開催されるようになってきました。これから本格的に就活を進める大学3年生・修士1年生はどのように選考に向けて準備を進めればいいのでしょうか。今年内定を獲得した大学4年生3人に選考までの準備、選考突破のコツ、乗り越え方などを座談会形式で話してもらいました。3回に分けて紹介します。第1回はインターンシップについてです。
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Aさん(女性、私大文系、内定6社、入社予定=政府系金融、他の内定先=総合商社など)
Bさん(女性、私大文系、内定1社、入社予定=機械)
Cさん(男性、公立大文系、内定10社、入社予定=リース、他の内定先=生命保険など)
――就活を終えた感想は?
Aさん 長かったです。3年生の6月からインターンシップの応募が始まり、就活を終えたのが4年生の6月上旬。1年間にわたって就活を続け、自分の成長にはなりましたがとても疲れました。
Cさん自分の納得のいく形で就活を進めて、終了できたので満足です。3年生6月から様々な業界のインターンシップに参加し、自分の興味のある業界を考えて、1月頃に金融とITに絞りました。そして早い時期に1社は内定を得ようと早期選考している企業を受け、4月下旬から5月上旬に数社から内定をいただくことができました。それ以降は、本当に行きたい企業を10社ぐらいに絞り、4年生の6月上旬に就活を終えました。
Bさん 4年生の春に3週間の教育実習が予定されていたのですが、具体的な日程がなかなか決まらず、実習期間がいつになるのだろうかという不安を抱えながら取り組んでいました。最終的に日程が決まったのは3年の3月でしたが、早め早めに行動することを心がけて、入社先からは5月下旬に内定をいただきました。6月の実習期間中は平日に選考を受けられないので、土曜・日曜日に受けた企業もありました。
OB・OG訪問より濃い内容の情報を入手
――インターンシップの参加状況はいかがですか?
Bさん 20社ぐらい参加しました。夏はインターン選考をあまり通過できず、気持ちが落ち込みました。でも今振り返ると、夏に選考を通らなかったことで反省材料を見つけられ、秋・冬のインターンや本選考はうまくいったので、結果的には良かったと思っています。
Aさん 夏から冬にかけて15社ぐらいのインターンに参加し、印象に残っているのは総合商社のインターンです。研修施設での合宿型で、社員の方にじっくりと話を伺うことができ、OB・OG訪問をするよりもかなり濃い内容の情報を得ることができました。自分の仕事への適性を考えるきっかけにもなりました。
Cさん1dayインターンも含めると25社ぐらい行きました。インターンで一番役立ったのは選考を受けたことです。面接やグループディスカッションを何社も受けていくうちに、自分の受け答えが良くなっていくのが顕著に分かりました。例えば、面接では最初の頃は考えてきたことをいかに伝えるかということに力が入っていてうまくいきませんでした。でも、慣れてくると言いたいことのポイントをどのように相手に伝えればいいのかが分かり、面接担当者とコミュニケーションが取れるようになりました。
――インターン参加による"優遇"はありましたか?
Bさん 入社先はインターン参加者限定の選考ルートで内定をいただいた企業です。2~3月に5日間のインターンに参加したところ、終了後に人事担当者から一般学生とは別の選考ルートで受けられる連絡をいただきました。自分が希望する部署のリクルーターを紹介していただき、面談を重ねて企業への理解が深まり、志望度が上がりました。
Cさん 選考らしい選考を受けずに、内定をいただいた企業がありました。その企業は夏のインターン終了後に毎月1回程度、人事担当者と面談をしました。志望度や他社の選考状況などを聞かれ、それほど気負わずに話していたら4月下旬に内定の連絡がありました。
――学生から見て評価が高いインターンはどのようなものですか?
Aさん社員と直接話せるプログラムはいいですね。商社のインターンはグループワークのとき、各グループにメンターとして担当者がついてくれて、気になったことをなんでも質問できました。
Cさん IT企業で社員と机を並べて、実際の業務に携わったインターンが印象に残っています。5日間のプログラムでしたが、仕事の具体性や社内の雰囲気が明確になり、企業のイメージがアップしました。
Bさん グループワークやグループディスカッションは学生に課題を与えるだけでなく、社員が評価やフィードバックをしてくれたり、学生同士で良かった点などを言い合ったりするようなプログラムが良かったです。社員からフィードバックされると、学生をちゃんと見てくれていたのだなと感じます。
大学のテスト日程との重複には要注意
――社員との接点が多いインターンは評価が高いのですね。逆に評価が低いインターンはありましたか?
Bさん 結論を出すのに非常に時間がかかるような重い課題が用意されているのに、設定された時間があまりにも少なく、学生のことを考えていないのではと感じるプログラムがありました。社員同士で事前に試してみれば、かかる時間は想定できるはずです。しかも、私が参加する前に同じインターンを数回実施済みで、学生がうまくいっていないことが分かっているはずなのに改善されていない。ちゃんと考えていないという印象を持ちました。
Cさん ある金融機関のインターンです。大きなホールに学生100人ぐらいが集められグループワークをしたのですが、運営を就活関連の業者に丸投げで、会場には社員がほとんどいませんでした。学生からすると少し残念なインターンだと感じました。
――これからの時期、秋・冬インターンが行われますが、参加の注意点はありますか?
Bさん 大学の授業もあり、学業との両立は大変です。私は冬に5日間のプログラム2社に参加したのですが、大学のテストやレポートのスケジュールと重なり、スケジュール管理には本当に苦労しました。インターンの面接を受けることは本選考の対策になるので、それには行くべきだと思いますが、興味がそこまで高くない企業であれば、選考は受けてもインターンには参加しなくてもいいかもしれません。
Aさん 人気企業など選考が複数回あると、本当に選抜された学生が集まります。参加すれば周囲の学生から刺激を受け、自分のモチベーションアップにもつながります。一方、webテストやエントリーシートの提出だけで参加できるようなインターンは学生のモチベーションに差があり、得られることが少ないなと思ったこともありました。
夏のインターンは適性業界が分からなかったため幅広く参加しましたが、秋・冬の時期になると業界が絞られ、本選考に向けての情報収集と仲間づくりのために応募企業をしっかり選んで参加しました。さらに、秋になると外資系企業などの選考が始まりますので、面接に慣れることが目的ならば、この時期からそういった企業の本選考を受けてもいいかもしれません。
(日経HR・町田真寿)
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次回は志望業界・企業の選び方や情報収集のやり方、就活で苦労したことなどを解説します。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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