日本経済新聞 関連サイト

OK
career-働き方

ホンネの就活ツッコミ論(80)就活ルール廃止で長期化も?
~長期化vs.短期化のはざまで

ホンネの就活ツッコミ論(80) 就活ルール廃止で長期化も?~長期化vs.短期化のはざまで
authored by 石渡嶺司大学ジャーナリスト

 今回のテーマは「就活ルール廃止と期間の長短の是非」です。10月9日、経団連は就活ルールは2021年卒から廃止することを決定しました。その後は政府主導による枠組み作りが検討されています。

 この就活ルール廃止により、就活期間が長期化するとの懸念も出てきました。一方、就活期間が短くなればなったで短期化批判が出てきます。では、学生にとって就活は期間が短い方がいいのでしょうか、それとも長い方がいいのでしょうか?

2000年代には長期化批判

 就活の時期は2000年代に入り、何度か変更になっています。1996年に就職協定が廃止。翌年の就活(1998年卒)からは毎年1カ月程度、前倒しになっていきます。そして、2000年代前半には「3年生10月に広報開始・4年4月に選考開始」というスケジュールが定着。これが、2012年卒まで続きます。

 学生によっては夏休み期間のインターンシップもあり、長いと1年近く就活を続けることになっていました。そのため、大学側からは就活の長期化批判が続出します。学業への阻害、という話が言われるようになったのもこの時期です。

2013年卒・2017年卒の変更では短期化への弊害を指摘

 学業阻害との批判が強くなっていったため、2013年卒では、広報解禁を3年生10月から3年生12月へと変更します。それまで広報期間は6か月だったのですが、それが4か月となりました。

 2016年卒は広報解禁が3年3月、選考解禁が4年8月となり、広報期間は5か月と、1か月延長になります。が、夏休み時期の就活は学生には過酷すぎる、との理由から、2017年卒は選考解禁が4年6月となりました。広報解禁は3年3月で変わらないため、広報期間は3か月と戦後の就活史上、もっとも短くなりました。

 このため、2013年卒・2017年卒の期間変更では広報期間が短すぎて学生はゆっくり企業を選べないとの批判が出てきたのです。

大学関係者のホンネは「3年秋か冬開始がちょうどいい」

 今回の経団連による就活ルール廃止を安どした思いで聞いたのは意外にも大学関係者です。当初は学業阻害と批判し、就活期間を短くするよう、企業・経団連側に強く求めました。大学側の要求もあって、激論の末に2013年卒・2016年卒の就活時期変更に至ったのです。

 が、いざ、変更してみると、企業研究を全くしない学生が続出。いくら売り手市場とは言え、就活を甘く見すぎています。しかも、内定を複数取れる学生とそうでない学生の二極化がさらに加速。大学側からすれば、内心では、就活期間の変更・短期化を後悔する意見が強かったのです。

 そのため、長期化などの懸念を口にする大学関係者にも、匿名だからと念を押すと、「経団連が就活ルールを廃止してくれて良かった」との意見が強いのです。

ずっと就活だけなら問題だが

 広報期間が短期だと学生の企業理解が進まず、内定が取れても早期辞退、あるいは入社後の早期離職につながりやすい、と言われています。一方、長期間だと、内定辞退・早期離職のリスクは減っていきます。その代わり、期間にもよりますが、大学の学業や学生生活には影響があるでしょう。

 では、就活、特に広報期間は短期と長期、どちらがいいでしょうか。上記のように、それぞれ一長一短があります。ただ、学業への影響や学生生活は時間の使い方次第でどうにかしている学生が大半です。

 私は広報期間については現状の3か月は明らかに短く、5か月ないし6か月。インターンシップも含めれば7か月ないし8か月程度が適当、と考えます。

広報期間が長期でも学業との両立を

 大学側は就活時期・期間の変更によって広報期間の短期化による弊害を思い知ったはずです。それならば、学業と就活、両立する方法を考えていく方がより建設的ではないでしょうか。

 就活ルールが廃止になったのですから、たとえば広報解禁の前でも学内企業セミナーの開催数を増やす、あるいは、3年生秋から冬にかけては、大学の構内開放時間を延長。夜8時~9時くらいまで空けておき、その時間で就職ガイダンスや各種セミナーなどを開催するように変える、などです。

 経緯はどうあれ、経団連は就活ルールを廃止しました。政府主導とは言え、今後、色々と変わっていくことには違いありません。であれば、学生のために何ができるのか、大学側も含めて検討していけば、広報期間が長くなっても学業との両立は可能になっていくのではないでしょうか。