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ハーバードと日本の架け橋(8)異文化に対する向き合い方
~違いをポジティブに受け入れることから

ハーバードと日本の架け橋(8) 異文化に対する向き合い方~違いをポジティブに受け入れることから
authored by HKIC

 HKICは「米国ハーバード大学と慶應、東大を始めとする日本の大学との交流をもっと盛んにしたい」という想いから、HCJI(Harvard College Japan Initiative)の支援を受けて、2015年に創設されたハーバード大生と日本人学生による少人数の合宿型国際交流プログラムです。実際のプログラムは8月に大成功を収め、無事にHKIC2018は幕を閉じましたが、まだまだお伝えしたいことは尽きません。

―― 教室では学べない

今回の勉強会を開催するにあたり、ハーバード大学院を修了され、プロフェッショナル・ネットワークのInProGroupの代表でありアメリカ、中国、インドにもネットワークをお持ちの藤村様とノースウェスタン大学でMBAを取得され、Hofstede Insights Japan取締役の間瀬様にご登壇いただきました

 今回はHKIC2018開催に先立って行われた勉強会の様子をリクルート担当の久保田佳乃がお届けしたいと思います。グローバル化という言葉がもう当たり前のことのように使われる現代において、もはや「異文化理解」は日常の様々な場面でなくてはならないものになってきています。しかし、私たちは真の意味で「異文化理解」という言葉を理解できているのでしょうか?

 私にとっての異文化理解とは、今まで教室の中でしか教わっていなかった言葉でした。しかし、それが実際にHKIC2017に参加した際、初めて国籍やバックグラウンドの違う人と1週間過ごす中で、「異文化理解」は単に知っているだけでは不十分で、自分が触れて初めて理解できることだと感じたのを覚えています。特に衝撃だったのが食事の場面でした。今まで異なる宗教観のために食文化が異なることは知っていましたが、実際に彼らに出会うまで私は本当の意味で理解できていなかったのかもしれません。

―― 文化は「心のプログラミング」

文化をプログラミングと捉えることには驚きましたが、フレームワークを学ぶうちに納得していきました。みんなメモを取るなどし、積極的に学んでいました

 さて、みなさんは「異文化理解」と聞いて何を思い浮かべますか? 母国語以外でコミュニケーションをとる、違う国の文化や伝統を知る等、身近にできる異文化理解はたくさんありますが、それがどのようなフレームワークに基づいてなされるものか考えてみたことはありますか? 今回の勉強会では、「真の異文化理解」をするために、実際に米系戦略コンサルファームで活躍されていた経歴を持っていたり、国内外でマーケティングの経験をお持ちで、現在もグローバルにご活躍されている2名をファシリテーターとしてお迎えをして、ワークショップ形式での学習を行いました。

 私たちは知らないうちに、心がプログラミングされ、あるグループを他のグループから区別するようになっているのだそうです。そして、それが文化として私たちの身に付いていくのです。また、同じ文化を共有していると思っていても、文化はプログラミングされる場と集団は年齢によっても変化しますし、人それぞれ複数の異なった集団からの文化的な影響を受けてきているということを私たちは理解しなければなりません。何より、当たり前のことでありながらつい忘れがちになってしまうのが、文化は相対的なもので、そこから生じる価値観を良い・悪いというものさしで測ることはできないということです。お二人には普段曖昧にしか捉えることができなかった文化という価値観に改めて正面から向き合う大切さを教えていただきました。

―― 異文化に向き合う

異文化理解を深めるために用意していただいたゲームでは、相手との疎通に苦戦しながらも一生懸命伝えようとする姿が目立ちました

 実際のワークショップでは価値観の違いが原因で起こる違和感や疎外感などの感情を体感するゲームも行いました。そこで、参加者にゲームの感想を聞いてみたところ、相手と良し悪しの判断基準やその結果のふるまいが全く違うことに戸惑いながらも、ワークショップを通じて、現実に異なるバックグラウンドで育った人と初めて何かを作る時や仕事をする時には、このような条件なのかもしれないと感じたと話してくれました。さらに、HKIC終了後に、実際にプログラム中に「異文化理解」について考えることがあったかと聞いてみたところ、ハーバード生と1週間過ごす中で、様々な場面で価値観が違うことに戸惑う一方、お互いに対して負の感情を持つことはなかったとも話してくれました。

 最初から違うということをポジティブなものとして受け入れて、理解し合うために相手と対話する、相手の話を聞くことは日本の学生にとってもハーバード生にとっても苦ではなく、対等に打ち解けるために必要なことだと気が付けたそうです。また、ワークショップの中でお二人からは日本人として「異文化理解」をどう捉えるのかというお話もしていただきましたが、HKIC2018では華道や茶道といった日本文化をハーバード生と共有することで、彼らから見た日本の印象を知る機会がありました。その時、このワークショップで「異文化理解」ということに正面から向き合ったからこそ、自分自身も日本文化の中でどの部分が世界に誇れる本質なのかを考える機会になったと教えてくれました。

 今回の勉強会では単にHKICという枠だけでなく、これから私たちが生きていく上でもはや避けることのできない「異文化理解」に対する向き合い方を教えていただきました。今まで曖昧に捉えていた文化的な価値観の違いの背景にあった、フレームワークの明確な違いに気が付くとても貴重な機会だったと思います。

 次回はいよいよHKIC2018本番のプログラムの様子をお伝えしていきます。最後まで読んでいただきありがとうございました。