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liberal arts-大学生の常識

ワカモノの気分(1)「私って受け身かも?」と感じたら…
自分の世界を広げる機会です

ワカモノの気分(1) 「私って受け身かも?」と感じたら…自分の世界を広げる機会です
authored by 伊藤忠ファッションシステム

 伊藤忠ファッションシステムでは、「今、生活者がどんな気分を感じ、どんな気分を求めているのか」ということについてさまざまな視点を持ってリサーチしています。上は70代から下は高校生までが対象ですが、単なる年代で捉えるのではなく、育った環境(社会、経済、自然、教育など)や、話題・流行といった事柄なども含め、基本的に20歳前後の多感な頃の共通体験を持った人たちを世代として捉えながら、各世代の価値観や消費行動の傾向を探っています。SNSが暮らしに浸透している今は、個人の経験値の質も量も拡大しており、世代では一括りにできないことも多分に見受けられるようになっていますが、それでも、「たかが世代、されど世代」。下の世代は上の世代に、上の世代は下の世代に違和感を覚える場面も少なくないのではないでしょうか。その辺りも踏まえつつ、このコラムでは、皆さまに近しい世代のお話を届けて参ります。

 先日会った若者から、「この頃、何だか受け身になっていることが多い気がして不安なんです」という言葉を聞きました。その女性は私が最近会った若者の中では、とても行動力のある方なので、なぜそのようなことを思うのかしら?と問うてみると、プライベートで友人とどこかに遊びに行こうという話になった際、自分が決めるよりも友人の提案に乗ることが多くなっているからとのこと。

 皆さんはいかがですか?

不安トップは「コミュ力低い」

 9月に弊社で行った「生活者の気分」調査によると、20歳前後の人たちは「人とつながっている」という気分を他世代よりも多く(3割強)求めながら、同時に「自信に満ちた」という気分も同量程度増やしたいと思っているという結果がみられました。感じている気分で「自信がない」に反応しているのは女性の特に若い世代ほど高く(4割弱)、人との関わりの中で楽しみや刺激を受ければ受けるほど、常に「で、自分自身は?」と、自問自答する場面が多くなっているのかもしれません。

 日頃から不安に思っていることについては「人とのコミュニケーション力が低いこと」(3~4割)がトップに挙がり、女性の方がその傾向が強く見られます。一方普段心がけていることとして「新たな交友関係を築くこと」という項目の値が年齢の若くなればなるほど高い(3割弱)のも特徴です。もちろん、高校から大学へ、学生から社会人へと、周囲の人間関係がこれまでとは変わる・広がるタイミングにあることもこの調査結果の背景にありそうですが、SNSを介して触れる未知のモノ・コト・ヒトたちも自身の暮らしにうまく取り入れ、自分の世界を広げていきたいといった思いを感じます。

「好き」に向き合い自信

 また、「自分の好きなこと、得意なことを探す」「自分の好きなこと、得意なことをより深める」ことを心がけている人は世代問わず実は多く(4割弱)、上世代にも同等数(3割強)いることが分かりました。同様の設問で「人の意見に左右されないよう自分なりの考えを持つ」に関しては上世代の方の反応が高い(下世代3割強、上世代5割強)という結果が見られます。あらゆる情報が常に流れ続けている時代。老若男女を問わず、「好きだっ!」と思い込んでいたものがするりと脇を通り抜けていったり、注力していたものが急に色褪せて見えてしまうこともあるのではないでしょうか。リーチできるものが多過ぎて決められないといった状況も否めません。それでも、好き・得意を見つけられたらしっかりとそれに向き合い、気分の安定につながる自信につなげていきたいと多くの人が望んでいるのだと思います。

 冒頭に登場した若者の話に戻りますが、一見すると受け身姿勢に思える行動も、それを自分自身で体感し、他のネタと化学反応させるなどアレンジしながら、少しずつ自主的な行動を積み重ねている若者が増えているような気がしています。
(ナレッジ開発室室長 小原直花)