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ハロウィンにみる「日本人の精神性」

僕ら流・社会の変え方(31)

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NIKKEI STYLE

今年の渋谷のハロウィンでのごみだらけの惨状をみて、日本人の美意識、すなわち、「人様に迷惑をかけない」だとか、「自分たちの街を自分たちの力で守る」精神はどこへ行ってしまったのだろうと嘆く人は多かったと思います。これまで若者文化を擁護してきた渋谷区の長谷部健区長も、今回ばかりは容認できず、メディアの取材に「ハロウィンはイベントではなく騒動になっている」として、今後は有料化も検討すると答えています。もはや日本人の自主性に任せるのには限界があり、規制によって問題を解決するしか道はないのでしょうか?

街を汚す人は増え、ごみを拾う人は減っている?

今年の7月、ニュースサイト「しらべぇ」が行った「吸い殻について」のインターネット調査は巷で話題になりました。全国の20~60代の喫煙者と元喫煙者の男女561名に聞いたところ、「タバコの吸い殻をポイ捨てしたことがある」と答えた人は、全体で47.8%。すなわち、半数近くもの人がポイ捨てをした経験があると答えたのです。また、これは少し古いものですが、3R推進団体連絡会が2009年に行った調査では、約5%の人が「1年以内に飲料容器を路上等に"ポイ捨て"したことがある」と答えたとのことでした。衝撃的な数字ですが、実は今だに日本でも「ポイ捨て文化」が存在しているのです。

では、ごみを拾う側の人は増えているのでしょうか?こちらは、はっきりとしたデータがないのですが、もう少し広く、ボランティア全般に関してみると、内閣府が行った「平成25年市民の社会貢献に関する実態調査」では、31.7%が東日本大震災発生前からボランティアを経験していたと答え、震災後にするようになった人が3.4%。合わると35.1%でした。それが、平成26年度の調査では、過去3年間にボランティア活動を経験したことがある人は、26.8%、平成27年度では23.3%と減少しています。平成28年度の調査では質問自体が変わっているのですが、平成 27 年の1年間にボランティア活動をしたことがある人は17.4%となっていました。

毎年行われるこの調査では、20%前後の人が常に自然や環境に関するボランティアに参加しているというデータもありますので、大きな流れから言うと、ボランティア活動の参加者、またその中のごみを拾う人は減少傾向にあるようです。

「日本人の精神性」って本当に素晴らしいの?

こうしてみると、まちの様々な団体が日々ごみ拾い活動をしていること、あるいはサッカーW杯の際にサポーターがスタジアムを清掃して帰る行為を指して「日本人の精神性は素晴らしい」と評する海外のメディアを取り上げ、殊更に喜んでいる日本のメディアや日本人は、もしかしたら幻想にとらわれているだけなのかもしれません。昔から一定数「捨てる人」がいて、一定数「拾う人」がいる。ただ、税金をかけて行う清掃活動を含めて、拾う努力が優っているから、日本の道路はきれいなだけなのではないでしょうか。人が集まるハロウィンには、「捨てる人」も「拾う人も」多く来るので、それぞれがまたニュースになるだけのことなのです。

前回の連載で、僕は戦時中にはじまったごみ拾いの活動について取り上げました。東京都公文書館の小野美里さんによれば、以後の首都美化運動の原型を形づくったのは、1954年に開始された「街をきれいにする運動」だということです。ここでは、ごみ拾いだけではなく、「公共の場を汚さないという都民意識の欠如」を改善するべく、様々な施策が実施されました。団体・個人の表彰やモデル地区を設定しただけでなく、標語やポスターの掲出、メディアの利用、コンクールの実施、学童の作文募集などの周知活動も行われたとのことでした。戦後の厳しい財政の中で、都が清掃をすべて担うのではなく、都民の意識を高揚しつつ、みんなの力で首都をきれいにしようとしたのですね。

「街をきれいにする運動」からはじまり、その後は様々な人や団体がごみ拾いの活動を開始し、みんなの意識の高揚に期待しつつ、今に至っています。それでも一部の人はごみをずっとポイ捨てし続けているという現状には、自省の念を込めて、しっかりと目を向けなければならないと思います。「日本人の精神性」という言葉に惑わされることなく。

それでも信じたい。一人ひとりの気づきに

この連載でも何度か書いていますが、私がいつも意識している数字があります。それは、「2:6:2」の法則です。社会ではだいたい、2割の「意識高い系」と2割の「無気力系」、それに、6割の、誘われたら参加する「潜在的ポジティブ層」でできています。先ほどのような、社会意識に関する調査では、だいたいどこでも、「社会活動に参加したいですか?」という問いに、「すでに参加したことがある」と答える人が2割、「そんなの偽善だ、関係ない」と答える人が2割、「機会があったら参加したい」と答える人は6割となります。

私たちNPOグリーンバードでは、この6割の人にいかに参加してもらうかを、常に考えています。機会があれば参加したい6割と、すでに参加している人の2割を足すと8割になり、8割が動けば、社会は大きく変わると思っています。ポイ捨てする人に翻意してもらうためには、2つの方法があります。一つは、その人たちに「NO!」を突きつけて、無理やりさせないという方法。罰金を科すなどのやり方ですね。もう一方は、機会があれば参加したい6割の人に社会活動に参加してもらう方法です。拾う人2割、それに捨てる人1~2割の現状では、どちらも「極端な人」となり、注目されません。でも、拾う人の2割がもっとカッコいい存在になり、6割が拾う側に回ったら、ポイ捨てする人は確実に浮いてしまいます。

そんなことを考えつつ、だからとにかく、皆さんには拾う人になってほしい! ハロウィン以外にも、日々様々な団体が活動しているので、ピンときた活動に、ぜひ参加してみてください。もちろん、私たちグリーンバードも、いつでもお待ちしています。これからもカッコいいごみ拾い活動を、世界中でどんどん仕掛けていく予定です。手ぶらで、いつでも、好きなチームに、申し込みなしで参加してください!

グリーンバード HP:http://www.greenbird.jp

横尾俊成(よこお・としなり)
 NPO法人グリーンバード代表/NPO法人マチノコト代表/港区議会議員(無所属)/慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 後期博士課程に在籍中。早稲田大学大学院修了、広告会社の博報堂を経て現職。まちの課題を若者や「社会のために役立ちたい」人の力で解消する仕組みづくりがテーマ。第6回、第10回マニフェスト大賞受賞。月刊『ソトコト』で「まちのプロデューサー論」を連載中。著書に『「社会を変える」のはじめかた』(産学社)、『18歳からの選択 社会に出る前に考えておきたい20のこと』(フィルムアート社)。
HP:http://www.ecotoshi.jp
Twitter: @ecotoshi

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