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キャリアに効く英語(1)企業が求めるのは「稼げる」英語

キャリアに効く英語(1) 企業が求めるのは「稼げる」英語
authored by ヒロ前田TOEIC講師

 はじめまして。ヒロ前田です。この名前は、2005年に著者としてデビューする際に、他人から与えられたペンネームです。ボクはTOEIC教材の執筆者、そして、セミナー講師として仕事をしています。これまでに、北は北海道、南は沖縄まで全国の大学で講演をしてきたので、実はあなたに会ったことがあるかもしれません。今回から、現役大学生であるあなたの姿を念頭に置きながら、英語やTOEICに関するあれこれを書いていきます。

 最初のトピックは、「企業が求める人材と英語力」です。「企業」と言っても、全企業を想定するのは無理なので、「海外との取引がある企業」や「海外との取引を検討している企業」を想定します。

企業は利益のために人を雇う

 企業はどんな人材を求めるでしょうか。この問いにストレートに答えるならば、「稼げる人」です。あらゆる企業は、理念を実現するために活動しています。そして、その手段として利益を出す必要があります。いくら素晴らしい理念を掲げていても、お金を稼げない企業は存続できません。存続できなければ、理念の実現もあきらめるしかありません。ですから、企業はお金を稼ぐ必要があり、そのために人を雇っていると言えます。

 誤解を避けるために言っておくと、「稼げる人」は、「売る人」とは限りません。製品やサービスを企画する人や、設計図を書く人も含まれます。また、そのような人たちを採用したり訓練したりする人、つまり、あなたが就職活動中に出会う人たちも含まれます。

 次に、企業がお金を稼ぐ場所に注目します。日本は1億を超える人口を抱える巨大市場ですし、海外の多くの国に比べれば国民の生活水準が高いため、稼ぎ場所は日本国内のように思えます。確かに、日本だけでビジネスをしている会社はたくさんあります。

 しかしながら、50年前や30年前、10年前と比べると、売上に占める海外比率が高まっている企業はどんどん増えています。先日、ボクが講演をした企業では、売上の海外比率が約半分で、今後さらに高めていくと宣言していました。人口が縮小傾向にある限り、この流れは止まらないでしょう。

 さて、このような順で考えると、今後ますます求められる人材をイメージしやすいですね。企業が求める人材とは「海外と商売をして稼げる人」です。そして、幸か不幸か、海外と商売をする上で必要な言語は英語です。よって、「英語を使って稼げる人」こそが、今後の企業が求める人材だと言って過言ではありません。

英語できないのに英語で仕事

 このような話を聞くと「自分は英語が苦手だから、日本語でやっていける業務に就けるはずだ」と思う人もいるでしょう。ですが、はっきり言ってその考えは甘いです。なぜなら、既に多くの会社員が、英語ができないのに英語で仕事をせざるを得ない状況に追い込まれているからです。彼らは、ほんの数年前まで、あなたと同じように「英語は自分には関係ない」と思っていた人たちなのです。

 また、現時点で英語を使わなくても近い将来には英語を使うかもしれません。企業研修の現場で「国内営業だから英語は使わない」とか「工場勤務だから英語は不要」といった不満の声を耳にすることがあります。その不満は理解できますが、彼らにとって英語が不要なのは「今」です。ところが、将来はどうでしょうか。時代の変化に合わせるようにビジネスは変化します。大胆な人事異動が起きたり、業務内容が変わったり、取引先が変わったりすることは珍しくないですし、職場に外国人が採用されることも当たり前になっていきます。「10年後も英語は不要」と言い切れる人がどれだけいるでしょうか。

「できるから得」から「できないから損」へ

 英語を必要としない社員に対して、企業がわざわざコストをかけて英語研修を提供する理由を考えてみてください。企業のトップは常に将来を見ています。今、英語を必要としない社員に英語を学ばせる理由は1つしかありません。将来、英語が必要になると信じているからです。英語が必要な仕事が増えることを見越して、それに対応できる人材を増やしたいのです。ですから、今のあなたが「英語ができない人」だとしても、大事なのは「将来のあなた」が英語を使って稼げるかどうかです。

 ボクが学生だった1990年代は「英語ができれば得をする時代」でした。その後、インターネットの普及に伴い「英語ができなければ損をする時代」に変わったように思えます。そして、今、この国は「英語ができないから損をしている時代」に突入しようとしている気がします。学生生活を送っていると気付きにくいでしょうが、企業はこれを緊急な問題として認識しています。

 「英語を使って稼げる」を他人事としてではなく、自分事としてとらえてください。それが第一歩です。