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池上彰の大岡山通信 若者たちへ「成人の日」を考える
若いときこその挑戦を

池上彰の大岡山通信 若者たちへ 「成人の日」を考える若いときこその挑戦を
authored by 池上彰東京工業大学特命教授

 今年も成人の日が終わりました。いまは20歳になって成人ですが、2022年度からは18歳で成人です。今年成人式を迎えた君たちに、まもなく大勢の後輩たちが追いついてくるのです。不思議な感覚ですね。

 22年度から18歳が成人扱いになると、彼らの成人式は23年1月になります。

 この年は、18、19、20歳の3年間の若者たちが一斉に成人式を迎えることになります。成人式の会場はどうなるのだろうと思ってしまいますね。

 同じ会場で3回に分けて式を実施するのでしょうか。

◇ ◇ ◇

 とりわけ気になるのは18歳になったばかりの人たち。1月といえば受験シーズンですから。学校側も、さすがに成人の日を試験日にはしないでしょうが、受験で成人式どころではないという人も続出するでしょう。

2023年には18~20歳の3年間の若者が一斉に成人式を迎える(18年、横浜市)

 となると、成人式は日を改めて、というところが増えるでしょう。成人式の意味も変わってくるかもしれません。

 このコラムを読んでくださるのは成人式を迎えた若者たちばかりではありません。それぞれ自分が成人になった日のことを思い出す人もいることでしょう。

 私が20歳になって迎えた成人の日は1971年1月のこと。私の仲間で成人式に出席する者は皆無でした。世の中を斜めに見る生意気盛りの若者たちにとって、行政主体の式など出る気になれなかったのです。

 成人式には参加しなくても、東京の自宅には区長名でアルバムが届けられました。「こんなことに税金を使って区長の選挙運動かよ」と反発したのですから、素直ではありませんでしたね。

 そんな私のような世代から見ると、遊園地での成人式に喜々として参加する若者たちは大丈夫だろうかと思ってしまうのですが、いつの時代も、大人たちは若者たちの振る舞いを見て眉をひそめてきたものです。

 今年20歳の成人式を迎えた人たちが生まれたのは1998年から99年でしょう。

 この頃、街にはガングロと呼ばれた若い女性たちが闊歩(かっぽ)していました。髪の毛を脱色し、日焼けサロンで顔を真っ黒に焼いたり、黒いファンデーションを塗ったりして、わざと顔を黒くしたのですから、大人たちを驚かせました。

◇ ◇ ◇

 いつの時代でも自分たちの存在を主張する奇抜なファッションが流行するもの。それを大人たちが呆(あき)れて見るのです。

 私が成人を迎えた頃は男性の長髪が流行していました。「男のくせに髪を長く伸ばすなんて」という評判が悪かったのですが、当時、長髪だった男性たちは、いまや頭に髪が残っているかどうか怪しいものです。

池上彰氏

 当時のガングロの女性たちも、いまや40歳前後でしょうか。どんな大人になっているのか。

 この年は、「1999年7月に世界は滅亡する」という「ノストラダムスの大予言」の該当の年でした。この予言に脅(おび)えた子どもたちもいたものですが、世界は簡単には終わりませんでした。

 こんな回想をしながら私が成人式を迎えた人たちに言いたいこと。それは、若いときにしかできないことに挑戦してほしいということです。チコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と言われないような人生を歩んでみてください。

[日本経済新聞朝刊2019年1月14日付、「18歳プラス」面から転載]

※大岡山は池上教授の活動拠点である東京工業大学のキャンパス名に由来します。日経電子版に「現代史を歩く」「大岡山通信」「教養講座」を掲載しています。

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