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[ career-働き方 ]

経営者ブログサイバーエージェント社長新人へ贈る、気を付けるべき
「付き合い」方

藤田晋 authored by 藤田晋サイバーエージェント社長
経営者ブログサイバーエージェント社長 新人へ贈る、気を付けるべき 「付き合い」方

 自分の入社式でどんな訓示があったのか、覚えている人はほとんどいないでしょう。私自身も全くといっていいほど覚えていません。そのため、昨年から少しでも記憶に残るよう、サイバーエージェントの入社式で私から贈る言葉をひとつに絞ることにし、今年は「高い視点を持った人と付き合おう」という言葉を189人の新入社員に贈りました。

 周りにいる人や付き合う人によって、人の意識は大きく変わるものです。会社全体を俯瞰(ふかん)する立場と、組織の下の立場とでは、見える景色も違えば、アイデアも解決できる問題もまるで変わってきます。役員や上司、あるいは社外の実力者など視点が高い人と付き合うことで高い目線を保ち、同期や同僚に対して良い影響を与える人になってほしい、という思いを込めました。

 

 実は昨年の入社式でも、同じような意味の言葉を贈ったのですが、誤解があったようなので、今年は改めて表現を変えたという経緯があります。

 私は、組織の上の立場から全体を見てほしい、という意味で「目線を下げるな」という言葉を贈ったのですが、一部の新入社員は、自分の立場から上を見る、下から高いところを目指す、というふうにとらえてしまいました。最初はその違いに気付かなかったのですが、上から下(会社全体)を見るのと、下から見上げるのでは、意味も変わってきますし、逆効果にもなりかねません。

 下の立場から上を見ると、その立場の視点のまま、見当違いな会社の批判をしかねない。例えばうまくいかない時に、同じ立場の同期や同僚同士で群れて話し合っても、なれ合ってしまうだけで解決にはつながりません。同期と話すと話が合って楽だし、楽しいけれど、それでは一歩も前に進まないし、そんなことをしていても成長しない。どんどん視点が落ちていくだけです。

 そうではなく、自分の立場をいったん離れ、会社全体を見る立場で物事を考えれば、意識も解決の仕方も変わってきます。ただ、新入社員にいきなり経営層の立場で考えろ、と言っても難しい。だから、普段から高い視点を持った人と付き合うことが、すごく大事になってくるのです。

 これは、高い学歴の人が持つメリットにもつながるように思います。当社は学歴不問ですし、素養については本人の努力次第で、大学には依存しないと考えていますが、唯一変わってくるのは周囲の意識。東大や京大といった高学歴の大学にいると、環境的に周りの意識が高く、就職に関してもみんな高いところを目指すので、自分もそのくらいやらなければ、となる。

 当社はいわゆる"コネ入社"は一切やらないことにしていますが、親がすごい人も意外と本人の目線が高くなり、それなりにやらなければと活躍することもあります。要するに、周りにいる人や自分を置く環境によって視点は左右されるので、自ら視点の高い人と付き合うように心がけてほしいと思うのです。

 日ごろから、誰と話して、誰と付き合っているのかということが、いかに本人の意識を変えるか。この話はあまり論理的ではないので、それほど世間では言われていませんが、私は組織を束ねる人間として、付き合う相手が自分に与える影響は甚大だと思っています。次回は、私自身の経験に即して、高い目線の人と付き合うもう1つの効用をお話したいと思います。

[日経電子版2014年5月14日付]

藤田晋(ふじた・すすむ) 1973年福井県生まれ。大学卒業後、1年のサラリーマン経験を経て98年にサイバーエージェント設立、2000年に当時史上最年少の26歳で東証マザーズ上場。07年から「アメーバ」をはじめとするメディア事業立ち上げを統括し、現在も「アメーバ総合プロデューサー」として陣頭指揮する。同世代の起業家仲間とは対照的に、派手なM&Aとは一線を画して自力で成長を求める経営スタイル。趣味は釣り、マージャン。

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