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ハラケンの「政治を動かす」(1)「どうせやったって変わらない」と
思っている、あなたへ

原田謙介 authored by 原田謙介NPO法人YouthCreate代表
ハラケンの「政治を動かす」(1) 「どうせやったって変わらない」と思っている、あなたへ

 12月14日に衆議院選挙が投票日を迎えます。今後の日本の方向性を決める大事な機会です。最近の国政選挙では全投票者数の中で20代の割合は10%以下。選挙権をもっているあなたは投票に行きますか? まだ未成年のあなたは選挙についてどう考えていますか?

 「自国のために役に立つと思うようなことをしたいですか?」――。この問いに対し、日本人の若者の54.5%は「はい」と肯定的に答えています。この割合をみなさんはどう捉えるでしょうか。

 この調査は内閣府が今夏に公開した「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」の1項目で、日本・韓国・アメリカ・英国・ドイツ・フランス・スウェーデンの13歳から29歳の若者に対し行われました。上記の問いに対して、肯定的に答えた割合は日本(54.5%)が、調査対象7カ国の中で最も高い数字でした。

 7カ国の中で日本の若者が最も、自国のためのことをしたいと思っているのです。「やっぱり若者が次の日本を作っていくんだ!」。この結果をみてそう感じました。

「国に役立ちたい」でも「社会は変わらない」

 しかし、そう簡単にはいきません。同調査の中に次のような質問もあります。「私の参加により、変えてほしい社会現象が少し変えられるかもしれない」。この問いに肯定的に応えた日本人の割合は30.2%と7カ国の中で最も低い。国のために何かしたいと多くの若者が思っているにも関わらず、自分の力では社会を変えられないと諦めてしまっている。これが日本の現状です。

 私は「若者と政治をつなぐ」をテーマに大学時代から7年間ほど活動を続けてきました。「未来を作り担う」若者と、「社会を良くしていく動き」の政治。この2つがつながらなければ、日本の将来は良いものにはならないと思い活動を続けています。

 きっかけは大学時代に体験した国会議員事務所でのインターンです。政治・行政や政治家など、日本や街のために日々活動している方々と関わりました。もちろん、思想や政策が違うため、党や意見・議論は異なる。そして有権者の意思を反映するために選挙という制度があります。

 しかし、私には、どうも2つの点が釈然としませんでした。1つ目は、本当に政治は未来、そして若い世代のために行動できているのだろうかということ。

政治と若者、根強い相互不信

 もちろん、未来や若者を気にはしているのでしょうが、実際にそのために行動をすることとは違います。どんどん多くの国債(借金)を発行しても誰が返すのでしょうか。高齢者向けの予算は多いが、若い世代向けの予算は少ない。

 そして何より、インターンをしていると若者と会うことが本当に少ないのです。政治家は高齢の支持者や、各種団体の方などとはよく会い意見交換をしています。「高齢者の人口が多い」=「選挙の時に多くの票を入れてくれる存在」という構図があります。そのため、高齢者向けのことばかりに動いてしまっているのではないか。

 2つ目の疑問は、なぜ私と同世代の若者は選挙にもいかず政治への関心も低いのかということです。

 多くの同世代が日本の将来、ひいては自分の未来を不安に感じている。しかし、その不安の解決方法として選ぶ道は、「少しでもいい会社に入ること」や、「何かの資格を取って安定した生活を送ること」になっています。

 今は生活できているから将来の不安はあえて意識しない。だから政治に声を上げ、選挙に行くことを不安の解決のためのアクションには使わない――。そんな人も多いでしょう。なぜなら、政治は"汚そう"だし、よくわからないし、選挙は行くのも面倒だし、なによりも、選挙に行ってもどうせ何も変わらない。そんな同世代が多いように感じていました。

接点を再構築する

 政治は若者や次世代のことを気にしてないわけではない。が、動けていない。半面、若者は将来に不安・関心がないわけではない。しかし、政治を信頼していないし、自分の声が届くと思っていない政治に対して積極的なアクションはおこさないし、投票にも行かない。

 せっかく両者とも日本の未来のことを考えているのだから、そこを何とかつなぐことはできないか。それが私たちの活動の原点です。

 2008年に20代の投票率向上を主目的とした学生団体の「ivote」を立ち上げました。卒業後の2012年にはインターネット選挙運動解禁をめざし、OneVoiceCampaignを立ち上げ解禁へとつなげました。そして2012年末にはYouthcreateを立ち上げ(2013年NPO法人格取得)若者と政治をつなぐための様々な仕掛けを行っています。

 日本は世界でも例を見ない、急速な人口減少・少子高齢化という深刻な問題に直面しています。「人口ピラミッド」という用語を学校で習いますが、日本の人口動態は自分が習った20年前にはすでにピラミッド型ではなくなっていました。

「どうせ変わらない」を捨てよう

 「消える自治体」「若者不足」「社会保障制度の限界」。そのような言葉を目にしない日はほとんどありません。若者の数が増え、人口が増加していく前提でつくられてきた様々な制度・インフラが成り立たなくなっています。この問題を解決して未来へと進むためには、未来を作り担う若者の奮起が欠かせません。しかし、残念なことに人口減少・少子高齢化は若者のやる気をも奪っている現状があります。

 冒頭で、「何かしたいけど、どうせやったって変わらない」と多くの若者が考えているという話をしました。すごくもったいないし悔しい。もっと若者が動く世の中にならないか。若者が動き出さない理由、あるいは選挙に行っても意味がないと感じる大きな理由の1つに若者の数が少ないことがあります。どうせ数で負けるから意見は通らないし、何も変わらないと思っています。

 なんとかこの現状・思い込みを打破しなければなりません。若者自身がアクションを起こすように、あるいは若者の声がもっと政治・行政の現場に届く状況を作っていきたい。若者にとって、政治あるいは年齢が上の世代は敵ではありません。若者の力や意見は常に抹殺されるわけではありません。

 「自国のために役に立つと思うようなことをしたい若者」を中心に日本の困難に立ち向かい、次世代のために素晴らしい日本を引き継ぐ。このコラムでは、そのための試みを学生のみなさんと共に考えていきたいと思います。

【ハラケンの「政治を動かす」】
(1) 「どうせやったって変わらない」と思っている、あなたへ
(2) 若者たちよ、仕掛けよう 日本が危機から脱するために
(3) 「アウェー」の場に乗り込もう
(4) インターネットと政治① ネット選挙運動解禁まで
(5) インターネットと政治② 「投票日告知プロジェクト」の成否は...
(6) 統一地方選挙で選ぶ側の立場を体験しよう!
(7) 「都知事候補だけど質問ある?」~有権者が候補者にツイッターで質問
(8) 2016年を「若者が動き出した」年にしよう!
(9) 政治を身近な位置に置く方法~まずは質問から始めよう
(10) 参院選までに準備したい2つのマイ争点(上)~少子高齢化に注目
(11) 参院選までに準備したい2つのマイ争点(下)~自分の興味・関心から探す

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