日本経済新聞 関連サイト

OK
[ career-働き方 ]

繁盛する駐車場はどこに
ITで金脈探るパーク24

繁盛する駐車場はどこに ITで金脈探るパーク24

 刻々と変化する街の姿を、他社より一足先に見通すことができれば、商機を見いだせる。パーク24傘下で駐車場を運営するタイムズ24は、2期連続で過去最高益を更新したが、その決め手となったのも「変化する街の情報」だった。同社は、地図画面上に、駐車場の位置とリアルタイムの稼働率を表示するシステムを持つ。ここから得られる情報をもとに、繁盛駐車場の「鉱脈」にあたりを付けてから、計77チームが各々の担当エリアに赴く。現地では探偵のようにちょっとした街の変化にまで目を光らせ、どこより早く最適な更地を見つけ出すことに余念がない。

 タイムズ24第二事業本部東京中央営業部城西グループ第3チームの星野英之チームリーダーは、毎朝出勤するとすぐ「物件情報システム」を立ち上げる。後輩とチームを組み、都内のあるエリアを担当する星野チームリーダーは、地図画面から各物件の稼働率を確認。200カ所近い駐車場を受け持ち、昨日までと変化がないかチェックする。

 「この辺りの駐車場は満車が多いな」。朝9時に既に満車の駐車場は、周辺に「何か」がある。満車の駐車場がいくつもあればなおさらだ。

特定エリアを担当するチームの一部が試行的に、タブレットから物件情報システムを使い始めた

 星野チームリーダーは「これだ」とばかりに画面に印を付け、現場に急行する。目指すは、駐車場の利用者が向かっている「目的地」だ。その周辺には、繁盛する駐車場の"鉱脈"が眠っている。

 駐車場の利用者は目的があってその場を訪れ、車を停めた。おそらくはそこから徒歩で行ける範囲に目的地はあるはず。駐車場のニーズをいち早く予測したければ、ドライバーが向かう目的地を探せばいい。

 分かりやすいのは周辺の工事現場。マンションや商業施設などを建設中だと、工事関係者が数年は通い詰める。他にも病院や人気の飲食店などは目的地になりやすい。

フル稼働でも空車だらけでもダメ

 満車で駐車場がフル稼働していることは、パーク24にとって理想的な状態に思えるかもしれない。しかし、そうではないところがこの商売の面白さだ。

 満車だらけでは、後から来た人は車を停められない。「タイムズは"使えない"」というイメージが広がりかねない。一定の稼働率をキープし、「行けば停められる」状態を作り出すのが理想的なのだ。

パーク24の物件情報システムの画面。地図上に既存物件や提案中の物件が表示される

 だからといって、空車だらけがいいわけもない。急に空車が目立ち出した場合は「近隣にある競合の駐車場が値下げした」「新しい駐車場ができた」など、街の変化が想定される。ちょっとした変化を見逃さず、現場で確認するのも星野チームリーダーの役目だ。駐車場は料金が100円下がるだけで利用者の動きが変わると言われる。稼働率から目が離せない。

 パーク24は物件情報システムを、社内のパソコンだけでなく携帯電話からもアクセスできるようにしていた。ただし携帯電話は画面が小さくレスポンスも遅い。そこでタブレット版を2014年2月に開発し、試行中だ。

物件システムで勝率を上げる

 CIO(最高情報責任者)に相当するパーク24の川上紀文取締役執行役員業務推進本部長は「駐車場は作って終わりではない。街はどんどん変化していく。稼働率の推移を追いかけながら、駐車場需要を予測し、儲かる確率を上げていく」と話す。

 2001年から構築してきたシステム「TONIC(トニック)」を使い、駐車場をリアルタイムで管理する。TONICは「駐車場のPOS(販売時点情報管理)」と言われるもので、パーク24の業績向上に直結している。

 TONICは、約1万3000カ所ある駐車場と同社の情報センターを結び、24時間365日監視しながら予測の精度を上げる秘密兵器だ。2013年10月期に2年連続で過去最高益を更新できたのも、TONICへの先行投資が実を結んだからと言ってよい。物件情報システムもTONICの一部である。

 物件情報システムで稼働率や車の入出庫状況を把握する。さらに新規物件の開発では候補地に当たりを付ける。その周辺をくまなく回って更地などを探す。住宅の解体工事が始まっていれば、チャンス到来だ。

 現場に通うのは、エリアの"プロ"になることを求められるチームのメンバーたち。星野チームリーダーもその1人である。これまでもエリア制は敷いていたが、2013年11月から担当をより明確にするため、「チーム制」を導入。儲かる確率をさらに上げようとしている。

システムとチーム制で儲かる確率を上げる

「3カ月以内に黒字化」が至上命題

 77あるチームの目的は、担当エリアの利益を最大化すること。街の変化に伴う既存物件のてこ入れはもちろんのこと、満車の駐車場の近くにどれだけ新規物件を開拓し、競合を寄せ付けない「エリアドミナント」を形成できるかが決め手になる。

 新規物件は「3カ月以内に黒字化」が至上命題だ。川上取締役が言う「儲かる確率を上げる」とは、3カ月で黒字化できる物件をいくつ予測して作れるかと言い換えられる。

 新規物件の開拓はスピード勝負だ。ライバルも人気エリアを狙っている。駐車場を作れる土地は限られるので、争奪戦になる。地主には一番乗りで駆け付けて、最初に"交渉権"を確保したいものだ。それができた企業ほど、商談を有利に進めやすい。

 パーク24が2013年10月期に過去最高となる1600件以上の新規物件を開発できたのは、データ分析を通じた駐車場の需要予測に磨きがかかってきた証拠である。
(日経情報ストラテジー編集部)[日経情報ストラテジー2014年6月号の記事を再構成]
[日経電子版2014年6月30日付]

「日経College Cafe」のお勧め記事はこちら>>

この記事は会員限定コンテンツです。続きを読むには「College Cafe by NIKKEI」に会員登録(無料)してください。

最初に日経IDを取得し、その後「College Cafe by NIKKEI」に利用登録(無料)します。