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私たちのリアル(1)ネット世界に浸る若い女子のホンネ
~「なう」「好奇心」「熱さ」で動く
ブラジル的感性

中村泰子 authored by 中村泰子ブームプランニング社長
私たちのリアル(1) ネット世界に浸る若い女子のホンネ~「なう」「好奇心」「熱さ」で動くブラジル的感性

中村泰子の私たちのリアル(1)

 今から10年前、女子高生に代表される若い子たちには分かりやすいイメージがありました。野口みずき選手がアテネオリンピックの女子マラソンで金メダルをとった2004年ごろの話です。

 女子高生の間では、1990年代後半には「ガングロ」、「ルーズソックス」、「厚底ブーツ」が幅を利かせ、2000年代には、ガングロから美肌美白に変わったものの、「なんちゃって制服」や「プリクラ」が全盛に。さらに、ストラップの方が重そうなケータイを持つなど、ギャルブームの一端として、外観でも分かりやすい「女子高生像」がありました。
その頃、まだ「JK(=女子高生)」という言葉はありませんでしたが、私は2004年に彼女たちの実態を知ってもらいたいという思いから『「ウチら」と「オソロ」の世代』という本を出版しました。

女子高生はSNSへ、生態が見えない......

 時は経ち、2005年以降の「前略プロフィール」ブームを皮切りに、ミクシィ(mixi)、ツイッター(twitter)、ライン(LINE)など、女子高生たちの世界はソーシャルネットワーク(SNS)を中心としたインターネットにどっぷりと浸かっていき、気付けば、その生態は外から見えなくなっていきました。

2004年当時の女子高生(左)と今の女子高生(右)。最近のローファーはヒール付が人気

 じゃあ、今の若い女の子たちってどんな感じなの?と問えば、「見た目は清楚だけど、中身は元気!」。JC(女子中学生)、JK、JD(女子大生)なんて言葉はあるけれど、大人びたJCと、黒髪で清楚なJKと、制服ディズニーをしたがるJDの区別はパッと見では分かりません。

 見た目はおとなしい子が増えてきているかと思えば、一方で、「有名JK」と呼ばれる子たちは黒髪に短すぎないスカート丈でtwitterやインスタグラム(Instagram)にセルフィー(自撮りの写真)をあげ、何百もの"ふぁぼ(ツイートをお気に入りに登録すること)"や"LIKE(イイネ!)"をもらうことが大好きです。

 また、2014年春に注目すべきイベントがありました。マスコミもノーマークでしたが、高校生だけの力で東京・台場の会場に1500人以上も集客して大規模なイベントを成功させたのです。主催したのはUp to youという高校生の団体で、SNSやネットワークを頼りに大人顔負けの動員力を発揮しました。現在も、今春に向けてUp to youをはじめ、As is.等の高校生団体が新しい企画を進めているようです。

 そこにあるのは、"自分たちが"楽しめるお祭りを"自分たちの"手で作り上げたいという「共有感」です。対面の会話よりもネット上での会話の方が圧倒的に多くなったため、「現代のJKたちの生態が見えない」と言われがちですが、外観からは見えにくいものの、実はこの世代流の行動力が垣間見える場面は多々あります。

戸惑い、驚き、そして???

 「今の若い子たちが何を考えているかさっぱりわからない」
「"ゆとり世代"は"さとり世代"とも呼ばれているけど実際どうなの?!」
「現象としてのブームやヒットはみえるけど、実際の消費者である若い人たちは何を考えているの?」

 そんなことを"大人"から聞かれる機会が増えました。(私自身の)年齢がばれちゃいますけど、30年近く女子高生・女子大生たちとのネットワークをベースに参加型のマーケティング活動を展開してきた私ですら、今でも戸惑うことはしょっちゅうありますし、いちいち本人たちに聞いてみないと真意が理解できないことが本当に多くなりました。

 「10分遅れは遅刻じゃない」、「加工してない写真なんてネットに挙げられない」、「約束がない休日でも、行きたい場所に着いてから遊び仲間を探す」――。

 そうした行動も今の若い世代ならではといえるかもしれません。

デコかわいい時代(左)から、内容も見た目もシャープなスマートフォンになった(右)。※iPhoneケースは左の花柄から、女子、女子、男子のケース

 2014年は、スマートホンを駆使する姿を見て、「新しい時代の到来」だなと感じた年でもありました。彼女らはLINE3年生、twitter4年生、スマホとSNSでのコミュニケーションが当たり前な今だからこその、行動や言葉、考え方の変化には、毎日驚かされるばかりです。

 私は、いくつになっても好奇心が旺盛で面白いことが大好きで、常に老若男女のユニークな友達が周りにたくさんいます。その中でも飛びぬけて、いつも新鮮で面白いな、と思うのは女子高生をはじめとする若い女の子たちです。

大事なものは「なう」と「つながっている」

 「今の若い子って元気がないよね」。そう指摘を受けることもあります。確かに、昔に比べてマクドナルドでバカ騒ぎをすることもなければ、インタビューをしても女子高生特有の賑やかさは減りました。

 そうはいっても箸が転がってもおかしい年頃。カメラアプリを活用して面白い写真を撮り、Vineやミックスチャンネル(動画メッセージアプリ)でインパクトのある動画を撮ることに躍起になり、ツイットキャスティング(ツイキャス=ライブ配信サービス)をして盛り上がる。

 SNSでみんながつながっているからこそ、どんな情報も共有して拡散しあっている様子を見ると、今までの世代とは違う、スピード感とリッチな情報にあふれた、"新しい楽しさ"の中に、彼女たちの元気の源泉があると見ています。

 また、今の子達は、"なう"を大事にしています。友達との約束も、正確な時間は決めずに"今"という時間の単位で連絡をマメに取り合い調整します。その瞬間の状況や気持ちが最優先なのです。SNSの投稿を見ても、若い世代はイベントの"ご報告"はほとんどせず、常に"今"をお知らせして、事前報告をしているのです。互いに互いのスケジュールを把握する事で、円滑に無駄無く時間が過ごせると考えているようです。

 ちなみに「泰子さん、今の若い子たちが分かりません!」と仰る"大人"の皆さん。私はこう答えるようにしています。

若い女子は「ブラジル人」だと思えば仲良くできる

 「今の子たちは、ブラジル人だから!」

 それ、どういう意味?と驚かれるかと思います。物事に執着せず良い意味で大らか。LINEですぐに連絡取れるから時間や場所にパンクチュアル(正確)でなくてもよい。イベントやお祭りが大好き――。そんな彼女たちを、私は、「ブラジル人みたい!」と表現しています。

 「地球の裏側の国、そしてそこに住んでいる人たちだったら、分からないことだらけでも仕方ない」。なんて思えば、少し気が楽になりませんか? 「最近の若者はまるで宇宙人みたいだ」なんて言葉もありますが、宇宙人の住むどこか遠い星に比べたら、ブラジルなんて飛行機に乗っていけばすぐに行けちゃいます。

 もちろん、すぐにブラジルに行ってブラジルの人たちと交流しても、右も左も分からないでしょう。そこで、彼女たちの生態を『私たちのリアル』と題して、本音トークをそのままお伝えしていきたいと思います。

 どうぞ、若者の意識や感覚、文化を知るための旅行のガイドブックとして、少しでも活用していただければ本望です。

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