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ボランティア経験は就活に有利か? ~若者の「ソーシャル思考」を分析する

僕ら流・社会の変え方(3)

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NIKKEI STYLE

学生たちから就職活動の相談を受ける時期になりました。僕自身、もともと博報堂に勤めていたということもあり、毎年、特に広告業界に興味のある学生から声がかかります。

「社会のため」に働きたい

最近は、志望理由を聞くと、皆、口をそろえて「世の中にインパクトを与えることをしたい」「社会のために何かしたいから」と語るようになりました。そのために広告の力を使うのだと。少し前までの、「とにかくCMを作りたい!」「心に刺さるキャッチコピーを考えたい!」とは違った印象を受けます。

それならば「学生時代に頑張ったことは?」と聞くと、「NPOでインターンをしていました」「社会課題を解決するためのアプリをつくっていました」など、ソーシャル系の話題ばかり出てきます。

中には、部活をやりながらボランティアをしていたことをアピールする学生もいます。これもまた、数年前までの「サークルの代表を務めていました」「とにかく部活に明け暮れていました」とは違うようです。現役の博報堂の社員に聞いてもそのような傾向を感じているようで、若者全体としてソーシャル思考が高まっているのは確かです。

では、この傾向はどのようにして生まれたのでしょうか。ひとつには、特に大企業の「就職買い手(優位)市場」が続き、企業側が即戦力を求めてきたことが挙げられると思います。企業が求める人材像がより高度になる中で、学生たちは部活やサークルで学生生活の大半を過ごすよりも、より社会に関われるような活動に身を投じた方が有利なのではないかと考えるようになったことが一因です。

あいまいになった行政・NPOと企業活動の境

しかし最も影響を与えたのは、2011年3月11日に起きた東日本大震災ではないでしょうか。震災後、多くの若者が現地に行っては、ツイッターで情報を拡散したり、募金活動などの支援を行ったりしました。そこで彼らは、「自分ができる範囲で社会に関われた」「人の役に立てた」という直接的な実感を得ることができました。

様々な調査によると、東日本大震災以降、「社会のために役立ちたい」「(ボランティアなどの活動に)機会があれば参加したい」と考えている人は、全体の6割から7割に増加したそうです。これは、震災を機に人々のソーシャル思考が大きく変化したことを示しています。

また、被災地支援活動には多くの企業も関わりました。先日、ある通信会社の人事の方にお会いした際、おっしゃっていたのは、被災地には優秀な人材ばかりを派遣しているとのことでした。曰く、CSR的な側面だけでなく、被災地にはこれからの日本で売れそうな商品やサービスを考えるためのヒントがたくさんあり、それを社員に肌で感じてもらいたいからだということでした。

どの時代にも存在するニーズ、それは「社会課題の解決」

日本は、右肩上がりの経済成長を続け、これまでにない新しい価値さえ提供できればどんな商品でも売れていく時代を経験しました。しかし、皆がある程度裕福になり、「特に欲しい物はない」と言う人が多くなった現在では、単に新しいものを提供するだけではなく、その商品が世の中にある課題を解消するものである必要が出てきます。社会課題は解消しなければ人が生きていけないものであり、その解決につながる商品やサービスには必ず需要があります。

企業は今、課題発見のために被災地におもむき、知識や経験を得て商品開発へとつなげています。企業が公共的な価値を持って活動をするようになる一方、行政など公共側は企業に積極的にアプローチをかけるようになりました。行政と企業が互いに歩み寄り、その境がなくなってきているとも言えます。

若者は、企業が被災地支援として現地へ赴きながら、ソーシャルビジネスでお金を生み出している現状を目にしています。ソーシャルメディアの発達は各地のそうした事例を容易に伝える環境をも整えました。若者がボランティアなどの活動に興味を持つのは自然な流れなのかもしれません。

「ボランティアをやった」、それ自体は意味がない

では、実際の就職活動において、ボランティアの経験は有利に働くのでしょうか? こう言ってしまうと身もふたもないのですが、結論から言うと、どちらでもないと思います。なぜなら、重要なのは、ボランティアにしてもサークルやバイトにしても、何かに取り組むにあたっての姿勢やそこで得た体験であって、「やった」という事実ではないからです。

採用担当者は、学生がいかに自分で課題を発見しその解決のために取り組んだか、またその過程で得た経験や思いが会社にプラスに働きそうかという基準で判断します。やったことはインターンだろうが、部活だろうが何でも良いのです。

良くないのは、「ボランティア経験があった方が就活でいろいろ言えるよな」「やりたくないけど、みんなやっているし俺もやった方が良いか」という考えで無理矢理ボランティアをやることです。「人事(採用担当者)に受けそう」という理由だけでやったボランティア経験はすぐに見抜かれ、短い面接の中で、逆に自分をしっかり伝えられないままに終わることになるでしょう。それに、最近の人事は「社会のために」系の話を既に嫌というほど聞いているのです。

今、多くの企業が多様性のある組織を目指しています。同じ思考や経験を積んだ人が集まる集団よりも、違う経験や考え方を持った人が集まった方が、多様性が生まれて組織が活性化するからです。NPOのインターンやボランティアなど、ソーシャルな活動によって得られるものは、これからの時代を生きる自分や世の中のために役立つことは確かです。1、2年生にはぜひ様々な経験をしてもらいたいですが、それが全てではありません。就活を控えた3年生がネタをつくるために活動する必要はなく、部活で頑張ったことを胸を張って語ればいいのです。

自分が少しの力でやったことを、無理して声高に語る必要はありません。3年生がジタバタしても、(就職活動にとっては)もう手遅れです。それまでに全力でのめり込んだものがあるかどうか、その経験から得たこと、またこれから本気で挑戦したいことがあるかどうか。経験がなければ、とにかく「やりたい」を探してそれを語ることです。もちろん、一番大切なのは、就活のために積む経験ではなく、(就活の後も)自分にとって本当に響くことを常に探し続ける姿勢なのですが。

横尾俊成(よこお・としなり)
 NPO法人グリーンバード代表/NPO法人マチノコト代表/港区議会議員(無所属)/慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 後期博士課程に在籍中。早稲田大学大学院修了、広告会社の博報堂を経て現職。まちの課題を若者や「社会のために役立ちたい」人の力で解消する仕組みづくりがテーマ。第6回、第10回マニフェスト大賞受賞。月刊『ソトコト』で「まちのプロデューサー論」を連載中。著書に『「社会を変える」のはじめかた』(産学社)、『18歳からの選択 社会に出る前に考えておきたい20のこと』(フィルムアート社)。
HP:http://www.ecotoshi.jp
Twitter: @ecotoshi

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