日本経済新聞 関連サイト

OK
[ skill up-自己成長 ]

ハラケンの「政治を動かす」(4)インターネットと政治①
ネット選挙運動解禁まで

原田謙介 authored by 原田謙介NPO法人YouthCreate代表
ハラケンの「政治を動かす」(4) インターネットと政治①ネット選挙運動解禁まで

 選挙という民主主義の根幹部分において、便利で日々進歩しているインターネットを使うことが認められていない状況。これが2013年4月までの日本の状況でした。「インターネット選挙運動」「ネット選挙」という言葉を聞いたことはありますか? 選挙の際に、インターネットを使った活動を行うことの総称をこのように呼びます。

 選挙戦がスタートしてから投票日前日の土曜日までが選挙期間と呼ばれ、日本ではこの期間のみ当選を目的としたいわゆる選挙運動ができます。その選挙運動においてインターネットを使うことが「インターネット選挙運動」です。具体的には、立候補している候補者がTwitterやFacebookを更新すること。有権者が当選してほしい候補者の応援ブログを書くこと等々。このIT時代に選挙の際に、それが使えないことはおかしいと感じませんか?

「One Voice Campaign」の立ち上げ

 2012年4月、自分はこのおかしな状況を変えるために「One Voice Campaign」を立ち上げ、1年間にわたりインターネット選挙運動解禁を目的に活動しました。インターネットは若者に親和性が高く、時間場所を問わず更新閲覧が可能です。それだけでなく、SNSの発展により拡散性・双方向性という特性もあります。このツールを選挙で使えるようにすることが政治と若者の関係を変える一つの契機となると思っていました。

若者と地域の議員の交流会「Voters Bar」を杉並で開催した際の様子

 自分のHPやSNSアカウントをもち、情報や活動の更新を行っている候補者であっても選挙期間に入ればそれらを更新できない。有権者側としては、投票に行こうと思った時に候補者の最新の情報がなく、選挙期間に入る前の日で更新が止まったTwitterアカウントがあるのみというおかしな状況です。

 また、HPはおろか自分のブログすらなくインターネット上で検索してみても全く情報がない候補者・政治家も多くいます。選挙という政治における一つの重要なタイミングでインターネットが禁止されていることにより、政治全体がインターネットを重要視していない状況でした。

 One Voice Campaignを行う中で意識したことは大きく2つあります。

1:一人一人の声の集まりで政治を動かす

 キャンペーンの名前もこの意識から来ています。民主主義社会の日本において、主役は一人一人の国民です。政治は遠くの誰かがやっているものでもなく、あなたが関われないものでもありません。One Voice Campaignでは多くの人を巻き込み、一緒に運営側として活動を行っていきました。Facebookグループのメンバーは100人を超えました。自分のようにもともと政治に関わっていた人はほとんどいません。学生・若手社会人と多くの様々な人がメンバーに集いました。

Voters Barを日本文化と地方政治をテーマに東京都で開催した際の様子

 メンバーに共通している動機としては「自分たちの動きで法律を変えるなんて楽しそう!!」というものです。もちろん、インターネット選挙運動解禁を目指すという目的の下に集まっていますが、自分たちの手で変えていくということにモチベーションを感じていました。また、イベントの際に集まってくれた若者も、目的のために重要な存在です。受け身のイベントの参加者としてではなく、インターネット選挙運動解禁を望む若者としてSNSなどで主体的に意見の発信や想いの拡散をしていただきました。

2:政治を敵対視せず、応援していく

 何かを変えたいというときには、現状に対しての不満や納得のいかない点があるわけです。そして、その不満の現状を改善していない相手を非難したくなることもあります。しかし、何かを変えるために必要なのは批判ではなく前進です。前進するためには、最終的に法律を変える権限を持っている政治家に動いてもらう必要があります。

 インターネット選挙運動解禁に関して言えば、解禁に前向きな方もいました。とはいえ、消極的な賛成といった程度で、積極的に政党内や国会内で動くほどではありませんでした。One Voice Campaignは消極的な賛成の方をどんどん応援し、若者の熱意を伝えることにより、モチベーションを高めることにつなげました。その気になってもらい、どんどん解禁にむけて進んで動いてくださる状況を作っていきました。

 具体的な活動としては、各党国会議員や有識者をゲストに、高校生から社会人まで100人以上が集うイベントを計4回開き、国会議員との面会を繰り返し、マスからインターネットまで多くのメディアを巻き込みました。

 また、One Voice Campaignとして法律案も作り、求めている理想のインターネット選挙運動の形を世に示しました。最終的には2013年の4月に公職選挙法改正の法案が可決され、同年7月の参議院選挙よりインターネット選挙運動解禁がなされました。

 One Voice Campaignがどれほど解禁に影響を与えることができたのかはもちろん計ることはできません。しかし、一定の影響があったことは確信しています。そしてなにより、運営側あるいはイベントに集まってくれた多くの若者が、「自分たちが政治を動かした」という実感を持ったことが大きな成果だと感じています。

【ハラケンの「政治を動かす」】
(1) 「どうせやったって変わらない」と思っている、あなたへ
(2) 若者たちよ、仕掛けよう 日本が危機から脱するために
(3) 「アウェー」の場に乗り込もう
(4) インターネットと政治① ネット選挙運動解禁まで
(5) インターネットと政治② 「投票日告知プロジェクト」の成否は...
(6) 統一地方選挙で選ぶ側の立場を体験しよう!
(7) 「都知事候補だけど質問ある?」~有権者が候補者にツイッターで質問
(8) 2016年を「若者が動き出した」年にしよう!
(9) 政治を身近な位置に置く方法~まずは質問から始めよう
(10) 参院選までに準備したい2つのマイ争点(上)~少子高齢化に注目
(11) 参院選までに準備したい2つのマイ争点(下)~自分の興味・関心から探す

「日経College Cafe」のお勧め記事はこちら>>