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社会をよくする働き方~株式会社とNPOの違いとは?

僕ら流・社会の変え方(6)

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NIKKEI STYLE

今年も就活のシーズンがやってきました。学生さんの中には、株式会社だけでなく、NPOやNGOへの就職を考えている方もいるかと思います。僕自身は、株式会社に入った後、NPOを経営するために退職し、今は区議会議員とNPOの代表という2足のわらじでやっています。今日はその経験から、僕が感じている株式会社とNPOの違いについてお話ししたいと思います。今、就職活動している学生、またはこれから就職活動を控える学生さんにとって参考になることがあれば嬉しいです。

実は株式会社とNPOにはそんなに違いがない

よく、株式会社は「お金儲け」をしていて、NPOは「お金は稼げないけど、社会にいいこと」をしている、といったイメージを持たれたりします。「NPOはいい活動をしているから寄付を受けられるけど、株式会社はモノを売ってたくさんお金を稼ごうとしているから寄付を受けられない」というように。本当にそうでしょうか。お菓子会社を例に挙げて考えてみましょう。

例えば、誰かが東ハトのキャラメルコーンを買うとします。もちろん、その商品が良くて買う場合もあるし、その商品を販売する会社が好きで購入する場合もあります。一方、NPOの場合には、誰かが「この事業は世の中的な価値がある」と思ったら、そのNPOの活動のボランティアに参加したり、寄付したりします。ここには、自分が共感するサービスに、「買う」という行為で対価を支払うか、「寄付」や「ボランティア」という行為を通じて支援するか、という違いがあります。

では、「マイファーム」という会社はどうでしょうか。この会社は「耕作放棄地」という全国にたくさんある放棄されて使われなくなった畑を借り受けて、農業をやりたい人たちに貸している会社です。「世の中の課題を解消する」という文脈でとてもソーシャルな意味合いの強い事業ですが、この会社はNPOではなく、株式会社です。寄付は集まりづらいですが、株主を集め、利益を得て事業を進め、それを株主に還元していく事業モデルを取っています。ここでいうNPOと株式会社の違いは、「儲けるか」「儲けないか」でも「社会にとっていいことをしているか」「していないか」でもなく、「あげた利益を株主に還元するか」「しないか」という法人の形態の差でしかありません。

その会社は、誰のためにあるのか

事例をもう一つだけ。ジョンソン・エンド・ジョンソンという、製薬、医療機器その他のヘルスケア関連製品を取り扱う株式会社を紹介しましょう。

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、「アワークレド」という社是をもっていることで有名です。「アワークレド」は直訳すると「我が信条(Our Credo)」。A4判1枚でまとめられたその文章には、顧客、社員、地域社会、そして、株主という四つの「ステークホルダー(利害関係者)に対する責任」が具体的に書いてあります。書いてあるのはこんなことです。

「会社はまず自分たちの製品・サービスを使ってくれる顧客のためにある。その次に、社員。会社は、一人ひとりが個人として尊重されて、安心して仕事ができる環境でなければならない。次に、自分たちが一緒に暮らしている社会のため。会社はこの社会において有益な社会企業としてあらねばならないから。そして最後に、株主」

当初、これを発表した社長に対して「株式公開企業なのだから、株主を最後にするのはおかしい」という反論がありました。これに対して、社長は「顧客のため、社員のため、地域社会のために仕事をする会社は自然と株主に還元できる」と返答して、譲りませんでした。

僕は彼の考えに共感します。ずばり「社会課題の解消」を目的に運営されている会社ではなくても、「社会をよくする」方向に会社として動こうとしているのが明示されているのは素敵だなと感じます。しかし、よくよく考えてみれば、モノがあふれている時代・社会にあって、真に顧客の幸せや社会の役に立たない会社は不要となって、いずれ淘汰されてしまうでしょう。まずは顧客や社会の役に立たなければいけない。結果として、それは株主にも還元されていきます。そういう風に考えると、形態は違うけれど、やはりNPOも株式会社も目指べきところはそう遠くはないと思います。

ちなみに、僕のやっているNPOグリーンバードは、コカ・コーラ、JT、ナイキ、フィアット、GAPなどの共感してくれる会社や人から寄付を集めて活動を続ける事業モデルを取っています。けれど、株式会社にして、例えば「思わず捨てたくなるようなゴミ箱」を開発して売り、事業を行うということも可能です。カタチを変えようとも、「ポイ捨てゴミの問題を解決する」「若者の社会参加のハードルを低くする」という根っこは同じです。

小さなNPOは資金調達がしづらいが、新しい取り組みも

一つ、NPOという法人の形態において問題があるとすれば、「資金調達のしづらさ」が挙げられると思います。例えば、事業を広げようと銀行から借り入れしようとした際、株式会社と違い、NPOは途端に信用が落ちます(そこに目をつけた「NPOバンク」という仕組みもあります)。最近では日本にも「クラウドファンディング」などの仕組みが普及してきましたが、寄付の市場はまだまだ十分とは言えず、総じて、NPOの資金調達の領域は株式会社に比べて小さいと言えます。

ただ、新しい資金調達の動きも出てきています。例えば、世界的に最近、流行りつつある「社会的インパクト投資」。これは、ある社会課題に対して活動するNPOやプロジェクトに投資をして、課題解決が達成されたら政府や自治体、財団などからリターンを得て、解決出来なかったらリターンを得られないという仕組みです。投資家の立場としては、「儲ける」という意味では企業に投資をした方がいいのですが、ここでは「社会課題の解決を推進する」という意味で別の形で報酬を得ています。投資家と言っても色々な方がいますから、彼らに対して新しい関わり方を提示している仕組みではあるでしょう。

他にも、NPOフローレンスの駒崎弘樹さんなどが提案している「休眠口座をNPOへの寄付に充てる」という話が進んでいたりと、資金調達がむずかしいNPOの市場に、今、少しずつ新たなルールや制度が入ってくる流れになっています。個人的には、こうした流れの中で、NPOに資金を提供する市場がだんだん大きくなっていき、それに比例して、NPOで働こうという優秀な人材も増えていけば良いなあと思っています。

NPOで稼げる人を増やしていく

学生が就職先としてNPOか一般企業のどちらかを考えた際、NPOに就職するモチベーションが下がる理由の一つに、NPOの平均年収が一般企業に比べてまだ低いということが挙げられます(NPO職員の給料は一般企業のそれより低く、概ね200万~300万円程度だとう試算もあります)。「NPOの仕事は社会課題の解消に直結しており、社会からの共感も集めやすい。働き方の自由度も高いし、やりがいもあるから、少しぐらい年収が低くてもいいじゃないか」という風に言う人もいますが、僕は「肉食系の人材」もこの業界に必要であり、高い給料をもらって働く人も、もっと増えた方がいいと思っています。多様性があり、中には「どんどん稼ぎたい」という人たちが入ってきてもいいと思います。

今の新卒の月収は22~25万円ぐらいだと思いますが、グリーンバードでは、今後、新卒で来た人にももっと渡そうと画策しています。そして、年収1000万プレイヤーが出てもいいと思っています(もちろん、その分、社会のためにガッツリ働いてもらいますが)。これが、働き方の選択肢を増やすことにつながるのかどうか、検証してみる価値はあるでしょう。まずは僕たちから、小さくはじめていければと思っています。

横尾俊成(よこお・としなり)
 NPO法人グリーンバード代表/NPO法人マチノコト代表/港区議会議員(無所属)/慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 後期博士課程に在籍中。早稲田大学大学院修了、広告会社の博報堂を経て現職。まちの課題を若者や「社会のために役立ちたい」人の力で解消する仕組みづくりがテーマ。第6回、第10回マニフェスト大賞受賞。月刊『ソトコト』で「まちのプロデューサー論」を連載中。著書に『「社会を変える」のはじめかた』(産学社)、『18歳からの選択 社会に出る前に考えておきたい20のこと』(フィルムアート社)。
HP:http://www.ecotoshi.jp
Twitter: @ecotoshi

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