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ハラケンの「政治を動かす」(5)インターネットと政治②
「投票日告知プロジェクト」の成否は…

ハラケンの「政治を動かす」(5) インターネットと政治②「投票日告知プロジェクト」の成否は…
authored by 原田謙介NPO法人YouthCreate代表

 一人ひとりの声を集めて、法律を変え、インターネット選挙運動を日本でも解禁させることを目指して行った「One Voice Campaign」。解禁が実現し、2013年の参議院選挙で初めてインターネット選挙運動が展開されることになりました。

 政治において選挙という極めて大事な瞬間にインターネットが入ってくることで、政治全体がしっかりとインターネットという便利で進化を続けているツールと向き合うようになるだろう。政治全体の情報発信や有権者と政治家の接点など、政治が大きく変わる第一歩になると信じていました。

インターネット選挙運動をポジティブに

 しかし、残念ながら「インターネット」の力には懐疑的な論調が多く見られていました。「インターネットよりも対面での発信のほうが効果的だ」「投票率を変えるものではない」「誹謗中傷・なりすましなどが多く起こるだろう」などなど。

 もちろん、急に大きな変化が起こるわけではないことはわかっている。もしかしたら、予期せぬ炎上といったインターネットの負の側面が選挙中に起こる可能性もありえる。でも、絶対にダメなことはたった1回の最初の選挙だけを取り上げて、インターネットの可能性を潰してしまうことです。「インターネットは結局使えないもの」と認識するのは間違っています。そうさせないために、インターネット選挙運動を自分たちの手でポジティブにしていく必要を感じていました。

「FIRST STEP」を立ち上げたメンバーたちと

 このような想いから、「One Voice Campaign」を共にやったメンバーなど数人で、「FIRST STEP(http://f1rst-step.com/)」という企画を行いました。概要はSNSを使い、投票日をみんなでリマインドし合う企画です。事前に予約していた投稿が、投票日前日の同時刻に、SNSに一斉に投稿されることによって、選挙のお知らせを日本中に広げます。

自発的な投票への「空気感」を醸成

 この企画の狙いは大きく2つありました。

1:インターネット選挙運動に関してのポジティブな話題を作る
繰り返しになりますが、インターネットと選挙が絡むといいことがあるというニュースを作り、世の中に発信したかった。

2:選挙に行こうという「空気感」の醸成
行政やメディアからの発信ではなく、有権者同士で投票に行こうという「空気感」を作っていくことを目指しました。SNSの持つ「口コミを作る」「相互に呼びかける」特性を活かし、押し付けではない自発的な投票への「空気感」を醸成しました。

 企画への参加はすごくシンプルです。YouthCreateが作った特設サイトより、TwitterまたはFacebookアカウントを用い、投票日前日に投稿されるメッセージの予約をします。登録が終わると、「【投票に行く人を増やす-FIRST STEP-】投稿予約を完了しました!」といったメッセージが、参加者のSNSへ投稿されます。この投稿により、本企画へ参加したことを自分の友人に表明し、さらなる参加者を募ります。

 そして、いよいよ投票日前日に参加者のSNSアカウントから、以下のメッセージが、自動で同時刻に投稿されます。

ネット選挙解禁後、歴史的な最初の選挙。みんなで投票にいこう。明日7月21日は投票日【投票に行く人を増やす-FIRST STEP-】 #FIRST_STEP #選挙 f1rst-step.com

「FIRST STEP」の画面

「FIRST STEP」参加者は4823人に

 結果として、本企画の参加者は4823人。参加者のフォロワー数、友達数、さらに投稿のリツイート、シェア数を合計すると延べ約1000万人が投票日を告知するメッセージを見たということです。

 この企画には多くの団体・個人の協力を得ました。自民党や民主党をはじめとし、各政党の公式HPでの本企画の紹介など、与野党をまたいで本企画への協力をいただきました。ヤフー、Twitter Japan、LINE、楽天など11社のサービスや選挙特設ページと連携し、リンクを掲載していただきました。

 また、コンビニ大手のローソンとも協働し、全国1万1130店舗でのPOS画像(レジ横の画面)や店内放送での告知などによって全国規模での盛り上がりを醸成しました。伊勢谷友介さんや乙武洋匡さん、津田大介さんなど、各界の著名人の方にも協力をいただき、賛同者としてコメントを寄せて頂きました。

 結果として一定の話題を作ることができ、ポジティブなものとして新聞テレビを含め多くのメディアに取り上げていただきました。そして、投票率向上に対して政党・民間・著名人がタッグを組むという事例を作れたこともひとつの成果だと思います。しかし、やはり4823人という参加人数は満足できるものではありませんでした。

 そして、各候補者のインターネット選挙運動の現状は予想をしていたとはいえ、ひどいものでした。もっと候補者を巻き込む企画を進めていく必要があるということも感じました。この時の想いが2014年2月の東京都知事選挙での企画につながります。

【ハラケンの「政治を動かす」】
(1) 「どうせやったって変わらない」と思っている、あなたへ
(2) 若者たちよ、仕掛けよう 日本が危機から脱するために
(3) 「アウェー」の場に乗り込もう
(4) インターネットと政治① ネット選挙運動解禁まで
(5) インターネットと政治② 「投票日告知プロジェクト」の成否は...
(6) 統一地方選挙で選ぶ側の立場を体験しよう!
(7) 「都知事候補だけど質問ある?」~有権者が候補者にツイッターで質問
(8) 2016年を「若者が動き出した」年にしよう!
(9) 政治を身近な位置に置く方法~まずは質問から始めよう
(10) 参院選までに準備したい2つのマイ争点(上)~少子高齢化に注目
(11) 参院選までに準備したい2つのマイ争点(下)~自分の興味・関心から探す

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