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[ career-働き方 ]

仕事って何(3)東大に受かるロボ研究・新井紀子氏
「ホワイトカラーの次へ」

authored by 日経産業新聞「仕事って何」
仕事って何(3) 東大に受かるロボ研究・新井紀子氏「ホワイトカラーの次へ」

 ロボットは東大に入れるか――。国立情報学研究所などが人工知能(AI)を使ったユニークな研究(通称・東ロボ)に挑んでいる。100人を超える参加者を束ねるのが、プロジェクトディレクターの新井紀子教授だ。ロボットやAIの技術が急速に進歩していくと、人間の働き方はどう変わるのか聞いた。

 ――AIが賢くなるとヒトの仕事は奪われてしまうのでしょうか。

 「奪われる。AIの革新により大勢の失業者が生まれる可能性はある。データを解析して一定の判断を下すような業務は、ヒトよりもAIの方が正確に安価にこなせるようになる。例えば銀行員や薬剤師、記者といった職業では、一部の業務はAIがとって代わるだろう。それがいつ、どういった形で訪れるのか。東大の入試をベンチマークに探るのが東ロボだ」

 「AIでは立ち代われそうにない役割もある。個々の行動にデータがない乳幼児を相手にする保育士のような業務は、AIが苦手とするところ。引っ越しする際に何を捨てるか助言するといったこともヒトの能力ならではだ。長期間、物品の移動を追えば、データから不要と思われる物を推定することはできる。ただ、何を残せば新生活が豊かになるか、というアイデアをAIが生み出すのは非常に難しい」

あらい・のりこ 1990年、米イリノイ大院数学科博士課程修了。数理論理学や知識共有、協調学習などを専門にする。2008年から国立情報学研究所社会共有知研究センター長。政府の「ロボット革命実現会議」の委員なども務める。東京都出身。

 ――AIに職を奪われないよう何をすべきですか。

 「AIの台頭により、現在ホワイトカラーに期待されているスキルの多くは価値がなくなる。20世紀後半に醸成されたホワイトカラーを中心に据えた社会システムは変わる。つまり『ホワイトカラーの次』を探っていかなければならない。ヒトの仕事を新たに創出していくには、教育のあり方も見直す必要がある」

 「ヒトの仕事はAIでは担えない『隙間』を埋めることになるかもしれない。私は『年間3千万円を稼ぎ、3人が生計を立てられるビジネス』というのが指標になると考えている。個人が起業する際にも、大企業が新たなサービスや事業を立案する際にもこうした視点が大切になる。数千人もの雇用を数十年間支え続けるという既存の枠組みからは、新たなアイデアは出てこない」

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