「聴き上手」からはじめよう! 3つのコツを伝授
「コミュ力」に悩む学生へ贈る言葉(2)
大学1年生の皆さんだと、入学して1か月あまり。学生生活には少し慣れましたか? もしもまだ「友人となじめない」という人は、話の「聴き方」を変えてみませんか?
「聞き方」ではなく、「聴き方」というのがミソですね。心で聴く。丁寧に聴く。その例としてカウンセラーの聴き方をご紹介します。
そもそも、コミュニケーションというのは、話すことだけでなく、聴くことと両方で成り立っています。コミュニケーションはよく「言葉のキャッチボール」とも言い換えられます。まずはキャッチする方、「聴き上手」からはじめませんか?
カウンセラーの聴くコツとは
<聴き方のコツ その1>
話を聴くプロとして、今日はカウンセラーの話の聴き方をご紹介します。カウンセラーの話の聴き方のエッセンスを取り入れてみましょう。
「聴くコツ」はまず、決して相手の話をさえぎらない、先を急がないことです。とにかくジックリ聴くことに徹する。ただ、ただ聴いていれば、話し手は不思議と自分で話を進め、答えを出す人が多いものです。話している過程で、話が整理できてくるのです。または話したことでスッキリするという効果もあるでしょう。話し手が満足いくまで、聴いてあげる。待つ姿勢を意識してみましょう。
意見を求められたら、その時に初めて何か言えばいいのです。まずはひたすら聴いてあげる。自分の考えや意見を途中ではさまないで。
これは込み入った相談でなくても、「昨日、こんなことがあってね」というような「よもやま話」でも実は同じです。人は意見を求めていない。共感されたくて話しているのです。友人同士なら特にそうです。ひたすら同意して共感すること。それが聴くコツ、聴く心得です。
「結論から言って」というのは、友人同士ではご法度です。「それでオチは?」なんていうのも意地悪。ビジネスマンでも、芸人でもありませんからね。日ごろの会話に結論もオチもいらない。会話は過程が大事です。(就活になったら別です。結論が大事です)
あるイケメン学生くんの質問
こう書くと、「そこまでして、人の話を聴くいい人になりたくない。面倒くさい」という人もいるかもしれません。
実際、そう言った学生がいました。ある大学の授業でこの話をし、聴き方の練習をしたところ、授業が終わってから、スラッとしたイケメンの男子がツカツカと講師の私の前に出てきました。「先生、僕は人の話なんて聴きたくないし、聴かなくても、友だちには困りません」とニコニコ言うではないですか。イケメンです。ニコニコしています。おそらく黙っていても人は集まってくるし、聴かなくても好かれたのでしょう。しかも彼は話が上手です。話し方に嫌味がない。話し方も含めて天性のイケメンですね。
では果たして彼はそのままでいいのか。ダメです。将来、仕事に就くことを考えたら、「聴く力」も磨かなくてはなりません。働くことはチームワークで成り立っています。その基礎となるのが「コミュ力」です。イケメンの彼も仕事では「聴き上手」であることが求められる場面が必ず出てくるので、学生生活では少し意識するようにしましょう、とアドバイスしました。
いいですか! これを読んでいるイケメン、美女のあなた! 労せず友だちに囲まれているあなた方も聴き方を磨くことが大事なんですよ!
目を合わせる
<聴き方のコツ その2>
「聴き上手」になるには、相手の話に興味を持っていることを全身で表します。
視線を合わせましょう。下を向いていては、関心を持って話を聞いているとは思われません。こちらが話しているのに、相手がスマホのゲームに夢中になっていて、嫌な気持ちになったことはありませんか? まずは目を見て、相手と視線を合わせるのが第一歩です。
視線を合わせるのは恥ずかしいですか? それなら「目と目の間」を見ましょう。目と目の間を見ていると思うと、意外と恥ずかしくありませんよ。
ある女子学生から「先生、目を見るって右目を見ればいいんですか? 左目を見ればいいんですか?」と聞かれたことがあります。だから正確に言います。「目と目の間」です。
よく、「鼻を見る」とか、「おでこを見る」とか、「首のあたりを見る」と言うアドバイスもありますが、首を見ていると、距離が近い場合、胸元を覗き込んでいるのかと誤解されますよ。気を付けましょう。どんな距離感にも対応できるのが、目と目の間、鼻の付け根あたりです。
見つめすぎるとおかしいので、時々、瞬きをする際に視線を落とすといいでしょう。あまり怖い顔で見ないでくださいね。少し笑顔で。笑顔の話は次回、詳しく紹介したいと思います。
うなずく、あいづち
<聴き方のコツ その3>
見るからに「よく聴いているよ!」と態度で表すには、話を聴きながら、うなずくことです。あまり小刻みにうなずくとバカにしているようですから、大きくコックリとうなずきます。
また、適宜あいづちを打つのも大切です。合いの手ですね。まずは同意。友だちなら、「うんうん」でもいいし、できればもっと関心を示して「へー、そうなの?」「そーなんだ」「そうだね」などがいいでしょう。同意してもらって、相手はさらに話をしやすくなります。ただし「だよね~」などの短縮系はあまりオススメできません。癖がつくと就活でも出そうですから。
「うそでしょ!」「本当?」「信じられない!」びっくりしたという驚きの共感を示す、学生によくあるあいづちです。むやみと「うっそー!」ばかりを繰り返すのは子どもっぽいのでやめましょう。
「すごい」「やるねー」などは感動の共感です。相手は気分が良くなり、さらに話が弾みます。「ふーん、それで?」「それから?」というのは話を進めるあいづちです。圧迫しない程度にしましょう。あいづちのパターンも多いといいですね。少し意識して工夫してみてください。
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