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ハラケンの「政治を動かす」(7)「都知事候補だけど質問ある?」
~有権者が候補者にツイッターで質問

ハラケンの「政治を動かす」(7) 「都知事候補だけど質問ある?」~有権者が候補者にツイッターで質問
authored by 原田謙介NPO法人YouthCreate代表

 統一地方選挙に絡み1つ記事をはさみましたが、インターネットと政治に関しての第3弾をお送りします。「OneVoiceCampaign」でインターネット選挙運動解禁に尽力したものの、2013年の参議院選挙では残念ながら予想に比べてインターネット選挙運動は活発だったとは言えませんでした。一番悔しかったのは、候補者と有権者の双方向のやり取りがなかったこと。

 インターネットの中でも、SNS(twitter・facebook等)はその特性である双方向性を使うことによって有権者が選挙に参加できるという利点があります。それにもかかわらず、有権者の疑問に対して候補者や政党が答えるという有権者主導の選挙運動が行われていなかったのです。それであれば、YouthCreateがそのような場を作ってやろうと考え、企画を実施しました。

ASK TOKYO 2014#都知事候補だけど質問ある?

 2014年2月に東京都知事選挙が行われました。国政選挙に続き大きな注目の集まる選挙です。ここで考えていた企画を実行しました。企画名は「ASK TOKYO 2014#都知事候補だけど質問ある?」。twitterを通じて、有権者が候補者に対して質問を投げかけることができる企画です。

 企画の概要は以下の通り。
1.ASK TOKYO 2014特設サイトを開設
2月2日17時ごろにサイトをリリースしました。サイトトップのフォームより有権者はtwitterを経由して質問を投稿することが可能です。

2.Twitterを介して、有権者から候補者への質問を集める
サイトを知ってもらうためにインターネット関連企業やtwitterで多くのフォローワーをもつ著名人などに協力をいただき広報を進めました。「#都知事候補だけど質問ある?」というハッシュタグを決め展開し、約3000の質問を集めました。

3.Twitterを介して候補者が有権者からの質問に回答する
2月4日21~22時を回答時間と定めました。まずは集まった質問の中から、運営側が選定した5問の共通質問に回答いただき、その後、寄せられている他の質問の中から各候補者が質問を選んで回答します。回答時間中にもどんどんリアルタイムで質問も集まってきます。

4.候補者の人柄・政策などの情報を今までとは違う方法で明らかにする
各候補者の回答はリアルタイムで特設サイト上に更新されていきます。また企画終了後もサイトをみれば回答を比較し、投票の参考にすることが可能です。政策に関する質問だけでなく、候補者の人柄などに関する質問・回答もあり、様々な角度で候補者を見ることができます。

5.選挙・政治に関心のない有権者も企画に巻き込み、政治・選挙に興味を持ってもらう
回答結果や企画自体について、回答時間以降もインターネット上でドンドン拡散されていきました。

ASK TOKYOの醍醐味

醍醐味は大きく4つあります。
1.立候補者と有権者のコミュニケーションを実現する
冒頭にも書いたようにSNSの特性である双方向性を活かした企画としました。有権者が何気なく投稿した質問に対して、立候補者が本当に答えるという経験や、その状況の可視化はリアルの場では考えられません。街頭演説のような場に行けば、候補者に直接会えますが、質問を投げかけ答えてもらうことはよっぽど政治に関心のおる人以外は難しいでしょう。時間・場所に制限されずtwitterでさくっと質問を投げかけておくだけで良いということは有権者参加のハードルをぐっとさげます。また、拡散性の高いTwitterを用いることにより企画自体の周知や、候補者の回答の拡散を進めることも狙いとしました。

2.誰もが参加しやすく興味を持ちやすい企画にする
政治・選挙に関する企画は固い雰囲気のものが多くあります。政治・選挙への関心が薄い層も参加しやすい企画作りを心がけました。「#都知事候補だけど質問ある?」というくだけたキャッチフレーズにその気持ちを込めました。政策への質問・回答だけでなく、人柄などを知ることにより選挙への親しみが増すと考えました。私が好きな質問と回答のセットはこれです。ずばり「好きなおにぎりの具は?」。この質問に対してなんと3人の候補者が答えました。誰が質問をしたのかわかりませんが、確実に言えるのは「質問をした人は選挙に興味ない」人でしょう。興味があれば政策などの質問をするはずです。

 つまりは選挙に興味のない人までこの企画が浸透したことがわかり、企画側としては嬉しい限りです。さらに、都知事候補が好きなおにぎりの具を言っているということがインターネット上で話題になりました。政治のニュースの文脈ではなく、ネット上の面白ニュースのような文脈で取り上げられました。そうなると政治のニュースを見ない人も、都知事選があることを知り、都知事候補のtwitterを目にするでしょう。ここからは妄想ですが、その結果としてはじめて候補者のHPを見て、さらには投票に行ってしまったという人が絶対にいます。政策とは違う角度から選挙や候補者に興味を持ってもらうことも必要だと考えています。

3.多くの候補者に参加していただく
多くの主要候補者に参加していただくことを目指しました。日本で初の企画であるため、最初は参加に関して難色を示した陣営もありました。しかし、この企画の意義を訴え、陣営が不安に思う点を解消しながら説得を進めました。何度も各候補の事務所を訪れ、デモ版のサイトが完成したタイミングや、他の候補の参加が決まったタイミングなどに合わせて粘り強く交渉を行い、結果4名の主要候補者に参加いただくことができました。

ASK企画のその後と、実現した意義

 結果として30万以上のPVを集め、急に現れた政治系サイトとしてはかなりの反響を得たと言えます。その後ASK企画は2014年12月に行われた衆議院選挙の際に、有権者が各政党に対して質問を行う「ASK NIPPON 2014」という形へ広がりを見せました。今後はこのWebサービスをさらに使いやすいものにして全国の様々な選挙の際に当たり前のように使われ、有権者と候補者の双方向のやりとりの肝となればと思います。

 また、有権者からの企画として有権者の望む企画を作り、候補者をそこに巻き込むという一つの形です。候補者に対して不満をもち受け身で待っているだけでなく、こちらから仕掛けてどんどんと政治環境を素晴らしいものにする一つの形となったのかなと感じています。

【ハラケンの「政治を動かす」】
(1) 「どうせやったって変わらない」と思っている、あなたへ
(2) 若者たちよ、仕掛けよう 日本が危機から脱するために
(3) 「アウェー」の場に乗り込もう
(4) インターネットと政治① ネット選挙運動解禁まで
(5) インターネットと政治② 「投票日告知プロジェクト」の成否は...
(6) 統一地方選挙で選ぶ側の立場を体験しよう!
(7) 「都知事候補だけど質問ある?」~有権者が候補者にツイッターで質問
(8) 2016年を「若者が動き出した」年にしよう!
(9) 政治を身近な位置に置く方法~まずは質問から始めよう
(10) 参院選までに準備したい2つのマイ争点(上)~少子高齢化に注目
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