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脳で読み解く
なぜか好かれる人の「伝え方」

脳で読み解くなぜか好かれる人の「伝え方」

 仕事をスムーズに進めるには、相手に好感を持たれ、信頼されることが大切。「この人と仕事をしたい」「この人の言うことなら素直に聞ける」と思われる人になりたいもの。脳の研究者として活躍する池谷裕二さんに、「好感」や「信頼」が生まれる仕組みを教えてもらった。

安心感と豊かな表情で「好き」と思わせる

 「人間にも野生動物と同様の本能が備わっており、相手が自分に危害を与えない存在だと感じることが、信頼感を抱く第一歩。そのためには一緒にいる時間を長くして、かつ自分が安心な存在だと示すことが大切です」

 テレビコマーシャルなどで何度も見た商品には、初めて見る商品よりも親近感を覚える。これは"単純接触効果"と呼ばれ、長く接しているもののほうが安心だと感じる現象の一つだ。

 好感を持たれるには、相手の視線を引きつける動作も効果的。「表情豊かで大きくうなずく人には視線が引きつけられる。すると脳は"わざわざ目で追っている、この人を好きなのかも"と認識します」

 会話の仕方で相手を引きつける方法もある。「話のなかで上手に間を空けたり、比喩(ひゆ)を用いたりして、『次に何を言い出すのかな?』『どういう意味?』と推測させると、話の真意をくみ取ろうと相手の脳が働き、好感情につながりやすいのです」

相手が知らず知らずのうちに引きつけられる

共感コミュニケーション術

【1】好きになる「行動」

一緒にいる時間をできるだけ長くする

 「以前から知っている」「長く見ている」ものや人は「安全」「安心」だと感じるのが人間の本能。仕事で信頼関係を築きたい相手とは食事を共にしたり、外出に同行したりして、一緒に過ごす時間をできるだけ増やしてみよう。

相手が意識しない程度にさりげなく触れる

 資料を渡す際など、相手が気づかない程度に手を触れるだけで好感を持たれることが分かっている。仲よくしたい相手に呼びかけるときは、軽く肩や肘に手を触れてみて。ただし場所と相手を選び、「さりげなく」がコツ。

【2】好きになる「話し方」

「なんだろう?」と思わせる比喩を使う

 例えば目覚まし時計の音が嫌いなら、「目覚まし時計ってイヤだよね」ではなく「目覚まし時計ってまるで拷問(ごうもん)」など、隠喩や凝った表現で伝えてみよう。「どういう意味?」と相手の脳の活動を促し、関心を引くことができる。

「続きは?」と思わせるような間を空ける

 会話の途中で間を取って「次に何を言い出すんだろう」と思わせたり、大事な言葉を言う前に"ため"をつくったりしてみよう。話のリズムに引き込むことで「自分はこの人の話を面白いと感じている」と思ってもらいやすい。

【3】好きになる「見た目」

大きめの動作で相手の視線を集める

 相手を目で追うことで、脳が「この人を好きに違いない」と推測して、好意が生まれやすくなる。相手の視線が自分のしぐさを追いかけるように、少し大きい身振りや手振りを交え、しっかりうなずきながら会話しよう。

表情で「生きのよさ」をアピール

 生き生きした表情の人には、つい視線が行ってしまうもの。相手の視線を引きつけて好感を持たれるためには、表情豊かに話すことがコツだ。また、笑顔は「自分は安全な存在」と相手に伝える信号なので、ぜひ心がけて。

池谷裕二さん(いけがや・ゆうじ) 東京大学教授。70年生まれ。薬学博士。神経科学と薬理学を専門とし、脳の可塑性を研究。最新の脳科学の知見を分かりやすく解説する。『単純な脳、複雑な「私」』(講談社ブルーバックス)、『脳はこんなに悩ましい』(中村うさぎさんとの共著、新潮社)など著書多数。

(ライター 加納美紀)[日経WOMAN2015年4月号の記事を基に再構成、日経電子版2015年5月8日付]

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