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どうする? 女子のキャリア(1)「就活用キャラ」より自分らしさで勝負

堂薗稚子 authored by 堂薗稚子株式会社ACT3代表取締役
どうする? 女子のキャリア(1) 「就活用キャラ」より自分らしさで勝負

 はじめまして! 就活まっただ中の人も、まだ来年以降という人も、これから社会で働こうというみなさんは、「将来どんな仕事をしようか」「A社とB社どっちがいい?」「いつまで就活すればいいの?」など、いろいろと悩んでいることと思います。

 特に女子の場合は、「正社員ではない働き方はあり?」「3年で会社をやめる人が多いと聞くけど...」「子どもができても働き続けられるかな?」など、就職後のキャリアとワークスタイルにも不安を抱くことが多いかもしれません。

 この連載では、女子学生のみなさんがリアルでは友人にも親にも相談しにくい、キャリアに関する悩みについて一緒に考えていきたいと思います。もちろん男子も大歓迎です!

 私は大学を卒業後、株式会社リクルートに入社し、21年間勤めていました。人材系事業での営業・企画、組織・事業マネジメント業務にも長く携わり、その間に結婚、2度の出産・育休・復職も経験しました。大挫折もあり、嬉しいこともあり、泣いたり笑ったり、とにかく一生懸命に走り続けた会社員時代でした。現在は、経営者に女性活躍を提案する会社を立ち上げて、これまた必死に仕事をする毎日です。

 仕事柄、多くの経営者やメンバーと関わり、面談・インタビューをしたり相談に乗ったりしてきました。そうした経験や私自身の「あのときこうすればよかった」という体験から、仕事をする女性が抱くことの多い悩みに、役に立つアドバイスができたらと思っています。

 わが社はまだ起業してまもない零細企業で、新卒採用なんてとてもできないので、世の中の新卒採用企業を見ると、本当に羨ましく妬ましい気持ちでいっぱいになります。街でリクルートスーツを着た学生を見ても、初々しくてつい目で追ってしまうほどです。企業にとって、新卒採用とはまさに投資。それも将来を見据えた設備投資に近い感覚です。もちろん業種や専攻にもよりますが、新卒にいきなり「即戦力」を求める企業はごく一握りだと思います。

 それでは、企業は学生に何を求めているのか。どんな基準で採用をしているのか。即戦力ではないのだから、いわゆる頭の良さ、学習能力の高さでポテンシャルを測っているのか、というとそればかりでもありません。また志望動機の「スジ」や意欲だけを見ているのか、というとそれだけでもない。もちろん、何万人という学生がプレエントリーする企業では、面接できる学生の数が限られますから、書類選考がある場合も多いのですが、企業はできるだけ多くの学生の「その人そのもの」と接する機会を持ちたいと心から考えているものです。

未来をどこまで想像できるか

 私はこれまで新卒採用事業に関わり、面接する側から数多くの学生さんを見てきました。そのような経験から、面接官を務めるときは、人事から決められている質問以外は、一問一答のような質疑はしないようにしていました。「へえ、それでその後どうしたんですか?」などと、相手の答えに続けて質問し、会話が続いていくようにする。

 また、なるべく相手が準備してきた答えでは答えられないような質問をするようことも心がけました。「この1週間で一番ムカついたことってなんですか?」とか「今朝のニュースでやっていたあの事件、どう思いました?」とか、一瞬、相手が困った顔をするようなことを聞いていましたね。

 自分の一生を決めるかもしれない場でこういう質問をするのは「圧迫面接」と思われたかもしれません。でも、「これはもう素で答えるしかない」と覚悟を決めた学生さんとは、面接対策の借りてきた言葉ではない会話でコミュニケーションができるようになります。そうなれば、恋愛と同じように、「次もまた会いたい」と感じられるかどうか、「もしこの人と一緒にいたら...」と未来を想像できるかどうか、お互い飾らずに本音で判断できる。

 もちろん企業の面接の基準はさまざまですが、やはり新卒採用は「その人そのもの」への投資ですから、「将来うちの会社で活躍してくれそうな人かどうか」という、ぼんやりした、その企業内でアナログに共有されている基準をもって面接をしていることが多いと思います。

別キャラの仕事人生でいい?

 就活以前の学生生活では、自分の「人間性」がはかられる、というような経験はあまりありません。アルバイトの面接やサークル活動、恋人の家族に会うときなどもそういう経験に含まれるかもしれませんが、多くの人は就活での面接で初めて、大勢の中から自分の「人間性」で選ばれたり落とされたりするように強く感じるのではないでしょうか。

 だからこそ、面接の後に連絡が途絶えたり、「残念ながら...」という通知をもらったりすることが続くと、まるまる自分自身を否定されたような気持ちになってしまいます。そうしたつらい経験をすると、次の面接では「この会社はきっとこういう人を求めているんだろう」という対策を練って、それに合わせた「キャラ(人間性)」を演じようとしてしまう。女性に多いのですが、コミュ力の高い人ほど、就活用キャラの使い分けが上手になってしまうのかもしれません。

 これでは「本当のあなた」ではない、別の人間として就職することになってしまいます。無理して作ったキャラで内定したとすれば、それは、そういうキャラが求められている会社だということ。入社して、何十年もそのように演じ続けられるかどうか。自分と別キャラの仕事人生が苦しくならないという自信がなければ、少し考えたほうがいい気がします。

 よく就活は結婚にもたとえられます。片方の思いが強すぎても、片方が疲れてしまう。条件だけが一致してもうまくいくとは限らない。逆に大恋愛の末の結婚が破綻することもあります。もちろん「他にいい人がいるかもしれない」と婚約(内定)後も幅広く探し続けるのもありですし、デート(面接)に備えて自分磨きに励むのも大事です。

 でも、誰もが憧れる人気者(企業)ではなくても、きっと、そのままのあなたと「一緒に働いてみたい」と思ってくれて、あなたもそう思える相思相愛の就職先が見つかるはずです。別にきれいごとではありません。「良い就職」かどうかは、友人や家族の評価ではなく、あなたが実際に働いて決まっていくこと。多くの採用の現場に立ち会い、採用された人のその後の仕事ぶりを見てきて感じるのは、やはり「自分で考え、自分で行動し、自分で決める」ことこそが、自分にも企業にも「良い就職」につながるということです。

 たくさんの新しいルールの中での就活。不安も多いでしょうが、正解がない分、自分自身が納得できる就活が一番なのだと思います。あなたらしく勝負してください! 応援しています。

堂薗 稚子(どうぞの わかこ) 1969年生まれ。92年上智大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材系事業の営業職を経て「就職ジャーナル」副編集長、「リクナビ派遣」編集長、カンパニーオフィサー、ダイバーシティ推進マネジャーなどを歴任。13年、株式会社ACT3設立。女性活躍支援など、企業の組織開発・人材開発にかかわる調査・企画立案、コンサルティング・研修・講演などを行う。二児の母。

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