単語の壁を超えるには、聞く、真似る、書く!
TOEIC超勉強法(3)
前回は、TOEICスコアレベル別7つの壁の特徴と、壁を乗り越えるためのトレーニングの基本素材をご紹介しました。今回は第1の壁:TOEIC220点〈単語の壁〉についてもう少し詳しく述べたいと思います。その前に皆さんに質問です。
「英語の単語はいくつあると思いますか?」
英単語の数は諸説あるのですが、75万語から100万語という説がありました。これを全部覚えようとしたらきりがありませんね。では、どんな単語を覚えればいいのでしょう。当然、よく使われる単語からという答えになるでしょう。では、よく使われる単語数はどのくらいなのでしょう?
ネイティブが知っている単語数は約4万語、その半分の2万語を使っていると言われています。ということは、私たち外国人は2万語が理解できて、1万語を使えればOKかなというという感じがしませんか?
まず皆さんが学校で学んできた単語数を確認してみましょう。中学の基本単語が1000語前後、高校の基本単語が3500語前後、高校の準基本単語が1500語前後、この合計の約6000語が基本単語と言われています。これに、これから皆さんを待っている実社会で使われる単語を足して1万語、2万語と増やしていけばいいでしょう。
第1の壁:TOEIC220点〈単語の壁〉突破法
こんな症状はありませんか? 単語三重苦です。1.単語が覚えられない 2.覚えてもすぐ忘れる 3.覚えたつもりが使えない それぞれについて説明しましょう。
1.単語がなかなか覚えられない
単語が覚えられないという学生さんに、私は「音読していますか?」と聞きます。多くの皆さんはきょとんという顔をします。「音読できない単語は覚えられません。音を聞いて、真似(音読)していますか?」と聞くと、ほとんど答はNOです。「音読しています」という人でも、正しい音を聴いてからとなるとほぼゼロです。言語学習の基本は音。まず「単語は音で覚える」ことをオススメしたいと思います。
2.覚えてもすぐ忘れる
覚えられないという方は、「書く」という作業を加えましょう。指先には記憶装置があるそうです。パソコンを使うようになり、漢字を書かなくなったら漢字をどんどん忘れたという経験はありませんか? 書かないとどんどん忘れていきます。
聞きもせず、真似(音読)もせず、書きもせず――。これでは覚えられませんし、覚えてもどんどん忘れてしまいます。覚えられなければまず聞く、そして聞こえたまま真似る(音読)、忘れないように書く(筆写)これが基本です。一言でいうと、聞いた英語の音読筆写です。
3.覚えたつもりが使えない
「覚えた単語を使えない」という声をよく聞きます。単語は文章の中で覚えないと、使えるようにはなりません。文章や文脈によって単語の意味が違うからです。
次の3点は、使える単語を効率的に増やすためのアドバイスです。
(1)単語帳離れを:単語帳をやめ表現集を
皆さんは、受験時代に単語帳をAで始まる単語から、覚えた単語にチェックを入れ、機械的に覚えた経験はありませんか?そうして覚えた単語は、今でも覚えていますか?覚えていても、使える単語になっていますか?機械的に覚えた単語は機械的に忘れていきます。ABC順に覚えた単語はABC順に忘れていきます。
使える単語を増やすには、文中で覚える、でしたね。単語帳でなく表現集で文章ごと覚えましょう。そうして覚えた単語は、そのまま使える生きた単語になります。
(2)辞書離れを:わからない単語はすぐ辞書を引かない
そもそも知っている単語の少ない人が、解らない単語が出るたびに辞書を引いたら、英語学習=辞書を引くことになってしまいます。貴重な人生の無駄使いです。
訳を見て意味を確認する方が、はるかに効率的です。訳をするのは悪いこと、訳を見るのは良いこと。私のセミナーでは、全てのテキストが訳付きです。これで、受講者は辞書を引く必要がなくなり、音読などのトレーニングに集中できます。
ただし、授業で解らない単語を放っておくと成績に響きますので「授業の単語は辞書を引く。自己学習時は辞書を引かずに対訳を活用」を、おススメいます。
(3)好奇心を活用:気の向くまま、同義語、反意語
単語を増やしたいし、辞書を引くのも苦ではない、という学生さんには、気の向くまま同意語もあわせて覚えることをおススメします。同じいような意味の単語を一緒に覚えれば、単語が増えるだけでなく語感が研ぎ澄まされてきます。
また、反意語を一緒に覚えれば、単語数は自動的に2倍になります。
【まとめ】
単語の壁でもがいている方は、中学1、2年の教科書ガイドをみてください。わからない単語はないでしょう。でも、「わかるとできるは、全く違います」。英語学習は意味が分かったところから始まります。CDを聞き真似る。音読しながら書く。こうした基本動作の愚直な繰り返しからしか、言葉を使う力はついてきません。
英語Newsを素材にした学習誌は、実践的な単語を増やすのに最適です。単語は興味のある範囲でしか増えません。時間があり感性の豊かな学生時代の今こそ、様々なNewsに触れ、興味の範囲を広げていきましょう。
Curiosity is the head engine of learning.(好奇心は学びのメイン・エンジンだ)
私の大好きな言葉です。
次回は第2の壁:TOEIC350点〈文法の壁〉突破法をご紹介します。
「英語トレーニングのICC」代表 千田潤一
http://www.icc-chida.com
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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