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アスリートに学ぶメンタル術(8)モチベーションを高める「目標設定」

大儀見浩介 authored by 大儀見浩介メンタルトレーニングコンサルタント
アスリートに学ぶメンタル術(8) モチベーションを高める「目標設定」

 就活は順調に進んでいますか? 周囲が内定を得ていく中、面接の途中で失敗したり、不採用通知を受け取ったりして落ち込むこともあるかもしれません。

 私は数多くのトップアスリートを見てきましたが、挫折をしたことのない人は1人もいません。誰もが何かしらの壁にぶつかったり、不調の波に飲み込まれたり、怪我に苦しんだりしてきました。それでも、そこから再びはい上がってくる人は、常に上を向いています。この試練が必ず自分を成長させてくれると信じています。落ち込んでもいいことはありません。前を向いていきましょう。

「目標」がやる気を生む

 もちろん「前を向く」といっても、何を目指せばいいのかをはっきりさせていないと、モチベーションを保ち続けるのは難しくなります。その目的地をはっきりさせるのが「目標設定」です。

 リストは目標設定の書き方の一例です。就職活動の目標設定なのに、どうして10年後、5年後の目標を書かなければいけないのか、「?」と思う方もいることでしょう。

 ですが、今みなさんが奮闘している就職活動はゴールではありません。10年後、20年後、そして人生において、あなたが望む生活を実現するための1つの関門にすぎないのです。望む会社に入れば理想の人生になるのではなく、「なりたい自分になる」「こういう暮らしをしていきたい」という目標実現のために、入るべき会社を選択するのです。

 だからこそ、目標には会社に入るということだけではなく、人生の目標も書き入れていきます。人生の目標を考えたら、もう一度志望する会社に目を向けてみましょう。あなたの人生の目標を達成するために、その会社は本当にふさわしい会社ですか? イメージがいいから、人気があるから、入ればみんなにうらやましがられるから、といった理由だけで志望していませんか? 人生の目標という大きな視点に立って、志望企業を眺めてみると、それが本当に自分が受けるべき会社なのかが見えてくるはずです。

 「いきなり人生の目標と言われても、なかなか思いつかない」という人もいるかもしれません。まずは書ける目標からできるだけ具体的に書いていきます。書いていくうちに、どうしても自分のやりたいこととやりたくないことがはっきり見えてくると思います。

 目標設定は一度立てたらおしまいというものではありません。目標やプロセスは時とともに進化し、どんどん形を変えていくものです。ですから、目標設定シートをときどきは見直し、新たに書き直していくことをお勧めします。目標を再確認することにもなりますし、進路変更が必要かどうかはかるきっかけにもなります。また、今週の目標を達成できたか、今月の目標達成に向かっているかチェックすることもできます。

 もう一つ重要なポイントがあります。それは結果ではなく、プロセスを重視するということです。 多くのトップアスリートは、結果だけではなく、課題やプロセス、自分の成長を重視しています。結果にこだわりすぎると、失敗することを恐れ、チャレンジできなくなることを知っているからです。

 結果に至るプロセスや、その過程における自らの成長に目を向けている人にとっては、失敗はいけないことではなく、自分が成長するために足りないところを知る材料にすぎません。「ミスをしたおかげで課題が見つかる」と考えることができれば、ミスを次のチャレンジにつなげていくことができます。「また失敗しそうだ」と思うのではなく、「ここを直せば次はやれそうだ」と思えれば、メンタル的にも次の機会に挑戦するときの姿勢が大きく変わってくるでしょう。

成長のための失敗を繰り返そう

 就職活動を行って、内定を勝ち取る――それがみなさんの目標です。でも、先ほど述べたように、それも人生の目標にとっては一つの通過点にしかすぎません。

 そういう視点でとらえれば、1つの面接の失敗は、成長のためのステップです。面接でしどろもどろになってしまったことで、リラックスやプラス思考が足りなかったと認識できますし、自分をうまくアピールできなかったのは、自分の性格や能力の分析が不足していたとわかるからです。

 課題が見つかれば、それを克服するよう努力していけばいい。そして、その行為が、あなたを成長へと導いてくれるのです。挫折しないアスリートはいませんが、大切なのは、それを成長の機会にしていくことができるかどうかです。結果ばかり見ていると、ちょっとミスしただけで落ち込んでしまいます。でも、プロセスや成長が大切だと思えれば、ミスしたときほど「よし、やってやろう」とやる気がわいてきます。

 もう一度、目標設定シートをみてください。あなたはこれから、このプロセスをへて、大きな目標を成し遂げていくのです。まだ力は足りないかもしれない。だから、成長が必要なのです。そのためには、たくさん失敗し、たくさん学ばなければならない。それに気づいたあなたは、今までのあなたよりちょっぴり成長しているはずです。どんどん失敗して、目標に向かって進みましょう。

大儀見 浩介(おおぎみ こうすけ)メンタルトレーンングコンサルタント。1979年、静岡県清水市生まれ。東海大学第一中学校サッカー部時代に全国優勝を経験。東海大学一高では主将として鈴木啓太選手とプレーした。東海大学進学後、高妻容一研究室にてメンタルトレーニングを学ぶ。現在はスポーツ、ビジネス、教育、行政など、様々な分野でメンタルトレーニングを指導。12年、メンタルトレーニングを広く伝えるため株式会社「メンタリスタ」を立ち上げ、代表取締役に就任。静岡市スポーツ振興推進審議会委員。帝京平成大学非常勤講師。(社)日本スポーツサポートベース協会理事。著書に『勝つ人のメンタル』(日本経済新聞出版社)。

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