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「コミュ力」に悩む学生へ贈る言葉(4)女子大と共学大の違いって何?
見逃せない6つのポイント

上田晶美 authored by 上田晶美キャリアコンサルタント・大学講師
「コミュ力」に悩む学生へ贈る言葉(4) 女子大と共学大の違いって何?見逃せない6つのポイント

 大学は夏休みで、校内は閑散としているかと思いきや、高校生がオープンキャンパスで見学に押し寄せていますね。大学選び、あなたは間違っていなかった?

 結局、どこに入学しても、メリット・デメリットはあります。大規模校vs小規模校。都心校vs郊外校。要はそれぞれのメリット・デメリットを知って、それを補っていくように行動すればよいわけです。

 今日は女子大vs共学大を解説します。

 私は女子大にも共学大にも講師として伺っています。女子大離れと言われていますが、女子大にも良いところがいろいろとあり、その両者の違いをコミュニケーション力というポイントから比較してみたいと思います。

■あいさつ力

 みなさんは学校の入り口にいる守衛さんにあいさつしていますか?(守衛さんとはガードマンさんのことです。学生に「死語」だと言われました。ですが、常識として、知っていてほしいですね)

 入り口のガードマンさんに、行き帰り必ずあいさつをするというのは、某女子大の売りです。これは指導方法というよりも伝統的にそういう習慣になっている場合が多いようです。多くの女子大がそうです。大学生には「ごきげんよう」ではなく、社会人に近い「失礼します」を使ってほしいですね。

 他にも専用バスがある女子大ではバスの運転手さんにもあいさつします。

 これらは共学大ではあまり見かけません。共学大の人に言うと「そんな面倒くさい!」と思うかもしれませんね。

学生から質問を受ける筆者

 ですが、就活の時はガードマンさんにあいさつするのは常識ですよ。しない人も中にはいますが、見られていたら落ちますね。そんなことで? 確かにそれだけで落とすとは言いませんが、一事が万事ということがあります。「あーやっぱり、あいさつできないな」となります。ガードマンさんにあいさつするのは社会人としては常識です。

 共学大のガードマンさんに学生はあいさつしませんが、講師はあいさつして入ります。ガードマンさんも働く仲間であり、仲間にあいさつするのは社会人の常識です。

 就活になったら、面接のマナーについては勉強しますが、ガードマンさんへのあいさつまで教える講師は少ないと思います。でも、企業側は見ています。入り口からエレベーターの中、あらゆるところで見られています。そこで日頃の姿が出るんですね。その場だけ取り繕えばいいと思っていても、意外とできないものです。

■分離礼

 私が持っている女子大の講義では始めと終わりに分離礼をします。言葉とお辞儀を別々に分離して、始めに言葉を言い、後から礼をするあいさつの仕方です。言葉と笑顔を相手に届けてから、落ち着いて礼をする。面接ではこのお辞儀がいいとされており、就活の時期になったら、練習するでしょう。私が行く女子大では私以外にもやっている先生がいらっしゃるようです。つまり、女子大の女子は入学して以来、毎日のように分離礼の練習をしているのです。1日4コマあったら、1日8回も! かなり面倒臭いですね。でもその積み重ねってすごいですよね。完璧にマスターできます。

 共学大では見たことがありません。就活の前に付け焼刃で練習です。もちろんうまくできるようになる人もいますが、4年間1日8回の練習の積み重ねにはかないません。

■両手で書類を渡す

意欲的な女子学生たち

 また、女子大では細かなマナーのことを言われます。例えばプリントをもらったら両手で受け取る。渡す時にも両手で相手の方に向けて渡します。後ろの人にプリントを回す時も両手で相手の方に向けて。英語の先生がその姿を見て「美しい光景だな、と感心しました」とおっしゃっていました。書類を両手で受け渡しする。女子大はこれが習慣化しています。就活の時に、片手で履歴書を渡したりすることはないと思います。そんな細かなことも社会人のマナーのひとつであり、就活でも見られます。

■時間

 時間にうるさいのも女子大です。授業の開始時間の規定がこんなに?というほど厳しい。最近は学生証カードで自動チェックインなので、遅刻、欠席の時間に1秒でも遅れたらアウトです。出席率についても大学全体で何%以上と細かな規定があるのは女子大の方に多いような気がします。だから何なのか。時間を守ることは社会人の常識です。ルーズになりがちな大学生活の中でも、しっかりと時間管理ができる。共学大には少ないように思います。

■リーダーシップ

 ここまでは、女子大が規律正しく動く大人しい羊の群れのような例ばかりでしたが、そんなことはありません。就活で評価の高いリーダーシップを見てみましょう。男子の多い共学大ではどうしても男子がリーダーシップを取るようになります。部長、幹事長、ゼミ長。男子がいれば、男子がリーダーを引き受け、女子はサブリーターに回るケースが多くなります。

ディスカッションする女子学生の様子

 女子がリーダーシップを取れるのが女子大です。つまり、共学の女子よりも女子大の女子の方がリーダーシップを取る機会に恵まれ、成長できる可能性が高いということです。共学大ではリーダーを男子学生に譲ってしまい、女子の機会は少なくなります。

 もちろん、共学大でリーダーシップをとる女子もたくさんいます。頼もしい限りです。ただ、学生時代というのは、「男子に譲った方が丸く収まる。私自身もサブに回った方が可愛く見えるし......」というような意識が働きませんか? 仕事の場面とは違うわけです。

 リーダーシップというのは、持って生まれたものもありますが、経験から習得していくものですね。リーダーになると、調整力や責任感、人前で話すプレゼンテーション力など多くの機会に恵まれて、否応なく成長できます。それを就活でも問われます。リーダーシップを習得する機会が、女子にとっては女子大の方が多いのかもしれません。

■女子大のデメリット

女子大にもいろいろな特長がある

 ここまでは女子大のメリットを話してきましたが、デメリットもあります。まず挙げられるのが、ディスカッション力です。男子も交えたディスカッション力はつきません。女子だけの話し合いは共感しやすく、反対意見もあまり出なかったりと、スムーズに進行します。ところが男女いると価値観は多様であり、それをまとめていくのは難しいものです。例えばディスカッションを壊してかかる「クラッシャー」タイプの人はとかく男子であり、女子ではあまり見かけません。それを学生時代から知っておけば対応できても、就活や社会に出てから初めて遭遇するのでは、対処法がわかりません。

 つまり女子大では価値観が似ており、共感性が高く、いわゆる温室育ちになりがちです。タフさを身に付けるよう心がけて行かなくてはなりません。

 というように、女子大にも共学大にもメリット・デメリットがあります。まずは校風が自分に合ったところを選んで入学していると思います。次はこのメリット・デメリットを知って、それを補完できるような学生生活を送り、コミュニケーション力を磨いて就活に備えてくださいね。

 以上、共学大出身の上田講師でした。

上田晶美(うえだ・あけみ) ハナマルキャリア総合研究所代表。1983年、早稲田大学教育学部卒。流通企業に入社し、広報、人事教育、商品企画などを経験。1994年、出産を機に退職し、キャリアコンサルティング会社のハナマルキャリアコンサルタント(現在のハナマルキャリア総合研究所)を設立。大学生の就職、社会人の転職、主婦の再就職を支援する講演、執筆を幅広く手掛ける。全国20大学、20自治体にも出講。講演は年間200件をこなす。大妻女子大学短期大学部非常勤講師、女性労働協会理事。大学生から高校生まで二男一女の母でもある。山口県出身。ハナマルキャリア総研のサイトはこちらから>>

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