日本経済新聞 関連サイト

OK
liberal arts-大学生の常識

ヴィンテージ・カスタム
80~90年代ブランド品が復権

ヴィンテージ・カスタム80~90年代ブランド品が復権

 1980~90年代にブームとなった海外ブランドが20代の間で復権している。売れているのはバブル世代には懐かしい特徴的なロゴのバッグや、色をカスタマイズできる靴などだ。最近のカジュアルウエアや古着に合わせると、ほどよく自己主張できる個性が人気の理由だ。欧米セレブらが発信する画像やSNSの口コミで火が付き、往年のヒットアイテムが突如脚光を浴びるという構図も。若者を取り込みたいブランド側もあやかろうと仕掛けを打ち出す。

 古着店が集まる東京・高円寺のヴィンテージショップ「ロココ」。店内には80~90年代に流行したシャネルのチェーンバッグ、グッチやセリーヌのモノグラムバッグなど1000点ほどが所狭しと並ぶ。状態のよいブランド品が次々と入荷するとの口コミが広がり知名度が急上昇。代表の青木由美さんは「ファッション感度の高い若者たちが、個性的な商品を探しに来る。母娘での来店も多い」と話す。

 ネットや雑誌でヴィンテージブランド品の露出が増えていた2年ほど前から若年層が店を訪れ始めた。バッグの価格はグッチが2万円前後、シャネルが5万~10万円ほどで、月50個ほどが売れる。店に通ううちにスタッフになったという佐藤菜見さん(23)は、母親(47)の古着に年代物のバッグを合わせるのが好き。「昔のバッグは色合いや細部に味わいがある。古着に合う"こなれた"感じがいい」

 大学生、遠藤美保子さん(23)は、仏モデルがインスタグラムにアップしていた、シャネルの80年代チェーンバッグが気に入り、東京・中目黒の店で探した。普段は母親(50)の持ち物を共有させてもらうことも多く、バブル期に流行したネックレス、ティファニーの「オープンハート」を昨年譲ってもらった。「ツイートしたら友達の間で『欲しい』と話題に。彼氏が朝から並んで買う大ブームがあったなんてびっくり」

店内には80年代のグッチやフェラガモなどのバッグが並ぶ「Rococo」(東京都杉並区)

 新作の中古品を求める訪日外国人客であふれるリサイクル店でも、80年代のバッグを探す日本の20代、30代が目立つようになった。80~90年代はロゴの多用や奇抜なフォルムといった個性的なデザインの商品が多く、欧州や米国でヴィンテージ専門に買い付けるバイヤーも増えつつある。需要の高まりを背景に「5年前の査定で1万円くらいだったヴィンテージシャネルの買い取り価格が、いまでは数万~数十万円に上がった」とコメ兵銀座店(東京・中央)の岡田明大ブランドバッグ・グループリーダーは言う。

カスタマイズできるロンシャンのトートバッグが20代に人気(大阪市の阪急うめだ本店)

 かつての人気モチーフを使った商品の復刻も盛んだ。グッチでは「バンブー」を使ったトートバッグなどを復刻。百貨店関係者は「若年層に加え、かつてブランド消費をけん引した40~50代にも売れる」と話す。

 4年前は50代以上の顧客が半数以上を占めた皮革ブランドのロンシャンも、20代のファンを増やしている。主役は往年のヒット商品、ナイロン製トートバッグの「ル・プリアージュ」。軽くカラフルなバッグは90年代に旋風を起こしたが、近年は存在感が薄かった。若年層に再び注目される契機となったのは、2011年に百貨店1階で始めたカスタマイズイベントだ。

 本体や持ち手の色を選んで自分好みのトートを作るという趣向で、価格は1万4000~2万円程度。「かわいく、手ごろ」な点と色を変えられる遊び心が、カジュアル志向の若者を捉えた。1週間のイベントは今や、1店あたり平均2000個を超す売れ行きになった。客の大半が20代という。

 同じくカスタマイズで20代の関心を引き寄せたのが、フェラガモの靴「ヴァラ」だ。丸みのあるつま先とリボン飾りが特徴で、バブル期にブームが到来。現在の価格はベーシックなもので7万5600円だ。

フェラガモのシンボル的存在でもある「ヴァラ」はリボンモチーフが特徴

 昨年、20代の間で再ブレークしたのは、本体、リボン、ヒールの色を選べるオーダーイベントがきっかけ。同じ「ヴァラ」シリーズのヘアアクセサリー、カチューシャも昨年、ブランド側の予想を超えてヒットした。テレビドラマでタレントが着けた品が話題を呼び、異例の追加発注をかけたものの、各地の店頭から次々と商品が消えた。

 歌手のテイラー・スウィフトら若者のファッションリーダーが身につけた品は、ネット時代ならではのスピードで情報が拡散し、またたく間にブームを起こす。往年のヒット商品も例外ではない。突如、息を吹き返し、ブランド側を慌てさせることも珍しくなくなってきた。
(企業報道部次長 松本和佳)[日経電子版2015年7月5日付]

【関連記事】
イートイン、暮らしにIN 新人記者が1週間密着
1位嵐、上位に新顔も 15年タレントパワーランキング
人気俳優はなぜ一般人と結婚するの...芸能界の大疑問
エンタウオッチング2015年、注目の若手 女優&男優トレンド分析
「日経College Cafe」のお勧め記事はこちら>>