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海外で働く、なでしこたち(5)カンボジアで働く
日本人女性からのアドバイス

海外で働く、なでしこたち(5) カンボジアで働く日本人女性からのアドバイス
authored by 濱田真里『なでしこVoice』代表

海外就職は、日本の就職のように決まったルートがない!

 今回は、今年の夏からカンボジアでマッサージ店を経営する25歳の女性の話をお届けします! 彼女の目標は、ビジネスを通して東南アジアの教育格差をなくすこと。マッサージ店の経営を通して現地の女性の雇用を増やしたり、技術や語学習得を支援して女性の自立につながる活動をしたりする予定です。出会った時はカンボジアのカの字も出なかったのですが、着々と海外就職への道のりを進め、ついに現地に飛び込むまでに至った彼女に、海外就職をする際に心がけた3つのことを教えて頂きました!

「1度も行ったことがないけど、この国で働くことを決めました!」という人がいることもしばしば。留学や旅をした時の経験からまたこの国で働きたいと戻ってくる場合も多いです。

 はじめまして。大角佳代です。2015年夏からカンボジアシェムリアップでマッサージ店を経営することになりました。私は函館生まれ北海道大学出身の生粋の道産子で、就職をきっかけに東京に出てきました。スタートは保健師として東京都の区役所で働き、その後出版の仕事を経験して今の仕事についています。そんな私の経験から、将来海外を目指す方たちに3つのアドバイスを贈りたいと思います。

<海外就職活動アドバイス1>
仲間を集める

 自分の夢を素直に語れる友達、仲間を作って海外へのモチベーションを語れる環境を作るのはとても大切だと思います。なでしこVoiceの参加者の方々はそういうモチベーションを持っている方が多いので、イベントに参加した時は自分の素直な気持ちを話すことができました。「自分は海外で働きたい」「こういうことをしたい」と言って、「いいね!」と応援してくれる、または応援しあえる仲間との時間はとても貴重です。海外を目指すことが当たり前の環境を作っていくと、自然とチャンスや情報が入ってくると思います。

<海外就職活動アドバイス2>
毎日「海外に行って活躍する自分」を妄想する

 私の場合、1日1回は「海外とつながること」を考える時間をとるようにしていました。例えば、なでしこVoiceのインタビュー記事や海外ニュース記事を読む、英語フレーズを覚える、日本の伝統文化に触れるなど、大切なのは「将来私は海外に行く日本人だ」という意識を持って生活することです。

 そうするとモチベーションがキープされますし、日本や海外への視野が広がります。特になでしこVoiceの記事は働く女性にフォーカスされているため、自分と投影しやすかったです。モチベーションが落ちそうな時は、先輩方の記事を読んで「自分だったらどう進むかな?」と考えるようにしていました。

<海外就職活動アドバイス3>
すでに海外で働いている人のとった行動、聞いたアドバイスを実践する

私は以前、なでしこVoice主催の安田菜津紀さんの講演に行きました。安田さんは若くしてフォトジャーナリストとして大活躍されていますが、最初のスタートは「自分の写真を色々な出版社に送ったこと」だったと話していました。ここから学べることは、「自分の思いをたくさんの人にアピールする」ことの大切さだと思います。

 たとえば、毎日facebookに海外への思い、仕事への思いを書いてもいいかもしれません。全く同じ方法は無理だとしても、実際に海外で働くきっかけを得た人がやってきた行動を、自分にも置き換えて実践するのは価値があると思います。

 私も「海外で働きたい」と言い続けることで、たくさんの人やコミュニティを紹介してもらうことができました。「海外で働く」というのは日本での就職のように決まったルートがないため、さまざまな化学反応で繋がっていくと思います。

 なでしこVoiceでは実際に海外でビジネスを経験している人や働いている多くの女性たちの生の声を知れます。そこからひとつでもいいので習慣や行動を真似して実践すると、意識的にも環境的にも変わっていくのではないでしょうか。


「英語力が不安」というご相談もよく受けますが、国や仕事内容によってはほとんど英語を使わない場合もあるので、ケースバイケースです。

海外で働きたい日本人女性たちの悩みとは?

 海外就職をした大角さんのアドバイスをお届けしましたが、実際に海外で働くとなると、さまざまな不安や悩みが出てくるもの。今までにたくさんの女性から相談を受けてきました。帰国してからの再就職について、英語力について、現地での生活についてなど......。

 その中でも多いのが「結婚や出産のタイミング」。私がなでしこVoiceを立ち上げたのも、結婚や出産、子育てというタイミングでキャリアをどう続けるかを考える必要に迫られる女性が、一体どのようにして海外で働くという選択肢を実現させているのかが気になったことがきっかけでした。海外に飛び出す女性は、上記のことをどのように考えているのでしょうか? カンボジアで働く予定の大角さんに、同じ質問をしてみました。

Q.海外で働かれる予定ですが、今後の結婚や出産のタイミングについて、どのように考えられていますか?

 私は以前、「海外で働いたら、婚期逃しちゃうかも」「素敵な人と出会えないかも」という不安を持っていました。ですが、今は考え方が変わって、「現地でパートナーを探せばいい」「現地で子育てをすればいい」と考えられるようになりました。なぜ不安を感じるかというと、どこかで「結婚前に日本に戻ってきて、日本で子育てをしなくてはいけない」といった暗黙のルールを作ってしまっているからなのかなと思います。そのルールが海外への一歩をストップさせているのなら、「結婚のために日本に戻ってくる」のではなく、「海外で結婚する、そのまま海外で働く」という思考にチェンジすればいいのではないでしょうか。結婚しても、出産しても、海外で働きたいなら海外にいてもいい! と考えればとても楽になります。そういう発想にならないのは、海外での子育て情報が少ないためだと思います。ですが、これからの時代、「海外で子育て」も増えてくるのではないでしょうか。何を言いたいのかというと、「海外に行った場合に想定される未来が怖くて一歩踏み出せない」という場合、「現地で達成する方法を考える」という思考がとても大切になるということです。友達と離れるのがつらいなら、呼べるようにするか、現地で友達を作ればいいとか、家族と離れるのが寂しいなら、家族を呼べるくらい稼ぐとか、家族と一緒に海外に行くとか、方法はいろいろあります。そういう新しい発想の転換で「自分の人生ってこういう可能性もあるんだ」と気づくことができ、今の悩みが解決されていくのではないかと思います。

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海外で働くために必要な視点

 いかがだったでしょうか? 彼女の声からもわかるように、本当に海外で働きたいと思うのであれば、「どのようにして海外でやりたいことを実現させるか」という視点で考えることが一歩踏み出すために必要なのかもしれません。未来のことは、悩んでもわからないもの。まだ見ぬ未来に不安を抱くのではなく、選んだ道を正解にするための行動をポジティブに取り続ける。そのなかで新たな可能性が開けたり、やりたいことが実現したりするのだと思います。

 まずは実現させたい未来に向かって、一歩踏み込んでみてはいかがでしょうか。進むことで見えてくる世界が、きっとあるはずです!

濱田真里(はまだ・まり) 『なでしこVoice』代表。1987年生まれ、早稲田大学教育学部卒。大学3年次に1年間休学をして22カ国を旅する。 2011年に世界で働く日本人女性のインタビューサイト『なでしこVoice』を立ち上げ、400人以上の海外で働く日本人に取材をする。大学卒業後、通信事業会社、編集事務所を経て、現在は『なでしこVoice』の運営や、アジアで働きたい人の応援サイト『ABROADERS』編集長として活動中。

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