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スポーツ女子の就活事情(1)「女子体育会系」は就職に不利!?

スポーツ女子の就活事情(1) 「女子体育会系」は就職に不利!?
authored by 八木彩香フリーライター

 学生の皆さん、こんにちは。フリーライターの八木彩香(24)と申します。学生時代はサッカー部に所属し、大学女子サッカー選手権で優勝したこともあります。卒業後いったん就職したもののすぐに辞め、ライターの道を選びました。そんな体育会系の私の経験をもとに、「スポーツ女子の就活事情」をご紹介しようと思います。

体育会系には厳しいスケジュール

 2015年から就職活動の解禁日が8月1日に変更されました。スケジュールの大きな後ろ倒しにより、例年以上に混乱と不安が入り混じった就職活動が行われているのではないでしょうか。そのような状態の中、実際にフタを開けてみると、リクルートキャリアが8月27日に発表した2016年春卒業予定の学生の就職内定率は70.6%(8月15日時点)。他の調査を見ても7割程度の学生が内定をゲットしているという比較的良い結果が出ました。

 2015年春に卒業した大学生の就職率を見ると96.7%と4年連続で上昇(文部科学省・厚生労働省調べ)。これらの数字にも表れている通り、景気の回復にともなって、学生に有利な売り手市場化が進んでいます。

 しかし、一人ひとりの声に耳を傾けてみると、一概に「就職活動が楽になった」というわけでもなさそうです。筆者が大学時代に所属していた部活動の後輩に話を聞いてみると、「試合シーズンに突入し、なかなか就職活動に時間がとれない」と、不安な様子がうかがえました。そう、スポーツに励む学生の中には、スケジュールの後ろ倒しによって満足に就職活動に時間をとれず、さらに精神的な負担によって競技にも集中できない人が少なくありません。体育会系の学生にとって4年生の夏は集大成に向けての大切な時期。不安定な精神状態で苦しんだ、そして今もなお苦しんでいる人もいるはずです。

スポーツ女子ならではの3つのポイント

 さてスポーツ女子の就活について、筆者自身の経験談を交えて紹介していきます。スポーツに励む体育会系といえば、おそらくほとんどの人が「就職活動に有利」という印象を持っているのでは? ここだけの話、確かに筆者の周りの成績が優秀な体育会系学生の中には「先輩が人事を紹介してくれるって!」「今日もリクルーターのOBに会ってきた」など、いわゆる体育会系枠で、スルスルと内定が決まり、「あとは最後の大会に向けて全力を尽くすだけ」という理想ともいえる状況の人もいました。しかしこういったケースは、なかなか女子に当てはまるものではないと感じています。私自身が就職活動を経験して、そして周りの学生の様子をみて、体育会系女子が覚えておくべき3つのポイントをまとめてみました。

(1)OBとのつながりが薄い

 現在、体育会系の部活に所属する学生の皆さんに質問です。あなたの部活は創部何年目でしょうか? もちろん例外はありますが、一般的に男子部より女子部のほうが歴史が浅いことが多いでしょう。創部してからの歴史が長い男子部では、OBがすでに企業で力のある位置にいたり、「入社した先輩が後輩を代々支援する流れ」が確立されている場合も少なくありません。しかし、歴史が浅い女子部ではOGが支援してくれる伝統が構築されていないことがほとんど。

大学時代のサッカー練習中の筆者
大学時代のサッカー練習中の筆者

 そこで筆者が就活のときにまずやったのは、男子部の部室に置いてあるOB名簿を友人に頼んで借りることでした。そしてコピーした名簿をもとに、手探り状態で数名のOBに連絡。男子部の場合は、就職活動時期にもなると、自然とOBのほうから声がかかりますが、女子部では誰も、何もおしえてくれません。OBの方々は私が連絡すると、快く会ってくれました。そしてそのとき、「女子部の子からは初めて連絡がきた。女子はみんなどこに就職しているの?」と言われたのです。自分から動かないのが悪いと言ってしまえばそれまでですが、OBと巡り会えるチャンスの確率を考えると、女子部の場合グッと低くなっていることは間違いなさそうです。

(2)企業の体育会枠では男性が優先

 以前、ある企業の人事からこのような話を聞いたことがあります。「新卒を採用するときはキャラクターのバランスを考えて決めることもあるんだよね。全員がメガネをかけてたり、全員が体育会系だったら入社後に仕事を振り分けにくくなるから」

筆者が出場した全日本女子サッカー選手権の様子
筆者が出場した全日本女子サッカー選手権の様子

 もちろん全ての企業が当てはまるわけではありませんが、企業の採用枠には少なからず体育会枠というものがあるようです。特に体力が必要とされる金融や商社の営業には、体育会系の採用が優遇されることも少なくありません。逆にその枠からはみ出した場合は、「お祈り」されてしまうというわけです。

 体育会系女子は、女性の中では体力があるのは間違いありませんが、やはり男性と比べると劣っているのは事実。つまり、企業側は体育会系枠では主に男性を選ぶのが一般的でしょう。また、男女雇用機会均等法が成立しているとはいえ、まだまだ男性を多めに採用する企業も多いのが現状です。筆者が採用試験を受けた某テレビ局では、最終面接に残ったのは男性15人、女性15人。その中で最終的に内定をもらったのは、男性はほとんどなのに対して女性は5人程度と、大きく差がついていたのです。関係者に話を聞いてみると、例年このようなバランスになるとのこと。もちろんこれは一例ですが、このような企業は多い気がします。つまり、体育会系女子の場合、いわゆる「体育会系枠」に期待しないほうが賢明と言えるでしょう。

(3)総合職で活躍する女性のロールモデルが少ない

 アベノミクスが「女性が輝く日本」という目標を掲げたこともあり、企業の役員や管理職の女性の割合が上昇傾向にあります。出産、育児休暇後のキャリアの保障する企業も増え、女性の社会進出が当たり前となってきました。このように、女性にとっては働きやすい世の中へと変化していますが、まだまだお手本になるキャリアプランは非常に少ないと言えるでしょう。

試合の集合写真
大学時代の試合の集合写真(後列の右から3人目が筆者)

 就職活動時に女性が悩む「総合職か? 一般職か?」という選択だけでなく、企業によっては事務系総合職や地域限定型採用という働き方の選択肢も出てきています。この悩みに関しては体育会系女子に限ったことではありませんが、アクティブに活躍したいと考える人が多い体育会系女子は、総合職においてのキャリアプランに悩むことも少なくないようです。筆者が就職活動をしたときは総合職で活躍しているOGの方に巡り会うことができず、どのようなキャリアを選ぶべきか、そもそも総合職で活躍するのは現実問題として難しいのか、という不安がよぎることもありました。

 以上のように体育会系女子の就職活動はまだ不安な要素が多いのが現状なのです。他の学生と比べ、練習や試合で就職活動にあてる時間が少なくなることも大きな不安要素だと思います。そしてOBなど頼る人もいない、ロールモデルも少ないとなると「ひょっとしたら体育会系なのに有利どころか不利!?」とまで思えてくるかもしれません。

 筆者からできるアドバイスとしては「とにかく行動を起こすこと」そして「貪欲に知りたいと思うこと」です。スポーツをやるにしてもルールを知らなければ何もできません。まずは就職活動の基本ルールを把握すること、そして「これだ!」と思える企業や人に会えるまで貪欲に知りたいと思い続ければチャンスは増えるはず。コツさえつかめれば、きっとあなたは思う存分に力を発揮できます!

八木彩香(やぎ・あやか) フリーライター。1991年、東京都出身。早稲田大学卒業。学生時代はサッカーに励み、大学女子サッカー選手権で優勝し日本一に。東証1部上場企業を2カ月で退職し、現在はライター、編集者として奮闘中。フリーライターでありながら特技はフリーキックです。ツチノコを探し求めて自転車で日本中を冒険しました。好きな言葉は「ハクナマタタ」(どうにかなるさ、の意味)。ツイッター(https://twitter.com/___hachimo___)はこちらから>>

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