ディスカッションのコツ(上) 授業でも社会でも役立つ
「コミュ力」に悩む学生へ贈る言葉(5)
前回、「女子はディスカッションが苦手な人が多い」ということを書きました。男子にももちろん苦手な人はいます。大学生活の中で、ディスカッション力を付けて行きましょう。そのポイントを解説していきます。
ディスカッションの重要性
ディスカッション力を付けることがなぜ重要かというと、まず第1には、就活の試験の中にディスカッションを取り入れる会社が多いということがあります。面接試験が3回あるとしたら、1回はディスカッションというところが多くなってきました。これがなかなか難関です。出題されるテーマや、スタイルが事前に分かりづらいということもあります。中には過去問を検索してわかる場合もありますが、ほぼ出たとこ勝負ということになり、本人の日ごろの力が試されます。
第2に、社会に出たら、会議、会議だからです。1人で考え、決定して会社が動くことはなく、チームで仕事を進める際に、会議は必須のものです。その会議をいかに効率よく進められるようになっておくか。コツを身に付けておいて欲しいですね。大学生活の中で、培ってほしい能力の1つです。
ブレーンストーミングとの違い
みなさんはブレーンストーミングというのは知っていますか? 大学の講義の中にブレーンストーミングを取り入れる先生は多いようです。最近の学生の傾向として、「空気を読む」世代特有なのか、ブレーンストーミングは好きですね。けれどもディスカッションとなると苦手意識がある。それどころか、ディスカッションもブレーンストーミングになってしまいがちです。反対意見を出しづらいのでしょう。ブレーンストーミングとディスカッションとは違います。ではます、ブレーンストーミングとはどんなものでしょうか?
ブレーンストーミングというのは、アイデア出しです。複数で、良いアイデアをどんどん出し合っていく。「3人寄れば文殊の知恵」というように、皆で知恵を絞ります。その時のルールは、出た意見について、否定しないということ。発展させるのは良い、というものです。どんな意見も皆に受け入れられるので、気楽に発言できるし、否定されることがないと思うと、たくさんの意見を出せますね。賛同しかない「いいね」の集積です。
ブレーンストーミングは企業においても行うことはあります。「新しいキャンペーンの企画をまずはブレーンストーミングしよう」とか。ただし時間のかかる非効率なものになりますので、効率優先の企業活動の中では機会は少ないでしょう。就活の試験の中ではまずありません。
ブレーンストーミングでアイデアをたくさん出す練習をするのはいいことです。でもディスカッションはそれとは違います。
ディスカッションは結論が必要
ブレーンストーミングとディスカッションの違いは、ディスカッションには結論を出すことが必要ということです。結論は1つなのか、3つあるのか、それはテーマによりますが、とにかく皆で話し合って、到達点がある、つまりゴールがあるということです。このゴールを確認して話し合いを進めることが必要です。
就活試験では、結論が出なくても受かる場合もありますが、本来ならば、必須です。その結論が良いものかどうかももちろん大切です。正解がある場合には、正解に近い答えに到達したグループは高得点になります。どんなグループに入るか、運もありますね。
会社での会議はゴールが重要です。「今日は時間切れなので、また明日」なんてことを繰り返していては、いつまでたっても方針は決まらず、利益を出せません。企業活動は締め切り重視、結論ありきです。
だからといって、就活試験の場合は「結論が早く出ればいい」というものではなく、時間いっぱい深い話し合いをすることが求められます。決められた時間を有効に使うことが大切です。
ディスカッションで見られるのは
就活試験のディスカッションで見られているのは次の3つの側面といえます。
(1)発言内容
結論を出すのに役立つ有益な意見を出せたか。論理的で個性的な意見だったか。評論家にならず具体的なものだったか。
(2)発言の仕方
結論から話せたか。だらだらと長く話すことなく、的確でわかりやすく話せたか。説得力はあったか。
(3)討論全体への関わり方
司会役はもちろんのこと司会役でなくても、話し合いを進行する働きかけができたか。意見をまとめていけたか。結論を出す役割を担えたか。
などです。
以上のポイントに注意して、次回は具体的にどのように話し合いに参加すればよいのか、そのための準備について解説していきます。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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