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最悪から学ぶ世渡りの授業(4)気づけ! 中小企業の存在感に

最悪から学ぶ世渡りの授業(4) 気づけ! 中小企業の存在感に
authored by 黒沢一樹キャリア・コンサルタント NPO法人「若者就職支援協会」理事長

 「えっ!そんな聞いたこともないような会社やめときなさい」
「大手企業に行くことが、あなたにとって幸せなのよ」

 親からこんな言葉を浴びせられ、途方に暮れた学生から相談を受けることが、昔からけっこう多いのです。

 子供を思う親心と言ってしまえば簡単ですが、実は無責任なアドバイスです。名前を聞いたことがなくても優良企業はありますし、有名な大企業だからといって安心できる時代ではないことは、シャープの例を見てもわかるでしょう。親たちが過ごした時代と今とでは状況が違うのです。

 そこで今回は、就活をする際に知っておいたほうがよい「中小企業」のお話。就職後のことも含めて、今一度、僕と一緒に考えてみましょう。

中小企業って何?

 「中小企業」は、辞書にこう書いてあります。

 経営規模が中程度以下の企業。中小企業基本法によると、小売業では資本金5000万円以下、従業員50人以下、サービス業では資本金5000万円以下、従業員100人以下、卸売業では資本金1億円以下、従業員100人以下、工業・鉱業・運送業などでは資本金3億円以下、従業員300人以下の企業をさす。
(松村明監修『デジタル大辞林』小学館)

 「2015年版中小企業白書」によれば、中小企業法で定めた大企業の数は約1.1万社で、全企業数の0.3%。一方、中小企業は385.3万で、全体の99.7%を占めています。つまり、日本のほとんどの会社は中小企業。ではなぜ、学生やその親御さんは、中小企業を選ぶことに対して懐疑的なのでしょうか?

中小企業の悩みは認知不足と人材不足

 中小企業に目を向けない理由の多くが、「知らないだけ」ということです。

 「どんな会社があるのか」「給与体系は」「そもそも安定しているのか」などの情報が学生や親御さんに届いていない。

 その結果、名前を知られていないというだけで内定を辞退されたり、そもそも説明会にすら人が集まらなかったりする現状が、中小企業にあります。

法政大学でおこなった就活セミナーでの一コマ

 そして、中小企業にとってはもう一つ、人材不足という悩みがあります。

 大学全入時代を迎え様相が変わりました。ネットエントリーの普及により、誰もが平等に企業へのエントリーができ、自分のレベル感からはほど遠い大企業を目指してしまう人が増えたのです。

 そのため、中小企業へのスムーズな人材流入が難しくなりました。

 さらに、グローバル化の流れを受け、大企業では海外の学生を採用する動きが活発です。

 日本の学生たちにとっては、思わぬライバルの出現です。大企業への就職はさらに難しい時代に入ったのです。

 となれば、学生の皆さんは、必然的に中小企業に目を向けなければならないということになります。

 では次に、具体的な優良中小企業の探し方について考えてみましょう。

わざわざ求人広告を出さない企業アリ

 実は、あえて求人広告を出さない中小企業があります。つまり、それだけ人が集まる「優良中小企業」ということ。

 採用方法は、縁故採用や紹介。岩波書店がネットで公開した応募資格に「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」と明記した件が、2年前に話題になりました。

 それ以外では、勝手に学生側が調べて応募してくるパターンです。

 では、そういった「優良中小企業」を探すためにはどうすればよいのか。

 私がおすすめしているのが、業界新聞や専門雑誌などに出ている企業です。

 掲載されるということは、何かしらの技術・研究開発や新規事業の開拓など、新しい何かを発表しているはず。将来性のある企業の可能性が高いのです。

 また、ネットで業界内における市場占有率を調べて、上位企業に応募するのもアリ。

 特に部品製造関係のBtoB企業がおすすめ。オンリーワンの中小企業がたくさんあるからです。まだまだ日本の製造業には底力があります。

 あとはエネルギー関連も今は伸び盛り。ネットや図書館などを駆使して、気になる業界や職種の業界新聞、専門雑誌を読んでみることをおすすめします。

あくまでも、あなたにとっての良い会社

 会社選びで、忘れてはいけないことがあります。

筆者の活動団体は、東京都のキャリア教育協議会に所属し、早い段階から学校現場において、中小企業を知ることの大事さを訴えている

 それは、良い会社とは「あなたにとっての良い会社」であること。

 そこで、特に中小企業の場合のチェックポイントをここでご紹介します。

〇社歴
社歴が長ければ安定感があるかもしれませんが、前例踏襲主義で動きの鈍い会社かもしれません。社歴が短くても、勢いと成長性に期待がもてるかもしれません。しかし、その分安定感に欠けていたり、個人の裁量の範囲が広すぎて疲弊したりすることも考えられます。

〇男女比
男性と女性の比率はどの程度が働きやすいのかを考えてみましょう。ほとんど女性がいない会社、女性も責任ある仕事を任されてイキイキと働く会社......1日の大半を会社で過ごすことを考えれば、無視できない要素です。あなたの感覚で構いません。
また、年齢構成も意識してみてください。

〇定着率
定着率は、「ブラック企業度数」を測るうえで大事なチェックポイントです。

 私のおすすめは、3年前と5年前に入社した人数を確認し、それぞれ今在籍している人数を聞いてみること。ほとんど残っていないのであれば危険信号点滅です。

 以上の内容を自分で確認できればよいのですが、難しい場合は、大学の就職支援課などに確認してもらうとよいでしょう。聞きづらいことも聞いておかなければ、あとあと痛い目に合うので、しっかりと確認しましょう。

ネガポジ・レッスン4

 必要な情報は、己でつかみ取れ!
情報があふれる時代は、信頼できる情報の収集能力だけではなく、情報取捨選択能力を磨くことが必要です。
目の前の情報を自分で判断する能力。この能力を磨くためには、自分の身の丈を知り、自分がどう思うかに従って情報を取捨選択することです。
他人の声・評価に流されないこと。自分の心身を使って判断する気概をもつこと!

黒沢 一樹(くろさわ・かずき) キャリア・コンサルタント。NPO「法人若者就職支援協会」理事長。人材労務支援機構.LLC 代表社員。定時制高校教育ディレクター。 1981年山口県生まれ。姓は4回変わる。高校を入学式で辞め、塗装工・ビアガーデンのホールスタッフを経験後、板前となる。しかし、ケガにより板前の道を断念。 その後、上場企業から零細企業、俗にいうブラック企業も経験し、さまざまな職業と会社を渡り歩く。34歳となる今では、2度の起業失敗を経て、50を超える会社就業経験をもつことになる。 現在は、研修講師として全国を飛び回る傍ら、日々、就職に悩む若者の相談業務にあたる。明治大学リバティアカデミー講師も兼務。 最悪な経験から導き出された思考法「ネガポジ・メソッド」創始者。 著書に『最悪から学ぶ 世渡りの強化書』(日本経済新聞出版社)、『ネガポジ就活術』(鉄人社)などがある。

最悪から学ぶ 世渡りの強化書
―ネガポジ先生 仕事と人間関係が楽になる授業―

著者:黒沢 一樹
出版:日本経済新聞出版社
価格:1,404円(税込み)

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