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[ skill up-自己成長 ]

やる気スイッチを入れよう(1)大学生活を2倍楽しむ
3つのステップ

菊入みゆき authored by 菊入みゆき明星大学特任教授、JTBコミュニケーションデザイン
ワーク・モチベーション研究所長
やる気スイッチを入れよう(1) 大学生活を2倍楽しむ 3つのステップ

 学生の皆さん、こんにちは。明星大学経済学部の特任教授で、JTBモチベーションズ ワーク・モチベーション研究所長も務める菊入みゆきです。本コラムでは、皆さんが、学生のいま、キャリア意識やモチベーションをどう持てばいいのか、説明していきたいと思います。

 大学生の生活は、意外に忙しいですよね。勉強の他に、サークルや部活、アルバイト、友達づきあいなど、時間も気も使うことがたくさんあります。「あれも準備しなきゃ」「これもやらなきゃ」と義務感でこなしていると、楽しいはずの大学生活が、なんだかつらい修行のようになってしまいます。せっかくの数年間を最大限楽しむためには、自分の気持ちのコントロールも大切です。

「~しないとヤバい!」と考えていませんか

 例えば、課題のレポートがあったとします。もうすぐ提出日。あなたは、どんな気持ちでレポートを書き始めるでしょうか。

 「レポートやらなきゃ」と心でつぶやいて、パソコンを開く、というのがよくあるパターンだと思います。自分の頭の中の「やらなきゃ」という言葉で、モチベーション(やる気)が高まり、からだが動いたのですね。

 「提出は明日の1限。まだ一行も書いてない!」。こんなときは、「やらないとヤバい! 単位落としちゃう!」と、自分で自分をおどして、からだを動かします。

 実は、この「~しないとヤバい」という言葉は、要注意。あまり使い過ぎると、自分を苦しめることにもなります。

まず「いやなこと」を思い浮かべてしまう

 「このレポート、終わらせないとヤバい」と考えているときには、終わらせなかったときのいやな場面をイメージしています。

 「怒っている先生の顔」「みんながレポートを持参し提出しているのに自分だけが手ぶら」「単位を落としてショック」

 こんな場面を思い浮かべ、「うわ、こんなことにならないようにしなきゃ」と、焦ってパ ソコンを起動させる。いったん、「いやなこと」に焦点を当て、その上でそれを避けようとするのですね。これは、「いやなことを避ける」型のモチベーションと言えます。

「うまくいった」場面を思い浮かべる「いいことを目指す」型

「いやなことを避ける」型から、「いいことを目指す」型に変わろうと呼びかける筆者

 「いやなことを避ける」型の反対は、「いいことを目指す」型です。「このレポートを書き上げたら、すごくうれしいだろうな」「レポートが書けたら、単位を取れる」と、うまくいったときの、気持ちのいい場面を思い浮かべて、それを目指すのです。

 「いいことを目指す」型は、「レポートを終わらせる」と思うたびに、「うれしい気持ち」や「取得できた単位」などのイメージが、頭に浮かびます。そのイメージを目指すことで、モチベーションを上げているのです。

 このようなモチベーションで動くときは、人は様々な挑戦をしたり、なにかトラブルがあったとしてもそれを乗り越えていく強さを持つと言われています。

 大切なのは、楽しい気持ち、前向きな気持ちになることです。失敗したときのいやなイメージを思い浮かべて「どよーん」とするより、うまくいったときの「すっきり」した感じを想像する方が、ずっといいですよね。

3つのステップで大学生活を楽しむ

<ステップ1>初めは、「いやなことを避ける」型でOK

 そうは言っても、いつもの習慣で「やらないとヤバい」と、つい思ってしまう。それはそれでオッケーです。その気持ちはその気持ちで大事です。とりあえずは、急いでテキストを開いたり、パソコンを起動したり、と体を動かしますよね。それでいいのです。

<ステップ2>動き出したら、そこで「いいことを目指す」型を投入

 からだが動き始めたら、そこで、「これ、うまく書けたら、どうだろう」と、考えてみます。いまやっていることが、うまくいった場面を想像しましょう。

 「できあがったら、すごい達成感で、気持ちいい!」「がんばってやれば、いい成績が取れる!」「先生にも、ホメられるかも!」などです。

 できるだけ、具体的にイメージしましょう。「やったー」とバンザイしている気分や、成績のAの文字、先生の笑顔などをリアルに思い浮かべます。

焦っているときほど、いったんリセットするべし

筆者が勤務する明星大学(東京都日野市)

 「時間がない!」「邪魔が入った!」「誰にも相談できない!」

 このような緊急事態が発生すると、誰でも、「いやなことを避ける」型が全開になります。たとえ、ふだんはポジティブに「いいことを目指す」人であっても、そうなる可能性は大。でも、そんなときほど気持ちを落ち着かせて、「いいことを目指す」ことが大切です。

 「今、自分はすごく焦っている」と思ったら、いったん深呼吸。吸って吐いてをゆっくり3回して、気持ちをリセットしましょう。

 「こういうときこそ、いいことを目指すんだ」と、自分に言い聞かせ、いい結果をイメージします。焦りによるミスや失敗が少なくなり、できる範囲で工夫をするなど、よい方向に向かうことができます。

友達づきあいや恋愛も「いいことを目指す」型で

明星大学のキャンパスは緑も美しい

 人間関係も同じです。「いやなことを避ける」型は、「相手との関係が悪くなったらどうしよう」と、いやな場面をまず想像し、それを避けようとします。すると、相手の言いなりになってしまったり、相手とのやりとりを避けるようになってしまい、結果的に、相手とうまくいかなくなることが多いのです。

 一方、「いいことを目指す」型は、「相手ともっと仲良くなったら、すごく楽しいだろうな」と、まずはいいイメージを思い浮かべ、それを目指します。すると、「相手と協力して二人とも納得できるようにしよう」とか、「自分の意見もきちんと伝えよう」といったポジティブで適切な動きをし、相手との関係も実際にうまくいきやすいのです。

<ステップ3>ふだんの口ぐせを変えよう

 いつも口にする言葉を変えてみましょう。

 「早くしないと、遅れちゃう」 ⇒ 「急いで行けば、間に合う!」

 「バイトに行かないとクビになっちゃう」 ⇒ 「バイトに行けば、バイト代が入る! バイト仲間と会える!」

「こんなこと言ったらきらわれちゃう」 ⇒ 「話し合って、いい関係を作ろう!」

 口ぐせを変えることで、考え方そのものを、少しずつ「いいことを目指す」型に近づけていきましょう。

菊入みゆき(きくいり・みゆき) 明星大学経済学部特任教授、JTBモチベーションズ ワーク・モチベーション研究所長。筑波大学の博士課程で、組織におけるモチベーションの伝染について研究中。大学ではキャリアや就職支援の講義を担当、企業とのコラボレーションによる講義も実施。JTBモチベーションズでは企業で働く人への研修やコーチング、経営層へのコンサルティングを行う。著書は「やる気が出なくて仕事が嫌になった時読む本」「職場でモテる社会学」「できる人の口ぐせ」等多数。

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