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「やりたいこと」が見つかりません

どうする? 女子のキャリア(6)

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NIKKEI STYLE

「大人になったら何になりたい?」。子どもにそう聞くと、女の子は「お花屋さん」「ケーキ屋さん」などと答えたりして、大人は思わずほほえみます。「宇宙飛行士」「海外で人を助ける看護師さん」などという答えには、「あら~、すごいねぇ」と感心して褒めてしまいます。

でも、こうした無邪気そうに見える答えも、実は子どもが本当になりたいものを言っているとは限りません。子どもは大人が思うよりずっと大人の考えている事を読み取っているし、何を発言すれば喜ばれるかわかっているのです。だからこそ、そんなことを子どもに聞く大人のほうが困ったものだと私は思います。

そしてこれと同じようなことは、就活でも、社会に出てからもずっと続く会話なのです。私はこれまで何百回も働く女性と面談やインタビューの機会がありましたが、「やりたいこと」を聞くと、格好よいフレーズで、「素敵な目標ですね」と言いたくなるような答えをする人が多いのです。

しかし、よくよく話してみると、「実は、特にやりたいことがありません」「やりたいことが見つからない自分が不安で怖くなります」と正直に話してくれることも珍しくありません。時に、思いが溢れて泣き出す人さえいます。

採用面接でも「入社したらこの事業に携わって、こんなことをやりたい」と答えてくれる人は多いのですが、「なるほど、すぐにでも入社して活躍してもらいたい!」と思える人とはほとんど出会ったことがありません。

もっと言うと、私は「この会社で何をやりたいですか?」というような質問をしたこともほとんどありません。入社する人が必ずしも「やりたいこと」を持っていることが必要だとは思わないし、それを無理矢理答えさせようとするような質問には意味がないと思うからです。

「将来は起業して、こんなビジネスがやりたい」とか「絶対に留学して、この学問をきわめたい」とか友人が将来の目標を熱く語ったりすると、具体的な目標を強く持てていない自分が惨めに思えてきて不安でたまらなくなること、ありませんか?  「いったいどうすれば目標が持てるでしょうか?」と相談されることもよくあります。そんなとき、私はいつも、「心底からやりたいことがある、夢がある人なんて実は数少ないと思うわよ」と笑い飛ばします。でもそれだけでは、不安は解消されませんね。どうすればいいでしょうか。

私は、「やりたいこと=will」を無理に考えだすより、小さくていいから「できること、強み=can」をたくさん探してみたほうがいいと思います。また聞いている側からすると、いつも頑張っていること、「課題や現実の取り組み=must」をベースに語る人に対しても、"応援モード"になります。かっこいいけどリアリティに欠ける目標より、その人の「できること=can」や「取り組んでいること=must」をベースにして「やりたいこと=will」を語る方がずっと伝わりやすくなるのではないかと思うのです。

自分にとっても、人がどう思うかは別にして、自分の「can」を自覚して、そこからぼんやりとでも「will」が思い浮かんでくれば充分です。「あなたはどんなビジネスパーソンになりたいの?」と聞かれて、すらすらカッコいいことが言えなくても当たり前。「今はわからないけれど、こんな強みを生かした仕事をやってみたいです!」と言われたら、周囲は充分応援モードになるし、そのwillを尊重してくれる、と私は思います。

「やりたいこと=willを持てない」と思い、感じる不安。その正体は、自分が語っている「will」が心底からのものでないからこその不安です。もっというと、自分の「できること=can」や「取り組んでいること=must」が自身で理解できていないこその不安であるかもしれません。

これから社会に出ていく皆さんは、新しい仕事の体験や様々な人間関係にもまれていく中で、今感じているよりもっとずっと多くの、そして具体的な「can」「must」を得ていくことになるでしょう。それを地道に積み上げ、振り返って確認することができれば、夢のようなカッコいい「will」がなくても怖くなくなります。それこそが不安の反対にある「自信」の姿なのです。

私は若い頃から、上司との面談などで、「あなたは、10年後どうなっていたいか?」などと聞かれたら、にっこり笑って「わかりません!」と答えていました。そして、その上司に、「私のどんなところが一番よいところですか?」と逆に聞いてみたりしていました。その時の答えがピンとくるかこないかで、その上司が私をよくわかってくれているか、信頼できるかがわかります。ピンとくれば、その信頼できる上司と一緒に自分のwillを形作っていくことができます。その目標に向かってさらに多くの強み=canを手に入れられるよう、具体的な仕事=mustが与えられていく。そのサイクルがビジネスでの私の成長を支え、確かな自信を作ってくれたように思います。

誰か、周囲のオトナに「将来の希望は?」と尋ねられたら、「まだないです」と答えておいて、そのオトナたちに、「私の『強み=can』は何でしょうか」と逆質問してみると、新たな自分に気づかされるかもしれません。決まった「will」が持てない、ということは、すごく多くの可能性がある証拠とも言えます。不安に思いすぎて、自己分析に埋没したり、現実味の薄いwillを描こうとしたりするより、まだ見えない可能性を信じた方が前に進むことができるのではないでしょうか。ほんの少し見方を変えて、現在の不安を「わくわくする未来」を描く原動力にできるといいな、と思います。

撮影協力:東京理科大学

堂薗 稚子(どうぞの わかこ)
1969年生まれ。92年上智大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材系事業の営業職を経て「就職ジャーナル」副編集長、「リクナビ派遣」編集長、カンパニーオフィサー、ダイバーシティ推進マネジャーなどを歴任。13年、株式会社ACT3設立。女性活躍支援など、企業の組織開発・人材開発にかかわる調査・企画立案、コンサルティング・研修・講演などを行う。著書に『「元・リクルート最強の母」の仕事も家庭も100%の働き方』(KADOKAWA)。二児の母。

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