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読書の秋、仕事に役立つ書店活用法

読書の秋、仕事に役立つ書店活用法

 ビジネスパーソンにとって、必要な知識を得たり、思考力を高めたりするうえで読書は欠かせない。最近は簡単に欲しいものを検索、入手できることから、インターネット通販で本を購入する人が増えている。だが、書店ならではの利点もある。書店の魅力、注目ポイントとは何だろう。仕事に役立つ書店活用術について、専門家に聞いてみた。

 メーカー勤務の山中康人さんは緊張している。部長へのプレゼンテーションの日程が迫ってきたためだ。どうしたら相手の心に届くプレゼンができるのだろう。参考になるような本でもあればいいのだが――。

 こうした漠然とした悩みを解決してくれるのが書店だ。ダイヤモンド社書籍編集局第三編集部編集長、和田史子さんは「棚に並ぶ本のタイトルを眺めているうち、自分の抱える課題が具体的になっていく」と話す。

 「プレゼンテーション」というキーワードで書籍をネット検索すれば、関連本が多数ヒットするだろう。だが、自分が本当に探しているのは資料作成の本かもしれない。プレゼンというキーワードでは検索できない可能性もある。「書店ならではの本との出合いがあるのでは」と和田さんは言う。

 書店で本を探す際は、どんなポイントに注目すればよいのだろうか。丸善日本橋店(東京・中央)和書売り場の葛目麻子さんによると、書店で注目したい場所は主に3カ所。1カ所目は入り口付近にある新刊台や話題の本コーナーだ。新刊台には発刊からほぼ3カ月以内の書籍が並ぶ。もちろん、すべての新刊書が置かれるわけではない。「1日200点近く入荷する中から、売れそうな本、注目されそうな本を選んでいる」(葛目さん)

著者名もチェック

 話題の本コーナーに置かれるのはベストセラーや時事ネタを取り扱った本などだ。シーズンごとに脚光を浴びそうなテーマを決め、関連書を集めた「フェア台」をつくることもある。例えば、心理学者、アドラーの関連本フェアや、エクセルのハウツー本フェアなどだ。これらの台に注目することで「世相やトレンドが見えてくる」と葛目さん。

 2カ所目は各棚の手前にある「エンド」と呼ばれる台。棚はビジネススキル、経営、業界といったジャンルに分かれているが、エンドにはその中でもロングセラーや新刊書などを集めている。定番の本、旬の本が一目でわかり便利だ。

 3カ所目は棚に取り付けられているテーマごとの「見出し」。「ビジネスマナー」の隣に「新入社員の身だしなみ」「ビジネスの基本スキル」が並ぶなど、関連の深いテーマ同士を近くに配置している。左から右へステップアップした内容になっていることも多いので、順に見ていくといい。

 著者名が書かれた見出しもチェックしたい。人気の著者、名著の多い著者、経営者の本のタイトルをざっと見るだけでも、「この分野ではこの人が第一人者なのかな」「あの会社の社長がこんな本を書いているのか」など、いろいろな気づき、知識を得られるはずだ。

「はじめに」参考に

 棚ごとの注目ポイントもある。普通はとじ込みのある背表紙を表に向ける「棚差し」という置き方をしている。そんな中、目につくのが、表紙を正面に向けて置いた本だ。この置き方は「面陳(めんちん)」と呼ばれ、新刊書など目立たせたい本に用いる。また、棚の下の台に本を積むことを「平積み」という。新刊書、定番本など売れ筋本が多いのでチェックしよう。

 実際に本を手に取って内容を確認できるのも書店ならではの利点。著者のプロフィルや目次はもちろんだが、ぜひ目を通したいのが「はじめに」だ。「自分は何者か、どんな課題を抱えている人に向けて書いたのか、どのような解決法を提案しようとしているのか、などが端的にまとめられている」と和田さん。

 デザインも重要な要素だ。紙の質、文字の大きさやフォントの種類などが自分の感性に合ったものなら読みやすい。イラストや図表が豊富でカラフルな方がよいという人もいれば、文字だけの本が落ち着く人もいる。手に取って、ページを繰りながら確かめよう。

 棚から棚へ移動し、別のジャンルの本を探せるのも書店の魅力。ビジネス関連のノウハウ本だけでなく、哲学書や歴史書なども読めば教養となり、仕事の肥やしになる。読書の秋、書店巡りを楽しんでみよう。
(ライター 西川 敦子)[日本経済新聞夕刊から転載、日経電子版2015年9月7日付]
撮影協力:東京理科大学

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