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[ career-働き方 ]

卒業までにやっておくべきこと(6)JTBの田中奈津子さん
「5回の卒業旅行で学ぶ」

authored by 日経カレッジカフェ取材班
卒業までにやっておくべきこと(6) JTBの田中奈津子さん「5回の卒業旅行で学ぶ」

 就職戦線を乗り切って内定を勝ち取った就活生のみなさんに、先輩社員から「卒業までにやっておくべきこと」を語っていただきます。第6回は、JTBグループ本社人事部の田中奈津子さん(30)です。

企画から添乗まで担当

――これまでどんなお仕事をされてきましたか。

 大学卒業後、JTBグループのJTBコーポレートセールスに入社して、7年間法人営業に携わってきました。法人営業では、旅行を手段として、企業の問題解決をお手伝いしていくことが仕事です。企業のニーズを聞き取り、問題解決に最も適した研修や旅行、視察、イベントなどをオーダーメードで企画提案し、添乗まで担当します。

 お客さまとの相談を重ねながら完璧にプランを組み立てたつもりでも、実際に添乗すると何かしら想定外の事態が発生するので、そのつど責任をもって対応しなければなりません。毎回現場で初めて気づく発見もあり、法人営業はとてもやりがいがありました。

  金融関係の企業を担当したときに、金融について一生懸命勉強して、当時中東の金融センターとして勢いがあったドバイへの研修を企画、添乗したことが特に印象に残っています。現地の金融会社やデベロッパーの視察とともに、ドバイの隣のアブダビで、フェラーリの世界最速ジェットコースターにお客さまと乗ったのも楽しい思い出です。

田中奈津子さん(たなか・なつこ) 立教大学文学部卒。2008年、JTBコーポレートセールス入社。法人営業担当を経て、現在JTBグループ本社人事部企画チームでダイバーシティ推進を担当。趣味は旅行とミュージカル鑑賞。最近は『アラジン』がお気に入り。旅先で行きたいところはケニア。

――やはり英語力は必要ですか。

 海外添乗ではガイドもいるので、必ずしも高度な英語力は必要ありませんが、ある程度のコミュニケーションを取れる程度はできた方がいいですね。JTBグループでは若手社員を対象とした海外派遣研修の制度もあり、皆熱心に勉強しています。

 今年の2月からはJTBグループ本社に出向し、人事部の企画チームでダイバーシティ推進を担当しています。JTBグループは社員の6割が女性で、窓口から企画、法人営業、出版など、さまざまな職場で働いています。出産後も職場復帰する女性がますます増えているので、グループ各社と連絡を取り合って、今後女性がさらにキャリアアップを目指せる機運作りとともに、女性だけでなく社員全体が働きやすい職場にしていくための環境作りを進めています。

――JTBを志望した理由は。

 学生時代、都内のオイスターバーでアルバイトしていました。生ガキは必ずその日のうちに売り切らないと、翌日は加熱調理するしかなくなります。なので注文を待つだけでなく、お客さまと話をしながらカキをなるべくたくさん注文してもらえるようお勧めします。それがとても楽しくて、営業の仕事もこれに似ているのなら、自分には合っているのではないかと思うようになりました。旅行好きでもあったので、JTB、中でも法人営業を行うJTBコーポレートセールスを第一に志望しました。

卒業旅行は計5回

――内定後、会社から何か入社前の課題などの指示はありましたか。

 旅行基礎の勉強以外に具体的な課題はなくて、「旅行には行った方がいいですね」という話があったくらいでした。だからというわけではないですが、4年の5月に内定をもらってから、バリ、タイ、ハワイ、台湾と、海外に4回旅行しました。車で東北地方一周もしたので卒業旅行は5回ですね。

 旅行会社に就職するということで同行する友人からも期待されて、1週間前には「旅行のしおり」を作って渡していました。いろいろと情報を集めて立てたプランで、みんなに喜んでもらえるのがうれしかったです。

 また、海外旅行にはトラブルがつきもので、個人旅行ではそれをどうクリアするかも楽しみのうちなのですが、旅行会社に就職したら、お客さまを案内する場合には、リスクを限りなくゼロにしなければならないのだなと気づかされました。

――学生時代にやっておけばよかったと思うことはありますか。

 もっと大学を「活用」すればよかったですね。大学というのは、いろいろな講義が揃っていて、いくらでも学べる環境が整っています。ですが私は教職課程も履修していたので、1、2年は単位をめいっぱい取って、3年後半は就活が始まり、4年になると学校にもあまり行かなくなり、という感じで、十分には大学を活用できなかった気がします。もっと面白そうと思った講義に出たり、先生とも話してみたりすればよかったと思います。

 そんな学生生活でしたが、3年からの英文学ゼミでの体験はとても有意義でした。英語の原書を読んでディスカッションするゼミです。私は日本語訳を先に読んでから原書にあたったりしていて、議論についていけないことも多かったのですが、とても深く読み込んでいる学究肌の学生が何人もいて、「学生にもすごい人がいるんだな」と驚かされました。そんな人たちと出会って、苦しみながら毎週の課題を2年間こなし続けたことは、自分にとって大きな糧になりました。

リアルのコミュニケーションを

――大学生にアドバイスをお願いします。

 自分を振り返っても、学生時代というのは、自分の好きな人、気の合う人とだけ付き合って過ごしてしまうことがほとんどでしたが、それは本当にもったいないことだと思います。大学には個性豊かな人たちが何百人、何千人と集まっていて、その気になれば誰とでも知り合えるわけですから。

 いまはSNSもあるし、やはり決まった友人との付き合いが多くなると思いますが、社会に出たら、仕事先以外でいろいろな人と知り合う機会は限られます。大学にいる間に、できるだけたくさんの人と対面でコミュニケーションをとってみてほしいですね。営業の仕事では「相手の懐に入れ」と言われました。通りいっぺんのやりとりだけでなく、対面して、心を開いて話す付き合いというのは、社会に出ても必ず必要になります。

 人事部に来てから、キャリア開発について大学生に話をする機会がときどきあります。まじめな学生ほど、1年生から「早く就活しないと」と焦ったり、「やりたいことが見つからない」と不安になったりしてしまうようです。そんなにあわてずに、大学ではいろいろと体験しながら、4年かけて自分のやりたいこと、やりたい仕事について決めていけばいいのではないかと思います。

(聞き手は糸屋和恵)

連載【卒業までにやっておくべきこと】
(1)全日空の財津弘彬さん「英語学習と生活リズム維持を」
(2)大和ハウスの康乗佐知さん「幅広く資格や体験を」
(3)サントリーの中村曜子さん「"お客さん"を観察しよう」
(4)大和証券の水村茉菜さん「経済の勉強を。仲間も大切に」
(5)大塚製薬の大竹悠さん「ボランティア、いまに生きる」
(6)JTBの田中奈津子さん 「5回の卒業旅行で学ぶ」
(7)NTTデータの八巻絵美さん 「勉強会や交流会に参加」
(8)トヨタ自動車の田宮幸恵さん 「異文化と触れ合おう」
(9)日本航空の村杉汐音さん 「大学の授業を大切にしよう」
(10) 三井物産の中岡壮史郎さん 「目標を立ててクリア」を繰り返せ
(11)楽天の戸田雅子さん 「社会人と話す機会を作ろう!」
(12)東京海上日動の森山大志さん「内定後もOBを訪問」


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