日本経済新聞 関連サイト

OK
[ career-働き方 ]

学生のための業界ガイド(4)航空会社
全日空・日航からLCCまで競争激しく

学生のための業界ガイド(4) 航空会社全日空・日航からLCCまで競争激しく

 「日経カレッジカフェ」が学生の皆さんの就職活動の参考になるように、連載している業界研究。今回は「航空業界」を取り上げましょう。日本では長く日本航空をはじめとする3社体制が続いていましたが、1998年以降、新興航空会社が参入。最近では、LCCと呼ばれる格安航空会社も勢力を伸ばしつつあります。

長く続いた3社体制に風穴

 航空会社は今も昔も、就職先として人気が高い業種のひとつです。女子学生の皆さんのなかには、客室乗務員を志望する方もいるでしょう。日本では、全日本空輸の持ち株会社であるANAホールディングス、日本航空の大手2社に加えて、地方拠点の航空会社も増えました。1998年以降、相次ぎ就航した札幌拠点のAIRDO(エア・ドゥ)、北九州拠点のスターフライヤー、宮崎拠点のスカイネットアジア航空(2015年12月、ソラシドエアに社名変更)といった企業が地方を拠点とする主な顔ぶれです。

 さらに、LCCが相次ぎ参入しています。2012年以降、ANA系のピーチ・アビエーションとバニラ・エア、日本航空が出資するジェットスター・ジャパンなどが相次ぎ就航しており、航空会社間の競争は激しくなっています。

 学生の皆さんが生まれる以前、昭和の時代には日本航空、全日空、東亜国内航空(社名変更して日本エアシステムに、さらに日航がこの日本エアシステムを吸収合併)の3社による寡占体制が続いていました。

全日空の国際線定期便は1986年から

かつては日本航空、全日空などの3社体制が長く続いた(写真は現在の羽田空港の様子)

 かつて全日空、日本エアシステムの2社は国内線が中心で、本格的に国際線を運航しているのは日本航空1社という時代があったのです。全日空が国際線の定期便運航を始めたのは1986年のこと。東京―グアム線でした。もちろん現在では、全日空は国際線を積極的に展開しています。以前、全日空の役員が「自分たちが入社したころには、ビジネスで英語が必要になる時代が来るとは思わなかったよ」と話すのを聞いたことがありますが、まさに隔世の感がありますね。

 安全な運航を維持するため、航空会社には多額の資金が必要となります。1998年以降、プレーヤーが増えたことで、運賃競争も起こりました。消費者にとって運賃が下がるのは嬉しい話ですが、航空会社からみると消耗戦を余儀なくされる危険があります。事実、日本を代表する航空会社だった日本航空が2010年、経営破綻し、会社更生法の適用を申請したのは衝撃的な出来事でした。その後、経営効率化に取り組んだ日本航空は再建を果たし、再上場したのは、皆さんもご存知の通りです。

世界の航空連合は3グループ

ピーチ・アビエーションが2012年に就航し、LCC元年といわれた

 世界には、大きく3つの航空連合があります。協力関係にある航空会社のグループというわけです。全日空が加盟しているのが「スターアライアンス」で、ルフトハンザドイツ航空などが中心メンバーです。一方、日本航空が加盟しているのが「ワンワールド」というグループです。ブリティッシュ・エアウェイズやカンタス航空などが加盟しています。このほかに、「スカイチーム」というグループがあり、デルタ航空やエールフランス航空がメンバーとなっています。

 ANAホールディングス、日本航空の売上高はともに1兆円台です。海外では、デルタ航空をはじめ、売上高が日本円に換算して4兆~5兆円という大きな企業グループも存在します。

破綻したスカイマークはANAが支援

 日本で最近話題になったのは、スカイマークの経営破綻でしょう。同社は大型機材の大量発注をめぐるトラブルがもとで経営が行き詰まり、2015年1月に民事再生法の適用を申請しました。日本では長らく3社体制が続いたと説明しましたが、実はそんななかで、規制緩和の流れに乗って1998年に登場したのがスカイマークでした。同社は新興勢力を代表する存在となり、健全な競争を促す上でも、ANAホールディングス、日本航空に対する第三極としての役割が期待されていたので、破綻は残念なことでした。

スカイマークは大型機材の大量発注をめぐるトラブルがもとで経営が行き詰まった

 スカイマークは結局、ANAホールディングスの支援を受けて再建に挑むことになりました。実は、スターフライヤー、AIRDO、スカイネットアジア航空といった各社も現在、ANAの出資を受けたり、運航上の支援を受けたりしています。日本航空が一度破綻した経緯もあり、各社がANAに頼る状況になったのです。第三極と口で簡単にいっても、実際にはなかなか難しいものです。

大手の年収は......?

 最後に、学生の皆さんが気になる待遇について紹介しましょう。日本航空の2014年度の有価証券報告書によると、地上勤務の社員の年収は662万円(平均43.5歳)です。これに対して、運航乗務員(パイロット)は1636万円(平均43.6歳)、客室乗務員は483万円(平均34.3歳)となっています。

 一方、ANAホールディングスの場合、持ち株会社ですので社員数は161人と限られてしまうのですが、年収は789万円(平均47.1歳)となっています。国際間競争がますます激しくなる業界ですので、広い視野を持った人材が求められそうです。

(村山浩一)

連載【学生のための業界ガイド】
(1)住宅メーカー 大和ハウス・積水ハウスでもシェア数%
(2)石油会社 業界再編激化~JX・東燃ゼネラルの次は?
(3)自動車メーカー 巨大な製造業、クルマ好きが大前提
(4)航空会社 全日空・日航からLCCまで競争激しく
(5)電力・ガス会社 自由化の流れ、異業種も攻め込む
(6)百貨店 グループ化進む "爆買い"が追い風に
(7)メガバンク 待遇は高め、国内外で活躍の幅広がる
(8)地方銀行 再編、次はどこ? コミュニケーション力を重視
(9)信用金庫 合併相次ぎ金庫数は減少 地域で活躍したい人に
(10)「環境」配慮企業 トヨタ・コニカミノルタ...まずはフットワーク良く行動を

【関連記事】
規制緩和は何のため(1)空の新興勢力、日本で羽ばたくには
規制緩和は何のため(9)多くの空港が赤字のワケ 「運営権」売却は切り札か