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時間管理 達人への道(下)まず4分集中やる気生む

時間管理 達人への道(下) まず4分集中やる気生む

 効率よく仕事を進めたい。そう思って取り組んでも、実際にはなかなか思い通りにいかないもの。しかし、対処法を知り実践すれば、改善は可能だ。状況に応じた解決法やポイントをまとめた。

 商社に勤める河西慎一さん(仮名)は「もっと早く資料を作れ」と上司に叱られた。しかし良いものを出すには時間がかかる。どうすればいいのか戸惑っているという。

 残業削減のコンサルティングを手掛けるプロスタンダード(東京・港)の社長、若林雅樹さんは「『パレートの法則』を参考にしてみては」と勧める。この法則は「100点が求められる仕事は、80点の仕事を終えたところからさらに4倍の時間がかかる」というものだ。

締め切り時刻確認

 例えば、ある資料を80点はもらえそうな状態まで仕上げるのに2時間かかった。この場合、完璧な状態にするには、さらに8時間かかる。「完璧を目指しすぎないことも重要。それでは身がもたないし、そもそも相手は8割でOKと思っている可能性もある」と若林さんは指摘する。

 人材育成やスキルアップのセミナー講師を務めるオフィスフローラン(東京・港)の代表取締役、新井淳子さんも「完成度より生産性が求められていることもある」と話す。上司に提出する際は「『100%の完成度ではないかもしれませんが早くお見せした方がいいと思ったので』と一言添えればいい」(新井さん)。上司が残り20%を満たすためのアドバイスをしてくれる可能性もあり、結果的に効率よく良いものが出来上がる確率も高まるという。

 仕事に時間がかかる人が注意すべき点はほかにもある。「多くの人を巻き込む仕事は早めにやった方がいい」と若林さんは言う。人が自分の予測通りに動いてくれるとは限らない。「依頼をためこんでしまうと、やってもらえない場合への不安も生じる」(若林さん)。不安はストレス、ストレスは生産性低下につながる。早めの対応が肝心だ。

 働く女性の視点で商品開発等を手掛けるイー・ウーマン(東京・港)の社長、佐々木かをりさんは「締め切りは時刻まで確認することが大事」だと話す。

上司にスケジュールを見せてアドバイスをもらう

 金曜中にくださいと相手が言った場合、夕方6時にはその資料で仕事を始めたいのか、翌朝か月曜かによって、こちらが予定を組む時間帯も変わってくる。勝手な思い込みで予定を組むと、相手に迷惑をかけたり、自分も慌てて仕事をすることになったりする恐れもある。締め切り時刻を確認すれば、お互いスムーズに仕事ができる。

 締め切りがない場合は自らデッドラインを決めるのも効率アップに有効だ。若林さんは英国の政治学者パーキンソンが提唱する法則を紹介する。その法則とは「仕事は、完成のために与えられた時間を全て満たすまで膨張する」というもの。人は時間があればあるだけ使ってしまうということだ。

 効率化しようと努力しているのにどうしても残業になってしまう場合は、「いっそ上司や先輩にスケジュールを見てもらうのも手」(新井さん)。思いも寄らない指摘をされたり、仕事を頼みすぎていたなと上司や先輩が反省したりする可能性もある。結果的に双方の時間管理の改善につながるというわけだ。

予定に余裕を持つ

 上司や部下から声をかけられ、自分の仕事が計画通り進まないというケースもあるだろう。佐々木さんは「声をかけられるのも仕事の一部」と話す。前もって一定の時間を空けておけば、「予定通り」と感じストレスなく仕事ができるはず、と助言する。

 なかなかやる気が起きないときはどうすればいいか。「無理にでも4分間だけ集中する方法が有効」と新井さんは勧める。これは心理学者のレナード・ズーニンが提唱する「初動4分の法則」。最初の4分だけ集中すれば、その後は自然とやる気が高まり熱中できるというものだ。

 既婚の場合、妻や夫に気兼ねして仕事を自分のペースで進められないこともある。新井さんは、「夫婦でスケジュールを共有してみては」と提案する。キッチンにカレンダーを貼って各自が予定を書き込んでもいいし、それぞれの予定表を貼ってもいい。「お互いの忙しさが分かると、そんな中で家事をやってくれたんだ、などと感謝の気持ちも生まれる。結果、仕事にも気持ちよく向き合える」(新井さん)

 時間を上手に使い生産性を高めるには、自分や周りの人がストレスのない状態であることが重要。職場でも家庭でもコミュニケーションに手を抜かないことが大切だ。
(ライター ヨダ エリ)[日本経済新聞夕刊から転載、日経電子版2015年8月31日付]

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