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やる気スイッチを入れよう(3)やる気と「モテ」の意外な関係

やる気スイッチを入れよう(3) やる気と「モテ」の意外な関係
authored by 菊入みゆき明星大学特任教授、JTBコミュニケーションデザイン
ワーク・モチベーション研究所長

 「楽しそうに仕事をしている人」は、モテることがわかっています。そして、「好感を持っている人がいる」人は、やる気が高いということも。やる気と「モテ」は、実は深い関係があるのです。

恋愛とモテの違い

 若者の恋愛離れが話題になっています。恋愛はめんどくさい、コスパ(費用対効果)が悪いと考える若者がいるということです。

 しかし、モテはどうでしょうか。デートしたりプレゼントし合ったりという恋愛関係はめんどうだとしても、ふだんの生活の中で、単純に「モテる」のは嬉しいことのはずです。モテる、とは、相手から関心を持ってもらう、「いい感じの人だな」と思われるということです。少なくとも、自分が大切に思っている人(同性の友だちなども含めて)からは、モテたいですよね。

恋人にしたいのは「楽しんでいる人」

 20歳代から40歳代の男女に、「恋人にしたい人」を11のタイプの中から選んでもらいました。すると、「今の仕事が好きで、楽しそうに仕事をしているタイプ」が最も多く選ばれました(図1)。 特に女性は、この「楽しんでいる人」を恋人に選ぶ傾向が強い。

 2位は、「仕事も大事だが、私生活を最優先にしている人」でした。こちらは、男性がこういう人を選ぶ傾向が強い。

 一方、「恋人に選ばないタイプ」を聞いてみると、第1位は「役職や昇進することへのこだわりを持って、仕事をしている」出世志向タイプ、2位は「報酬へのこだわりを持って、仕事をしている」報酬志向タイプでした。出世やお金にこだわる人は、モテないようです。

「いっしょに仕事をしたい」と思われるのも、「楽しんでいる人」

 では、恋人ではなく、仲間としてはどんな人が持てるのでしょうか。「いっしょに仕事をしたい人」を選んでもらうと、やはり1位は「楽しんでいる人」(図2)。2位は「人間関係やコミュニケーションを大切にして仕事を進めている」協調タイプ。

 恋人としても、仲間としても、楽しんでいる人がモテるようです。確かに、楽しそうな人のそばにいれば、こちらも楽しくなります。モテるのは当たり前かもしれません。

 でも、実はそれだけではない、深い理由があります。

「楽しんでいる人」は結果を出しやすい

 楽しんでいる人は、結果を出す傾向があることがわかっています。楽しさによって、その人のいいところや能力がよりよく発揮される。その結果、いい成績や業績が出るのです。例えば、職場で仕事を楽しむ人は、売上を上げやすい、お客様からいい評判をもらいやすい。大学で学習を楽しむ人は、いい成績を修めやすい。部活動を楽しむ人は、部内で活躍する傾向にある。

 出世やお金にこだわる人よりも、楽しんでいる人の方が、結果的には先に出世したり高い報酬を手にしたりする可能性が高いと言えます。

モテるのは、その人の良さが前面に出て、かっこよく魅力的に見えるからなのでしょう。さらに、「この人はいい結果を出すだろう」という予測が成り立つから、でもあります。そういう人といっしょにいれば、自分もよい成績を出せたり、いい結果に関わったりできますよね。

楽しむために

 楽しんでいると、恋愛対象としても、仲間としてもモテる。さらにいい結果を出せる。では、どうすれば楽しむことができるのでしょうか。

★「楽しいことを思い浮かべてから、とりかかろう」

笑顔が楽しい気持ちを作る

 何かを始める前のウォーミングアップは大事です。授業が始まる前、部活を始める前、バイトで仕事を始める前に、まず、楽しいことを思い浮かべます。昨日みんなで大笑いしたこと、おもしろかったバラエティー番組のこと、友達から言われた嬉しいひとこと、など、明るい気持ちになることを思い出してください。

 まずは、自分を楽しい気持ちにさせることが大切なのです。楽しい気持ちになると、その後に起こるできごとに対する気持ちも「楽しい」ほうに寄る、ということがわかっています。

 友達と楽しい雑談をすることはおすすめです。また、笑顔になることも効果があります。笑顔を作ると幸福感や楽しさが増すこともわかっています。教室や部室に入ったとき、アルバイト先に出勤したとき、「にこっ」として明るい声であいさつをしましょう。自分では意識していなくても、気持ちの中の楽しさは、確実に増します。

★「最中には、工夫をしよう」

どうすれば楽しむことができるのか。それにもコツがある

 今やっていることに対して、工夫をすることです。どうすればもっとうまくやれるか、もっと速くやれるか、もっと理解できるか、を考えます。授業を聞いているとき、黒板に書かれたことを書き写すだけでなく、先生が言っていることをできるだけ書き留めてみる。バイト先の接客では、相手によって話す速さを変えて、反応を見てみる。部活動では、自分よりできる仲間を観察してまねしてみる。

 どんなに小さなことでもいいから、昨日と違うやり方を試してみます。それが、自分の好奇心を高め、ものごとへの没頭度を高めます。おもしろさを感じるようになります。

★「気になる人を見つけよう」

 調査によれば、「職場に好感を持っている・気になる人がいる」人ほど、仕事へのやる気が高い傾向がありました。この結果を聞いて、「確かにそう。いいな、と思う人がいると、その日の洋服選びからして違ってくる」という人もいました。

 まわりの人の様子を、見てみましょう。見た目の雰囲気やファッション、話している様子などで、「いいな」と思う人を探してみます。いきなり一目ぼれする必要はありません。普通に感じがいいな、と思える人を見つけましょう。

 まだ話したことがない人でも、遠くから見て、「いいな」と思うだけでもOKです。一人だけでなく複数いるとベターです。「今日は、あの人、来ているかな」と思うだけでも、ワクワク楽しい気持ちになります。

 やる気が出るとモテる。気になる人がいるとやる気が出る。どちらから入っても、大学生活が楽しくなり、結果を出すことにつながります。

 今回取り上げた調査のリポートは、下記から見られます。
「仕事」と「恋愛」に関するモチベーション調査
詳しい解説は、筆者の著書「職場で"モテる"社会学 なぜ今、女性は「仕事を楽しむ男」に惹かれるのか」 (講談社+α新書)に掲載されています。

菊入みゆき(きくいり・みゆき) 明星大学経済学部特任教授、JTBモチベーションズ ワーク・モチベーション研究所長。筑波大学の博士課程で、組織におけるモチベーションの伝染について研究中。大学ではキャリアや就職支援の講義を担当、企業とのコラボレーションによる講義も実施。JTBモチベーションズでは企業で働く人への研修やコーチング、経営層へのコンサルティングを行う。著書は「やる気が出なくて仕事が嫌になった時読む本」「職場でモテる社会学」「できる人の口ぐせ」等多数。

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