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書き出して発見
自分の強みに出会う法

書き出して発見 自分の強みに出会う法

 特に毎日に不満はないけど、「充実している」と自信を持って言えるわけでもない。自分の強みとか、やりがいって何だろうか...。こんなモヤモヤを感じる瞬間を、誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。モヤモヤを解消し、自分の強みや取りえを発見するために効果的な方法があります。

 深刻な悩みはなく、日々それなりに充実している。でも、時々「今のままで本当に良いのだろうか」と考えてしまう。SNSを見ると、友達が自分よりもキラキラしてみえて、代わり映えのしない普通の毎日を過ごしている自分と比べ、ちょっとだけ落ち込む。

 そんなモヤモヤをスッキリに変えていき、目の前の出来事に前向きに取り組めるようにするのに効果があるのは、モヤモヤを書き出し、いったん自分の頭から放してしまうことです。

モヤモヤは書き出して「見える化」する

 頭の中で考えを巡らせるだけでは、同じことを何回も考えてぐるぐる回ってしまい、前に進めません。感情に自分を持っていかれてしまわないように、冷静に自己客観視する手段が「書き出す」ということです。今回は、自分の強みや取りえが見つからないというとき、ひとり時間を使って書き出してみると効果があるものを2つ、お知らせいたします。

 それは、

●「自分がコンプレックスだと感じていること」を書き出す
●「自分が当たり前にできてしまうこと」を書き出し、周囲が「すごい」と言ってくれるかを確かめてみる

ことです。

あなたの「普通」は誰かの「すごい」かもしれない

 なぜ、「コンプレックスだと感じていること」を書き出すのか。その理由は、自分が「苦手だ」と思っていることに、強みややりがいが隠れている場合が多いからです。

 実は「○○の専門家」と言われる人は、「○○」が得意だったからではなく、苦手意識を持っていたからこそ、体系化したり研究したりしている場合が多いのです。

 私の周囲には人前で教える立場の人が多いのですが、相手の気持ちを考えるのがずっと苦手だったから、相手の気持ちを配慮できるような話し方の先生をしている人や、公認会計士試験に一度も受からなかったけど、公認会計士試験を研究しまくったお陰で人気ナンバーワンのカリスマ講師になった人などが数多くいます。

 私自身も、講演やセミナー講師、書籍やコラム執筆、プレゼン資料作成など、人前に出て「伝える」ことを仕事としていますが、もともとは人前に立つのが苦手でした。「何を言っているのか意味がわからない」と言われて話を遮られてしまうのが怖くて、人前を避けていたのです。自分がうまくコミュニケーションを取れずに悔しい思いをし続けてきたため、解決する手段をずっと探しつつ、口下手でも表現できる方法を研究してきた結果が「プレゼン」や「資料作成」について伝える立場である現在の姿です。

 勉強がもともとできる人やプレゼンがもともとうまい人は、苦労しなくても自然にできるから法則を体系化できません。でも「できない、でもできるようになりたい」と思い続けている人は、できるまでのプロセスを丁寧に追うことができるのです。だから、コンプレックスはあってもいいし、コンプレックスがあるからこそ、それをことさらに意識することがあなたの強みにつながります。

 このように、コンプレックスは強みの裏返しということを知っておくと、次々と起こるトラブルや落ち込みにも冷静に対処できるようになります。視点が変わるので、日々の出来事が楽しくなります。

 皆さんの中にも必ず、コンプレックスの裏返しで得意になるものがあるはずなので、ぜひ書き出してみてください。

自分が当たり前にできてしまうことを書き出してみよう

 次におすすめするのが、自分が当たり前にできてしまうことを書き出し、それを周囲が「すごい」と言ってくれるかどうかを確かめてみることです。

 私の場合、「朝4時起き」が自分の中で長い間習慣となっていたので、あまりにも普通すぎて、自分がちょっと他の人とは違うということに気付かないまま朝4時起きを続けていました。ある日「朝4時起きをしている」をいう話を、ランチ中に何気なく伝えてみたところ、皆の目の色が変わって、「何時に寝るの?」「なんで4時起きなんてしてるの?」「どうやったら起きられるの?」とものすごい勢いで質問されたのです。その内容が面白い、ということで、2009年に『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』(マガジンハウス)の出版が決まり今に至ります。

 このように、自分の中で「当たり前すぎて言うまでもない」と考えていることは、実は他の人にとっては、ものすごく貴重なことかもしれません。

 注意すべきは、自分のすごさは自分自身でなかなか気付かないことだということです。だから自分が「もしかしてこれは意外とすごいかも?」と思ったことを周囲に発信して反応をみる必要があるということです。

 発信する時の指標として提案するのは、「すごい」とどのくらい言われるかを数えてみることです。当たり前に出来ていることを10個書き出して、それぞれ「すごい」の数を比べることで自分の強みを探してみましょう。例えば、「すごい」の数でなく、Facebookの「いいね!」の数や、ツイッターのリツイートの数で比べるのも良いかもしれません。

 当たり前にできることが、自分では「たいしたことではない」と思っていたとしても、実はすごいことである可能性は大きいのです。

 最近私が「すごい」と思ったのは、私の講座を受けたとある受講生の特技です。彼女はスーパーで買い物をしたとき、買い物袋に早く、キレイに、安定した位置で入れるのが特技でした。「たいした特技じゃないですよ」と謙遜していましたが、私は、この特技は彼女の本業であるインテリアコーディネートの仕事に生きていると感じました。

 買い物袋という限られた空間に、いかにして効率的に食材の特徴を生かして入れるかは、お部屋の限られたスペースにどんな家電を入れて快適に過ごしていただくかの提案と繋がるものがありますよね。

 書き出すという作業を定期的に繰り返すと、自分のとらわれや思い込みから解放されます。定期的に時間を作ってぜひ、書き出してみてくださいね。

池田千恵(いけだ・ちえ)
 Before 9(ビフォア・ナイン)プロジェクト主宰/ CONECTA代表。図を活用した思考整理/情報発信/時間管理/目標達成手法を著書や講演、企業研修などで伝えるかたわら、朝9時までの時間を有効活用するための早朝セミナー「Before 9プロジェクト」を2008年より開催。ベストセラーとなった『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』(マガジンハウス)は、朝4時に起きる「ヨジラー」急増のきっかけとなる。『「ひとり時間」で、すべてがうまく回りだす!』(マガジンハウス)、『朝活手帳』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など時間管理に関する著書多数。

[nikkei WOMAN Online 2015年9月18日付記事を再構成、日経電子版2015年9月29日付]

撮影協力:大東文化大学

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