日本経済新聞 関連サイト

OK
skill up-自己成長

最悪から学ぶ世渡りの授業(6)暗黙のルールと常識のウソ

最悪から学ぶ世渡りの授業(6) 暗黙のルールと常識のウソ
authored by 黒沢一樹キャリア・コンサルタント NPO法人「若者就職支援協会」理事長

 暗黙のルールって、どうやって知りましたか?

 常識って、みなさんはどこで学んでますか?

 今回のテーマは、仕事場だけではなく日常生活にも溢れている「暗黙のルール」や「常識」についてです。

暗黙のルールを疑え!

 例えば大学生がバイト先で......こんな疑問をもちます。

「今の仕事は、なぜ、この順番でおこなうの?」
「コピー機は、なぜ、あんな遠い場所に設置してあるの?」

 多くのみなさんは、最初はこんな疑問を持ったとしても、入社して何年も経つと次第に何も疑問をもたなくなり、日々を過ごしているかもしれません。

 しかし、その暗黙のルールが守る必要のない無駄なルールだとしたら......どうしますか?

 たまたま、前の担当者が勝手につくったやり方かもしれませんし、仕事ができない上司がつくった「とりあえず」の手順かもしれません。もちろん、業務が滞ってしまうので、今のやり方をマスターしたうえで考えることですけどね。

 例えば、コピー機やモノの設置場所なんかは、変更することで仕事がやりすくなることが結構あります。人の導線にマッチしないところに、設置してあるものは意外とあります。

暗黙のルールの必要性の確認方法

ブラック企業対策や働くうえでのルールを知るための労働法規の授業は、高校や大学など、さまざまなところから依頼がある

 私は、和食の調理師をしていたころ、さまざまな暗黙のルールというものに遭遇しました。

 例えば、入ったばかりの新人は、仕事が終わったら、先輩との飲みに付き合うことが絶対であったり、先輩たちの包丁を研がなくてはならなかったりするルールがありました。

 当時の私は何も考えず、素直に従っていました。15歳の人間が行くところではない場所にも連れて行かれましたね。だから新人が育たないのだろうなと、今振り返ると思います。

 経理の仕事に就いたときには、「定時で帰ってはいけない」という暗黙のルールが存在しました。ただ、ある程度の経験を経ていた私は、さすがにおかしいなと思い、定時で帰ることができるようにルールの変更を模索しました。

 その際、論理的に納得のいく落としどころを探るために、次の項目に着目しました。

 そのルールは、

 ・いつ?
・誰が?
・どんな理由でつくったのか?
・現状に合っているか?

 そうすると、実は、以前の担当者が仕事に追い付けなかったために、定時で帰っていなかっただけだという単純な理由であることがわかったのです。

 ちなみに、ある事柄(仕事の手順など)を、勝手に後任や後輩が暗黙のルールとして踏襲していることは多々あることです。

 そして、私が経験したこのケースでも、その後任が、脈々と、勝手にこの暗黙のルールを受け継いでいたという状況でした。私は役員との面談を重ね、交渉の結果、定時で帰るように、会社として推奨してもらえるようになったのです。


暗黙のルールは、「誰がつくったのか」「いつ、つくられたのか」の二点がわからない場合が多いのです。

 そこで、もし、このどちらも不明で、かつ、現状に合っていないのであれば、そのルールを疑ってみるを選択肢に加えてください。

 やらなくてもよいことなのか、改善の余地があるのかを検討してください。

常識のウソ

「常識」を自分の言葉でいうと、どう言い表しますか? どんな意味に捉えますか? ちなみに、辞書にはこう書いてあります。

 1、ある社会で,人々の間に広く承認され,当然もっているはずの知識や判断力
2、「共通感覚」に同じ
(松村明編『大辞林 第三版』三省堂)

 簡単にいえば、常識というのは、大多数の人が知っていること、「当たり前」のことです。ただ、この大多数、「当たり前」といわれるところが難しい......。

 

ネガポジセミナー
学生向けのセミナーは、さまざまなゲストを交えておこなう

 大学生ともなれば、「社会人としての常識をもて」といわれる機会が増えるでしょう。

 しかし、「当たり前のこと」といわれても、誰を基準にすればいいかわからないし、どこで調べればいいかがわからない。


まあ今の時代はネットで検索すれば、大体のことはわかりますが......。問題は、その情報が正しいのかどうかということと、自分が実際に使うかどうかということ。

 というのも、実は世の中には、常識といわれていることがウソである場合があるからです。

 例えば、「大学生の就活には、新卒の求人サイトしか使えない」といったことを聞いたことがありませんか? 実はそんなことはないのです。

 業界の常識や会社の常識、みんなの常識といわれていることには、疑いの目をもつことをおすすめします。特に、みんがやっているとか普通のことといった場合は、ウソの可能性大。確認方法は、暗黙のルールの場合と一緒です。

 ・いつ?
・誰が?
・どんな理由でつくったのか?
・現状に合っているか?

 ただし、冠婚葬祭、敬語、車に乗る場合の席次といったマナーに関するものは、知っておくべき常識だということをお忘れなく。

ネガポジ・レッスン6


どんなことも、まずは疑問をもつこと。
「当たり前」「普通」「常識」といった言葉に惑わされず、自分なりの答えを用意しておくこと。それが己を守るための最初の一歩となる。
そして仕事では、常に効率化や生産性を高められないかを考えることが必要であることを忘れずに!

黒沢 一樹(くろさわ・かずき) キャリア・コンサルタント。NPO「法人若者就職支援協会」理事長。人材労務支援機構.LLC 代表社員。定時制高校教育ディレクター。 1981年山口県生まれ。姓は4回変わる。高校を入学式で辞め、塗装工・ビアガーデンのホールスタッフを経験後、板前となる。しかし、ケガにより板前の道を断念。 その後、上場企業から零細企業、俗にいうブラック企業も経験し、さまざまな職業と会社を渡り歩く。34歳となる今では、2度の起業失敗を経て、50を超える会社就業経験をもつことになる。 現在は、研修講師として全国を飛び回る傍ら、日々、就職に悩む若者の相談業務にあたる。明治大学リバティアカデミー講師も兼務。 最悪な経験から導き出された思考法「ネガポジ・メソッド」創始者。 著書に『最悪から学ぶ 世渡りの強化書』(日本経済新聞出版社)、『ネガポジ就活術』(鉄人社)などがある。

最悪から学ぶ 世渡りの強化書
―ネガポジ先生 仕事と人間関係が楽になる授業―

著者:黒沢 一樹
出版:日本経済新聞出版社
価格:1,404円(税込み)

この書籍を購入する(ヘルプ):Amazon.co.jp

「やる気スイッチを入れよう(3)やる気と「モテ」の意外な関係」はこちら>>
「「コミュ力」に悩む学生へ贈る言葉(6)ディスカッションのコツ(中)4つのパターンを理解しよう」はこちら>>
「日経College Cafe」のお勧め記事はこちら>>