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[ liberal arts-大学生の常識 ]

時代の変化の芽、見逃すな
多様化する資金調達

斎藤ウィリアム浩幸 authored by 斎藤ウィリアム浩幸インテカー社長
時代の変化の芽、見逃すな多様化する資金調達

 ビジネスを大きく素早く発展させるための資金が必要だとしたら、あなたはどこからそれを借りてくるでしょうか。従来、選択肢は銀行やヘッジファンドなど大規模の機関投資家に限られていました。近年、その常識が変わろうとしています。

 南米コロンビアの首都ボゴタに完成を間近に控えている67階建ての高層ビルがあります。このビルの建設資金は3800人もの個人投資家が出しました。このコラムを読んでいる方と変わらない、ごく普通の人たちです。

 1人あたりの投資額は巨額ではありませんが、総額は1億7000万ドルです。円換算でおよそ200億円を集めることに成功したからくりの正体は「クラウドファンディング」と呼ばれる新たな資金調達手法です。

 クラウドファンディングは不特定多数の個人がインターネット上の広告やプレゼンテーションを通じて手軽に組織やビジネスに投資できる仕組みを指します。

 かつてはスタートアップ企業や個人の芸術家などが数百万円程度の小規模の資金を集めるため、支援者を募るのに使われていました。最近はクラウドファンディングの対象となる事業の大型化が顕著となっています。

 私たちの社会はクラウドファンディングというたった1つの新たな発明をテコにして連鎖的に急変する過程にあります。

 シリコンバレーでは「ユニコーン企業」と呼ばれる企業が急増しています。非上場のまま大きくなった企業のことです。シリコンバレーの起業家に当面の目標を尋ねると、従来はIPO、株式上場と返答されることがほとんどでした。企業を成長させるための資金を調達するには株式を上場していることが必須だったからです。

 しかしユニコーン企業は違います。彼らは非上場のまま(幻獣のように世間から姿を隠したまま)クラウドファンディングのような手段で資金を用立てます。株式相場の変動に業績を左右されずに成長を続けているのです。

 資金調達手法の多様化がビジネスそのもののあり方を多様化させた具体例と言って良いでしょう。