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[ career-働き方 ]

卒業までにやっておくべきこと(9)日本航空の村杉汐音さん
「大学の授業を大切にしよう」

authored by 日経カレッジカフェ取材班
卒業までにやっておくべきこと(9) 日本航空の村杉汐音さん 「大学の授業を大切にしよう」

 就職戦線を乗り切って内定を得た学生の皆さんに、先輩社員からのメッセージをお届けします。テーマは「残された学生生活を有意義に過ごすために、いま何をすればいいのか」。今回語っていただくのは、日本航空の村杉汐音さん(25)です。

機長のスケジュールを作成

――勤務地は羽田空港ですが、どんな業務内容ですか?

 「パイロットの勤務スケジュールを作成したり、資格の維持管理をしたりする業務です。機材ごとに担当者が分かれていて、私が担当するのはボーイングの大型機『777』のパイロットです。777のパイロットは500人いますが、このうち機長(300人)のスケジュールを作成しています」

――どんな苦労がありますか。

 「パイロットによって、飛べるエリアや空港が異なります。そうした制約条件と、各パイロットから寄せられる希望を考慮し、スケジュールを作成します。毎月24日に翌月分のスケジュールを出しているのですが、300人それぞれの立場になって無理のない日程を組むよう努力しています」

――失敗したことは?

村杉汐音さん(むらすぎ・しおね) 現在、日本航空 運航本部 777運航乗員部 業務グループに勤務。1990年神奈川県生まれ。2013年慶応義塾大学総合政策学部卒業。同年日本航空に入社。羽田空港国内線のグランドスタッフを経て、15年1月より現職。趣味は楽器演奏。

 「いろいろありますよ(笑)。ひとつ挙げるとすると、パイロットから寄せられる避けたい日に、うっかり出番を入れてしまったことがありました。あわてて、ほかのパイロットの人たちにスケジュールを変更してもらって何とか帳尻を合わせましたが、大変反省した出来事です。それ以降は、スケジュールを公表する前日に、寄せられた希望をすべて見返して、作った内容に誤りがないか丁寧に確認するようにしました。それでミスが減ったと思います」

――逆に嬉しかったことは?

 「そうですね。『うまくスケジュールを組んでくれて有り難う』などといわれると、やっぱり嬉しいですね」

「熱い人」に惹かれ第一志望に

――続いて、航空業界を志望した経緯を教えてください。

オフィスの自席でにっこり

 「早い段階から航空業界への憧れはありました。そもそも、インフラにかかわる事業には関心がありましたね。ただ、実際には陸運、海運から重電、日用品メーカーまで幅広く就活しました。なかなか結果が出ず、大変な思いもしています。実は、経営破たんした日本航空は新卒採用もストップしていました。ところが、大学4年生になったばかりのころ、採用を再開するとのニュースが飛び込んできたのです。日本航空を訪問すると、『熱い人』が多い組織であることが分かりました。破綻直後でみんな必死だったのでしょう。一方で私たち学生への対応は温かい人ばかり。最終的には、『破綻を経験した人たちこそ本当に強いのでは』と考えて、第一志望に決めたのです」

ゼミ・サークルからアルバイトまで懸命に

――大学を卒業するまでに力を入れたことは何ですか。

英会話や留学には是非とも取り組もう

 「ゼミ、サークル活動からアルバイトまで、いろいろと力を入れました。環境問題や自然災害などをテーマとするゼミだったのですが、東日本大震災の被災地である気仙沼を訪れ、地域の方々と街づくりの話し合いにまぜてもらったりもしました。吹奏楽のサークルではトロンボーンを担当。3年生の時には副部長を務め、組織運営も学びました。アルバイトはマクドナルドの店舗や予備校のティーチングアシスタントを経験しています」

 「内定後は英会話スクールにも通いました。入社後はまず現場に配属されると聞いていたので、必要だろうと思って。実際に、最初の配属は羽田空港の国内線のグランドスタッフでした。ここで1年9カ月働きました。国内線といっても最近は海外からのお客様が多く、英会話スクールで学んだことが生きましたね」

留学は是非お勧めします

――振り返ってみて、学生時代に体験しておいた方がよかったと思うことはありますか。

 「留学しておけばよかったですね。できれば1年くらい滞在できればよいのでしょうが、それだけの時間がない場合も2~3カ月でも体験すべきでしょうね。語学が身につくだけでなく、異文化を学ぶいい機会にもなるでしょう。私自身は高校生のころ数週間、体験したことがあるのですが、大学生になってから行くとまた違うと思います」

――それ以外にも、学生さんたちにアドバイスは?

人に信頼される存在になりたい

 「勉強をおろそかにしてほしくないです。授業をさぼって試験だけ受ける、という人がいるかもしれないですが、もったいないことです。興味がわかない授業であったとしても、課題を探って、自分なりに調べることによって、考えたり想像したりする力がつくものです。社会に出てからだとなかなかじっくり時間がとれません。今のうちにきっちり勉強しましょう」

 「授業だけでなく、サークル、アルバイト、ボランティアなどに取り組むのはいいことだと思います。お金のこと、組織のことなどを考えるよい機会になりますし、人間関係も広がります。さまざまな体験を経て、人間としてのバランスがとれるようになるのではないでしょうか」

「JALファン」を増やす夢

――ありがとうございました。最後に、夢を教えてください。

 「大きな目標としては、JALファンをもっと増やしたいですね。具体的な業務では、路線開拓やダイヤ作成などを通じて、利便性が高くサービスが行き届いた航空会社を実現したいと思います。人間という意味では、『この人に任せておいたら大丈夫』といわれる存在に成長できたら嬉しいですね」

(聞き手は村山浩一)

連載【卒業までにやっておくべきこと】
(1)全日空の財津弘彬さん「英語学習と生活リズム維持を」
(2)大和ハウスの康乗佐知さん「幅広く資格や体験を」
(3)サントリーの中村曜子さん「"お客さん"を観察しよう」
(4)大和証券の水村茉菜さん「経済の勉強を。仲間も大切に」
(5)大塚製薬の大竹悠さん「ボランティア、いまに生きる」
(6)JTBの田中奈津子さん 「5回の卒業旅行で学ぶ」
(7)NTTデータの八巻絵美さん 「勉強会や交流会に参加」
(8)トヨタ自動車の田宮幸恵さん 「異文化と触れ合おう」
(9)日本航空の村杉汐音さん 「大学の授業を大切にしよう」
(10) 三井物産の中岡壮史郎さん 「目標を立ててクリア」を繰り返せ
(11)楽天の戸田雅子さん 「社会人と話す機会を作ろう!」
(12)東京海上日動の森山大志さん「内定後もOBを訪問」


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