フリーランスは好きな仕事を選べる?!
フリーランスで生きていく(3)
新年からフリーランスに関するコラムの連載を始めました。今回はその3回目として、フリーランスのメリットを、体験談を交えて紹介したいと思います。
フリーランスのメリット(1):好きな人と働ける
フリーランスになってから「好きな人と働ける」ということが、個人的には最大のメリットであると感じています。会社員だった頃は、無駄に(?)カッコイイ名前の部署に配属され、決められた席に座り、たまたま隣の席にいた上司に大変お世話になりました。偶然私は環境のいい部署で、いい人に囲まれた席に座りましたが、そこには一切自分の意見は反映されていません。全ては外的な理由(たまたま部署の人数が足りなくなったなど)で決定されました。
例えば、隣の部署に尊敬できる先輩がいて、私がその人の下で仕事がしたいと本人に伝えたとしても、それは叶わない願いでしょう。なぜならその尊敬できる先輩でさえ、自分の意見を反映させた人事異動を行うことは難しいからです。大きい組織であればあるほど、より難しくなると思います。
一方、フリーランスであれば、「その人と仕事がしたい」という要望が叶う可能性がグッと高くなります。「この人のビジネス、面白い!」と本気で思ったならば、何かしらのメッセージを送ってみてもいいかもしれません。それが金銭的な価値を生む仕事につながるかはわかりませんが、その人と関わらせてもらうことができたなら、何らかの価値を受け取れるはずです。
幸いなことに、私は今、好きな人たちと働けています。上司や部下など、余計なしがらみもなく、パートナーとして仕事をさせてもらっていることがほとんどです。もちろん、今まで一緒に仕事をしてきた全員と相性が良かったわけではありません。例を挙げると、ある小さな会社の代表取締役の方とは、全く価値感が異なり、どんなに話し合ってもお互い理解し合えないことがありました。これから一緒にサービスを作っていく段階だったのですが、根本的な性格の不一致で、すれ違うばかり。話し合っても噛み合わないことが続いたので、その案件はお断りすることにしました。そのままその人に合わせて仕事を続ける選択肢もあったのですが、自分の気持ちが入っていない、いわゆる"こなすだけの仕事"になってしまうと思いました。それではいい結果にならないと強く感じたことが、その決断に至った理由です。もし会社に所属していたら、自分の意志だけで、案件をお断りすることはできなかったと思います。
フリーランスのメリット(2):時間を有効に使える
フリーランスは24時間、365日営業。なかにはしっかりと休日を自分で決めて休んでいる人もいますが、一日完全に休み(一切仕事をしない)という人は少ない気がします。
なぜならフリーランスは、仕事の時間も場所も自分で選べるから。仕事と私生活の境目がないため、休日でもなんだかんだ仕事に手をつける人が多いのではと思います。
私の知り合いのフリーランスの方は、深夜から朝の4時頃まで仕事をして、そこから昼過ぎまで睡眠時間をとるという生活をしていました。このように、どこの時間で仕事をしようと、その人の自由なのです。会社員だとさすがに深夜から朝の4時頃までオフィスで仕事をしていたら、上司や警備員さんに怒られてしまいます。そして、昼過ぎまで睡眠時間をとっていたら、もっと怒られるでしょう。
私が「フリーランスって時間を有効に使える!」と実感したのは、市役所や病院に用事ができたときです。平日週5勤務だと、うまく時間が取れないこともありますが、フリーランスは平日の昼間でも、スケジュールを自分で調整すればOK。さらにたいてい手続きするにも、診察してもらうにも、空いてるので待ち時間も少なくあっという間に終わります。
私の周りにいるフリーランスの人の中には、毎月一回は気分転換に旅立ち、旅先で仕事をしている人も! 自由すぎるため自己管理は必要ですが、自分次第でライフスタイルをアレンジできるのは、かなり大きなメリットだと思います。
フリーランスのメリット(3):評価がわかりやすい
「実力が発揮できないのは部署の環境が悪いからだ......」「あの上司のせいで、自分は正当な評価をされていない!」。まだ働いていない大学生の皆さんでも、このようなセリフを社会人の先輩やドラマで聞いたことがあるのではと思います。もちろん、仕事ができる人は出世し、それなりに社内で評価されるでしょう。しかし、例に挙げたセリフのように部署の環境や上司によって、その評価にばらつきが出るのも事実です。
しかしフリーランスは、そのような外的要因に阻害されることは比較的少ないと思います。極端な話、自分が割に合わないと思った仕事は受けなければいいだけ。そして逆に、何らかの理由で「この人と仕事したくない」と相手に思われてしまったら、それ以降、仕事がこなくなります。
さらにわかりやすく言うと、働いた分だけお金が入ってきます。私はよく友人から「仕事のできないヤツが残業代を稼いで、仕事ができるやつより給料もらってるのって、おかしいでしょ!」というグチを聞きます。確かに会社では「働いた時間」で給料を換算されてしまうことも多いのかもしれません。しかしフリーランスは、時間ではなく能力を売っています。1万円の仕事を1時間でできれば時給1万円になりますが、逆に10日かかってしまったら......という条件が一般的。うまくいかない場合は自分の責任になる部分が多い一方で、仕事をすればするほど、目に見える形で返ってくることも多いのです。そのわかりやすい評価で余計なストレスなく仕事ができるのもメリットだといえるでしょう。
このようなフリーランスのメリットを友人に話すと、羨ましがられることもあります。しかし、フリーランスはいいことばかりではありません! デメリットについては次回、たっぷりお話ししたいと思います。
フリーライター。1991年2月、東京都出身。早稲田大学卒業。学生時代はサッカーに励み、大学女子サッカー選手権で優勝し日本一に。東証1部上場企業を2カ月で退職し、現在はライター、編集者として奮闘中。フリーライターでありながら特技はフリーキックです。ツチノコを探し求めて自転車で日本中を冒険しました。好きな言葉は「ハクナマタタ」(どうにかなるさ、の意味)。ツイッター(https://twitter.com/___hachimo___)はこちらから>>
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