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住んでトライ 新・渡来人
地方の魅力、海外の目で発掘

住んでトライ 新・渡来人地方の魅力、海外の目で発掘

 地方に住みながら土地の魅力を発信する外国人の若者が目立つ。原動力は愛着や好奇心だ。急増する訪日外国人や移住希望者に訴えかけようと、自治体などが登用する動きが広がっている。外からの新鮮な目は、地元の住民に刺激を与えている。

自治体が採用、細やかに発信

 奈良県の観光情報施設「猿沢イン」が2015年7月、奈良市の猿沢池そばにできた。県観光PRアンバサダーのブライアン・バイアーさん(29)は毎朝オートバイで出勤する。奈良は社寺や仏像が有名な古都だが、バイアーさんは「もっと奈良の自然のすばらしさに目を向けてほしい」と力を込める。

 自然に恵まれた米コロラド州の出身で、来日して約6年がたつ。新潟県に住み、多くの観光地を回って外国人向け旅行サイト「ジャパン・トラベル」に記事を書いてきた。バイアーさんのぜひとも関西に住みたいという思いと、これまでの手腕に奈良県がほれ込み、同県初の観光アンバサダーに15年7月に就任した。

 就任後、ジャパン・トラベルだけでも80本以上の記事を載せた。滝に打たれ、修験道の修行に参加し、体験をつづる。奈良市周辺だけでなく、吉野や十津川、洞川温泉といった県南部を積極的に回る。「鹿が歩く奈良公園もいいが、南部には文化と自然が共存している場所や行事が多い。外国人にとって魅力があふれている」と話す。

「奈良の自然に目を向けてほしい」というブライアンさん(右)=15年11月下旬、奈良公園で

 「ガソリンスタンドのレンタルスクーターのサービスがお得で便利」などと細かい目のつけどころも持ち味だ。「冬本番に向けて奈良にスキー場があるということを、ぜひ知ってもらいたい」

 住民から我が町を見に来て、足を運んでとかかる声が増えた。その一つ、橿原市の古い町並みが残る今井町ではジャズや書道を織り交ぜたイベントに参加した。今井町町並み保存会の若林稔会長(74)は「私たちが狙ったミスマッチの面白さを純粋に楽しんでいた。紹介記事は外国人の反響がとても多かったようで、我々にとっても自信になった」と話す。

◇           ◇

 「佐渡に来たら遊漁船がおすすめですよ。今ならアオリイカ釣り。私はまだ3回しか釣りあげたことがありませんけどね」。15年11月に東京・池袋であった離島PRイベントで、李佳●(たまへんに隣のつくり、り・かりん)さん(32)は新潟県佐渡島の観光や暮らしを来場客に熱心に説明していた。

佐渡の暮らしをPRする李さん(15年11月、東京・池袋で開いたアイランダー2015で)

 中国・長春市の出身だ。都市部の若者らが地域活性化に取り組む地域おこし協力隊員として2年前から佐渡に住む。中国の名門、清華大学で環境工学を学び、その後、東京大学に留学した。シンポジウムで4年前に佐渡を訪れると、トキが生きる豊かな自然や島の人たちの温かさに触れ、何度も通った後に島で暮らすことを決めた。

 全国では現在約1500人の地域おこし協力隊員が活動中だ。大半は日本人だが、最近は長崎県新上五島町や香川県小豆島町などに外国人が着任した。佐渡市は「外国人だからではなく、地域が求めている人材だった。世界遺産を目指す島にプラスになると期待している」(地域振興課)。

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