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「就活に有利なバイト」ってあるの?

どうする? 女子のキャリア(10)

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NIKKEI STYLE

学生が就活面接でアルバイト経験をアピールしたいと考えるのに対して、企業は学生のアルバイト経験をそれほど重視しない、というデータを目にしたことがあります。よく考えれば当たり前ですが、面接で学生が「こんなアルバイトを経験しました」と言ったところで、そこで何を得たのか、何をアピールしたいのかが伝わらなければ、「それで?」ということになってしまうからでしょう。

そういった意味では、「就活に有利なバイト」はこれ、というものがあるわけではありません。もちろん、どうしても就職したい会社にバイトで入って正社員になるという道はありますが......。今回は男女を問わず、学生時代にどんなバイト経験を積むべきか考えてみたいと思います。

就職面接では、「学生時代にしかできないバイトを数多く経験しました!」とさまざまなちょっと変わったバイトについて語る学生によく会います。また、「バイトながらも店長の代打を任され、採用や教育を経験しました」と打ち込んできた仕事について語る学生もいます。でもきっと面接官が聞きたいのはそうした事実だけでなく、その中でうまくいかないことがあったときにどう乗り越えたかとか、「この仕事が好きだ」と思えた瞬間のエピソードだとかいった、その学生自身のことをより理解できるための話なのです。

「バイト以上社員未満の仕事」を

私の個人的な意見では、学生時代にバイトをするなら、「バイト以上社員未満の仕事」をしてみるといいと思います。もちろん短期で多くの仕事を経験するのも良い社会勉強ですが、「時間あたりの仕事」を超えて、「今の自分ではできないことに挑戦したい」という気持ちを持てるような職場や仕事を探してみると、思わず夢中で働くことになり、自分にとって「働くとはどういうことか」をつかむきっかけになるかもしれません。

そういった仕事は、どちらかというと「アルバイトとしての業務がしっかりと決まっていて、社員の仕事とはあまり接点がない」という業務より、「社員の仕事をサポートする業務」だったり、「社内チームに組み込んでもらって一緒に働く業務」の方に多く見つかりそうな気がします。求人情報や紹介者の説明をよく確認してみるといいと思います。

私も学生時代には、いくつかバイトを経験しました。その中で、一番強い印象を残しているのは、大学の近所にあるシンクタンクでの「事務」として紹介されたバイトです。すごく気軽に「楽そう」「大学に近くて通いやすい」「ビルもきれい」くらいの感覚で始めたバイトでしたが、気付くと2年以上、懸命に通い続けた記憶があります。データを入力したり地図に色を塗ったり、取材テープを原稿に起こしたりといった仕事を楽しくこなしていました。社員の人々もやさしくて和気あいあいとした職場で、居心地抜群でした。もちろん、何時に会社に来て、何時までいたか、で時間を申請してお給料をもらっていました。

そんなある日、あるベテランの研究員から資料の束を渡されて、A4用紙3枚以内で内容の要約をせよ、とオーダーされました。「はい」と答えて資料を受け取ると、その人に「なぜ納期を聞かない? 自分の力量を過信するな」と叱られたのです。衝撃的で、悔しくてたまらなかったのを覚えています。

改めて納期を確認し、取り掛かってみると、これがまたすごく難しくて頭を抱えてしまいました。初めて「時給はどうでもいいから、これをちゃんと完成させたい」と思いました。懸命に資料を読み、メモを作り、納期の前日はそれこそ徹夜して要約資料を作りました。自分としてはなかなかの出来栄え。これ以上は無理と思いながら提出すると、なんと「使えない」と突き返されてしまったのです。涙が滲んできて悔しさに唇をかんでいたら、「君はボクに褒められたいだけで資料を作っている。そんな資料は使えないんだよ」とその人は言いました。この言葉も衝撃的でした。

それ以降は、取材テープを渡されて「内容を図で示すとどうなるか考えてみなさい」と言われたり、「この原則に従って展開できるビジネスを5つ、根拠と共に示しなさい」と言われたり、オーダーがどんどん難しくなっていきました。「あなたのこの仕事、時給に見合ってないわね」と別の社員にからかわれたこともありましたが、難しくなる要望に食らいついていく感覚そのものが楽しくて仕方なかったのです。

その研究員には資料を提出する度にコテンパンにやられましたが、だんだん「こう考えるといいよ」などとアドバイスもくれるようになりました。一度も褒められはしないのだけれど、私の作った資料が抜粋されたレポートを見たときは、なんとも言えない喜びが湧き上がってきたのをよく覚えています。任される仕事が増え、作業以上に自分なりに考えて発言するようになると、社員の人々の真剣で熱い話もたくさん聞けるようになり、私までわくわくしたり熱くなったり、すっかり社員の気分。卒業が近くなって辞めるときは寂しくてたまらなかったくらいでした。

「おいしいバイト」よりも......

私は自分の就職活動では、特にこのバイトの経験を話す機会はありませんでした。ただ、多くの社会人が真剣に働く環境に身を置いて、それぞれの人たちがどのように働いているのかを間近で目にしたことはとても大きな経験でした。また、「納期を守る」「自己満足の仕事には意味がない」「自分にはできそうもない仕事に挑戦する難しさと楽しさ」を学び、1時間あたりのお給料には代えられない教訓を得ました。「バイト以上社員未満」で働いたこの経験によって、自分が仕事や会社を選ぶとき、視界がぐんと広がったように感じたのは間違いありません。働く人たち全体に尊敬の念を持てたことも、1つの収穫でした。

通常、バイトは、時給や日給などの時間当たりの労働で対価が払われることが多いですから、なるべく効率よく収入を得ようと思えば、時給や日給が高いに越したことはないでしょう。男女それぞれに、時給の高い「おいしい」仕事や「少し怪しげな」バイトの誘惑があるかもしれません。

でも、これから社会に出ていく若いみなさんには、お金を得るだけでなく、社会の縮図を垣間見たり、本気で働く社会人と接したりして、「自分にとって働くとはどういうことか」を考える機会になるバイトに挑戦してほしいと思います。その経験が就活の面接でも生かせればなおよし。でもそれよりも、就活や社会に出ることへの恐れが楽しみに変わっていくことの方が、ずっとメリットが大きいように感じるのです。

撮影協力:大東文化大学

堂薗 稚子(どうぞの わかこ)
1969年生まれ。92年上智大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材系事業の営業職を経て「就職ジャーナル」副編集長、「リクナビ派遣」編集長、カンパニーオフィサー、ダイバーシティ推進マネジャーなどを歴任。13年、株式会社ACT3設立。女性活躍支援など、企業の組織開発・人材開発にかかわる調査・企画立案、コンサルティング・研修・講演などを行う。著書に『「元・リクルート最強の母」の仕事も家庭も100%の働き方』(KADOKAWA)。二児の母。

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