店名は「ForuCafe」 "あなたのための"の思いを込めて
わたしがカフェを開くまで(5)
「日曜日営業していないお店があって、そこでカフェやりたいんだよね」。
彼とその親友と話していたときのことです。
「え、それいいじゃん、やろうよ! 手伝うよ」。
他愛もない会話から、月に1回のカフェを手伝ってもらうことが決まりました。
「名前何にする?」
「副都心繋がってすぐだからさ、"ふくつな"とかどう?」
「ないないない」
「やっぱり英語表記がいいよね」
「フォルカフェってどう?ForuCafe。FOR Uでfor you。つまり"あなたのための"って思いを込めて」
「それいいね!!!」
目の前の人に美味しいを届けたい
彼のアイデアに満場一致で「ForuCafe」の名前に決まりました。
「目の前の人に美味しいを届けたい。小さな幸せを感じて欲しい」。そんな思いのこもった"FOR U"のコンセプトは、今でも私の原点です。
こうしてフレンチトースト専門店「ForuCafe」がスタートしました。1度目のホールスタッフは彼と、その親友、その従姉妹でした。
キッチンスタッフはbillsのシェフ4人に手伝っていただきました。私が手伝ってほしいとお願いしたところ、快く引き受けてくださったのです。的確なアドバイスをくださったり、効率の良いオペレーションを一緒に考えてくださったりと、とても強力であたたかいメンバーでした。(もちろんあとでbillsのヘッドシェフに怒られました。ちなみに怒られるまで悪いことをしたという自覚がありませんでした。。。。)
FacebookやtwitterなどSNSで「月に1回日曜日限定、フレンチトースト専門店ForuCafe」として拡散し、完全予約制のスタイルでスタートしました。フレンチトーストを焼くための機材の購入、全ての食材の仕入先を調整、メニューやポスター制作、お客様の予約リストの管理......。ゼロから始めるにはやらなければならないことが山ほどありました。
初日にはハプニングが......
オープン前日には、特注品のパンを取りにパン屋さんに自転車で向かいました。籠に入りきらないパンをサドルの両側に吊り下げてフラフラになりながら運んでいたことが懐かしいです。車もなく、タクシーを使うと大赤字になってしまうので、できる部分は自分の身を削ってやろうと、そんな思いでした。
バタバタと1度目のForuCafeオープンの日を迎えました。私の計画ミスでバニラアイスが切れてしまい業務スーパーで友人に買ってきてもらうという事件、予約のダブルブッキングで少しお待たせしてしまうという予期せぬハプニングは忘れられません。
それでも素晴らしいメンバーに支えられ、なんとか無事に1日を終えることができました。何より、お客様に「美味しかった」と言っていただくことが嬉しくて仕方がなくて、大きなやりがいと達成感を感じました。私の好きなことである「食」にまつわることを仕事にしたいと強く思うようになったのはこの頃からです。
応援するから実店舗を出さないか?
2度目のForuCafe出店時には、1カ月前から100人のご予約をいただいていました。そこでブリュレフレンチトーストを食べてくださった一人のお客様に「これはいけるぞ、応援をするから実店舗を出してみないか」というお話をいただいたのです。
当時の私は、料理教室やケータリング、月に1度のカフェなど単発のイベントをいわばボランティアの様な形で行っていました。その中で「単発ではなく継続したい」「学生のお遊びではなくビジネスとして成り立たせたい」。そんな思いがあったのです。そこで私は、アルバイトも単発のイベントを全てやめて、ForuCafeの実店舗を構えることを決心しました。
1992年生まれ、広島県出身。フレンチレストランのキッチンでのアルバイトをきっかけに料理の世界に魅了される。2012年8月より2カ月間、単身オーストラリアのシドニー渡り、billsサリーヒルズ店、ダーリンハースト店で修業。帰国後、料理教室・ケータリング単発のカフェプロデュースなどを手がける。13年9月に日本初のブリュレフレンチトースト専門店『ForuCafe』、14年11月にシチュー専門店『ForuStew』をオープン。15年4月に黄金比グラノーラ「FORU GRANOLA」をオープン。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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