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[ liberal arts-大学生の常識 ]

気候変動の今(3)旅の素晴らしさが
私を環境問題に誘ってくれた

authored by Climate Youth Japan
気候変動の今(3) 旅の素晴らしさが私を環境問題に誘ってくれた

 Hola! 現在、チリに留学中の大学3年の黒田琴絵です。専攻は環境学、課外活動ではClimate Youth Japan(CYJ)で気候変動の活動、サークルでは環境問題に関連する映画上映会や施設見学を企画しています。これほど環境に関心を持った背景を考えてみると、そこには旅での経験が深く関わっていたことに気付きました。旅への感謝も含めて、今日はみなさんに実体験を紹介しながら、旅の素晴らしさをお届けしたいと思います。

 旅先では風景や気候、食べ物から言葉までもが普段と違って新鮮。新しいことを経験する中、きっと今まで知らなかった「大好き」と出会うことができます。私は中学まではアジアの大都市にしか住んだことがなく、空き時間があると家で折り紙や工作をするインドア派の都会っ子でした。しかし、高校では北ウェールズの田舎町に留学し、寮や校舎からおだやかな山に囲まれた草原を眺める毎日になりました。自然への愛がどんどんと育まれ、ハイキングやキャンピングにも積極的に参加するようになり、自然が大好きになりました。

スペイン・トレドで

現地に行かなければ分からないこと

韓国キャンプ

 旅は現地に行って初めて気づくことがたくさんあることを気づかせてくれます。例えば、野生動物に関するテレビ番組などでオラウータンの生地として取り上げるボルネオ島。実際キナバタン川を小さなボートで下って行くと、すごい数の生物に出会うことができ、とても感動的でした。目の前の木にはカニザルの群れ、上を見上げれば優雅に飛ぶ鳥、川をよく見ると密かにワニが見つめている。思った以上に生き物のパラダイスと言える光景でした。

 けれども、船が支流に進んでいくと、たちまち白いペンキで綺麗に塗られた立て看板が見えてきました。その看板には「ここより先は私有地だ」と書かれてあり、境界線の先を見ると今までの景色とは一変してアブラヤシしか見えませんでした。アブラヤシのプランテーションが増えたために生物多様性の減少が起きていることは聞いたことがありましたが、自分で見てはじめて問題を実感できました。また、車で移動中、タクシーの運転手さんに窓からはアブラヤシしか見えなくて飽きてきたことを伝えてみると、「どこを見ても木に覆われているからいいじゃん!」と、思った以上にポジティブな反応が返ってきました。現地の人は完全に荒地になった土地に比べれば、今の状態は好ましいと思っているようでした。このような意見はパーム油が輸出されて得られる経済効果がきっと関わっているように思えました。

スカウ ボルネオ

どんな旅からも得られることはある

 もう一つの旅の魅力は色々な人を知り、様々な価値観に触れることができること。去年の今頃はスペインにいました。バーテンダーや路上で演奏をするミュージシャンなど、多くの人に出会うことができました。スペインは今も経済危機の影響を受けており、出会ったほとんどの人が給料への不満を抱いていました。中でもホームステイ先のグラフィックデザイナーは本業に加えて、週に3回、夜遅くまでバーで働いていました。しかし彼はどんなに忙しくても、週に1度欠かさず、実家に帰って両親と兄弟と共に食事をしていました。私ももっと家族を大切にしたいと思いました。

 どんな旅からも得ることがあると思います。旅を通して自分が知っている世界以外のことが見えてきたり、外を見ることで普段の生活や地域について考え直すことができたり、新しい「大好き」が見つかったりします。けれども、旅からより多くのことを得るためには、観光スポットを巡るだけではなく、地元の人と話してみたり、観光スポットから外れた路地を通ってみたり、現地の暮らしに目を向けてみることをおすすめします。私は3年間韓国で暮らしていましたが、韓国語ができず、友達はほとんど外国人学校にしかいませんでした。そのため、帰国後韓国の人や文化について聞かれてもなにも答えられなくて、韓国語を学ばす、地元の人と交流をあまり持たなかったことを後悔しています。

 私はチリ留学中にいろんな人と話し、様々な土地を訪れ、チリの大学やホームステーの住むコミュニティーに積極的に関わっていきたいと思います。あなたもせっかくの春休み、国内でも海外でも、旅に出てみませんか? きっと、地球環境の大切さにも気づくと思います。

2016年2月27日(土)に東京・渋谷の「Hikarie カンファレンス Room C」で、「キャリア」をテーマに企業・公官庁などで気候変動に関わってこられた方々の経験談をお聞きするイベント「Look Ahead To The Future -未来を見つめる3時間-」を開催します。詳細はこちら

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