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気候変動の今(4)海外ユースとの出会いが与えてくれたもの

気候変動の今(4) 海外ユースとの出会いが与えてくれたもの
authored by Climate Youth Japan

Climate Youth Japan(CYJ)の気候変動の今(4)

 こんにちは、環境ユース団体のClimate Youth Japan (CYJ)で活動している西田理紗と申します。卒業間近の大学4年生です。いきなりですが、皆さんは「気候変動」と聞いてどのような印象を持たれるでしょうか? 「耳にはするけど、正直深刻さがあまりよく分からない」という方が多いのではないでしょうか?

 実のところ、2年前までは自分もその一人でした。「気候変動」という言葉は知っているけれど、特段気にかけたことなど全くありませんでした。たとえ当時、太平洋の島嶼国が沈みかけているといった話をされても、知るにとどまり何の行動も起こさなかったと思います。あの時の自分は、気候変動を遠く離れたところにある問題として捉えていたのです。

 しかし、ある出来事を契機に自分は気候変動問題に関わるようになりました。それが「アクティブな海外ユースとの出会い」です。本稿では、なぜ自分が海外ユースとの接触を通じて気候変動問題に関心をもつようになったのか、そして日本ユースとして参加しているCYJでの活動から感じていることをシェアさせて頂くことで、少しでも気候変動問題に取り組むことを身近に感じて頂けたらと思います。

ネパールユース ダンス啓発

ネパールで受けた海外ユースからの刺激

 私が気候変動問題を気にかけるようになった背景には、大学3年次に半年間滞在していたネパールで出会ったニュージランド人の友人の存在が大きくあります。当時、私は大学のプログラムを通じて、ユースボランティアとしてネパールにある国際機関の事務所に派遣されていました。同い年のその友人は医学部の学生で、以前から気候変動問題に対する活動に関わっており、ユース代表として様々な国際会議に出席した経験があるような、本当にアクティブで優秀な人でした。

 当時、環境問題や気候変動への関心が薄かった私は、彼女からclimate changeという言葉を聞いても、最初は「気候変動のこと?」といった印象しか持てませんでした。しかし、彼女の思いやユースとしての活動について耳を傾けているうちに、「自分と同じ年齢でユースとして、世界規模の問題解決のために行動している人がいる」ということに、徐々に目を見開かされる思いがしました。

 加えて、ネパールでユースボランティアとして行っていた業務を通じて出会った現地の若者からも、沢山の刺激をもらいました。彼らが取り組んでいた問題領域は環境にかぎらず様々でしたが、誰もがユースとして社会を変えようと、現地の他のユースとともに精力的にキャンペーンやワークショップを企画していました。それまで自分がユースであるという自覚すらないに等しかった私は、彼らの行動力や活力に圧倒されると同時に、ただ勉強やサークルに打ち込み何もしてこなかった自分への情けなさや悔しさを感じるようになっていきました。

 ネパールで自分より何歩も先を進んでいるようなユースに出会い、十分すぎるほどの刺激を受けて帰国した私は、社会問題に対して何か行動したい、そして出来ることなら日本のユースと一緒に世界を意識しながら何かしたいという気持ちを強く持つようになりました。さらに、帰国してから大学で途上国における農業開発に関する研究を始めたことから、改めて気候変動問題の深刻さを認識するようになります。

 そんな中、自分の関心領域で日本にもネパールで見たようなユース団体がないのだろうかと探しているときに見つけたのが Climate Youth Japan (CYJ) です。日本ユースをCOP(国連気候変動枠組み条約締約国会議)に派遣したり、他のアジア諸国のユースとの交流があったりと、まさに私が思い描いていたような環境がある!と感じ、飛び込みました。

アースパレード

日本、そして世界のユースとともに動き続ける

 CYJに入ってやらせてもらった一番大きな企画に、2015年11月26-28日の3日間にわたって開催した「Conference of Youth 11 Tokyo 2015(COY11 Tokyo)」があります。これは例年COP開催地でのみ行われる現地ユースによるCOY(※1)を、フランス・パリでだけでなく世界中でやろうというフランスユースのイニシアティブによって生まれた企画です。北東アジア地域にもフランスから声が掛かり、中国・台湾・韓国のユース団体との協議を経て、CYJが主体となって東京でCOYをホストすることになりました。

 イベント開催2カ月前の時間もお金も人員もないという状況の中で走り始めたCOY11 Tokyoの準備は、海外ユースを参加者として呼ぶ国際ユースイベントであったこともあり、広報やロジスティクス、プログラムの企画・運営などすべてが一筋縄では行きませんでした。自分はCOY11 Tokyo実行委員会の共同代表として全体統括をしていましたが、経験が乏しい中で10人以上の実行委員会をマネジメントすることは容易ではなく、日々迷いと反省を繰り返しながら準備に邁進していました。

COY11 Tokyo model COP

世界のアクティブなユースが考え、行動している

 そして迎えたイベント当日。3日間という長期戦に私は不安と焦りしかありませんでしたが、そんな心配をよそにスタッフも参加者もそれぞれの強みを活かして役割を全うしてくれ、COY11 Tokyoは改めて「ユースのパワーってすごい」と感じさせてくれるものでした。真剣に熱い議論やモデレーターをしてくれた彼らの姿からは、「自分ももっと頑張らなきゃ」と背中を押される思いがしました。

COY11 Tokyoについての反省は書き切れないほどありますが、自分にとって一番大きな収穫だったのは、沢山の日本および世界のアクティブなユースが気候変動という途方もなく大きな課題に対して関心を持ち、行動しているということを実感できたことです。私たちCYJは日本ユースとして日本政府や日本の人々に働きかけることに重点を置いていますが、同時に世界の一ユースとしても活動していると言えます。COY11 Tokyoを通じて、国内で同じような関心や問題意識を持つユースとともに大きなアクションを取れたことは勿論、フランスをはじめとする世界各国のユースと連携しながら企画準備をできたことは、様々な学びが詰まった、今後の可能性を感じさせてくれる経験でした。

 気候変動問題は複雑で取っつきにくいものですが、ユースという切り口で見ると、国境を超えて沢山のユースと繋がるチャンスに満ちたものであり、お互いに刺激を与え合うプラットフォームを提供してくれます。自分は4月から就職しますが、これからも日本ユース、そして一市民としてグローバルな視野を持って気候変動問題に関わっていきたいと思っています。

※1 2005年からCOPの直前に開催されている、ユースによるユースのための気候変動関連イベントのこと。UNFCCC公認のYOUNGOがアドバイザーとなり、現地ユースが企画運営にあたる。世界中からユースが集まり、気候変動に関する講演やワークショップ、COPに向けたアドボカシー活動などが行われる。

COY11 Tokyo group

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