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マダイの体重2割増
遺伝子の技で高級魚身近に

マダイの体重2割増 遺伝子の技で高級魚身近に

 クロマグロの完全養殖技術の開発と実用化で全国に名をはせた近畿大学水産研究所が遺伝子関連技術の導入に取り組んでいる。魚の成長を早めたり、育ちやすい個体を選んだりするのが目的だ。マダイなどの高級魚の価格が下がり、ごく普通に食卓に上る日が来るかもしれない。

 関西を代表するリゾート地の和歌山県白浜町。海水浴場の近くにある近大水産研の白浜実験場では、魚の遺伝子を改変する研究が行われている。

 直径0.8~0.9ミリメートルのマダイの卵。白衣を着た研究員が卵の中にある遺伝子を微細なガラス棒で切り貼りする。「クリスパー・キャス9」と呼ばれる技術だ。

 筋肉の発達を抑える遺伝子をこの技術で壊し、マダイの成長を早める。京都大学などと協力して研究を進めている家戸敬太郎教授(48)は「生後6~7カ月後の時点で体重が(通常より)2割増の200グラムに育つマダイも出てきた」と話す。

 現在、実験場にいるマダイは遺伝子を改変した卵から育った第1世代。卵によって改変の程度にバラツキがあるため、成長の速度もまちまちだ。今後は第1世代同士を掛け合わせ、遺伝的に安定した魚種を確立する。家戸教授は「同じ養殖期間で2倍の体重になるマダイを生み出したい」と意気込む。

 遺伝子を完全に破壊すると筋肉量が増えすぎ、満足に泳げなくなる危険性がある。狙った場所以外で遺伝子を壊していないか確認しつつ研究を進めることが重要になる。商品化にはゲノム編集技術の安全性に関する議論や規制の確立、消費者の理解も欠かせない。


割安で食卓へ

 それでも通常より体が大きいマダイを養殖できれば、単位重量当たりの価格を引き下げられる。現在、マダイは養殖物でも1キログラムあたり900円程度する。家戸教授が言うように2倍の体重のマダイが安定的に供給できれば、単純計算で450円程度になる。家戸教授は「早ければ来年にも品種を確立したい」と語る。

 白浜実験場から車で約10分、本州最南端の潮岬に近い大島実験場(和歌山県串本町)では、多産で育ちやすいクロマグロを生み出そうとする試みが続いている。ここでも遺伝子関連技術が重要な役割を担っている。

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