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規制緩和は何のため(43)高速道路が地方衰退を招くって本当?

規制緩和は何のため(43) 高速道路が地方衰退を招くって本当?
authored by 戸崎肇早稲田大学教授・経済学者

戸崎肇の規制緩和は何のため

 高速道路が民営化されてから、2015年秋で10年を迎えました。今回のテーマは高速道路です。高速道路は単に移動で使う施設にとどまりません。サービスエリアの商業施設は、消費者をひきつけるようになりました。防災拠点としても見直されています。多額の費用を投じてできる高速道路の功罪を検討してみましょう。

2005年に民営化

 民営化前は、日本道路公団が高速道路網を運営していました。当時は、無駄な高速道路がどんどんつくられているとの批判がありました。多額の自動車税が徴収され、その巨大な財源をもとに、経済振興策の一環として全国に高速道路網がはりめぐらされていったのです。採算性が見込めないところまで、高速道路がひかれていったのです。

 こうした批判を受け、2005年、当時の小泉政権は、規制改革の1つとして日本道路公団を東日本、中日本、西日本の3つの高速道路会社に分割し、首都高速などの公団もそれぞれ民営化しました。その結果、各社は国から道路を借りて賃料を支払い、その一方で関連事業を行うことで収益を求められる仕組みになりました。

パーキングエリアの規制も緩和

首都圏の交通を支える首都高速(中央環状線)

 関連事業の主力はサービスエリアやパーキングエリアでの商業施設の展開です。サービスエリアとは、高速道路等に概ね50kmおき(北海道の場合は概ね80kmおき)に設置される休憩施設です。パーキングエリアとは概ね15kmおき(北海道の場合は概ね25kmおき)に設けられ、サービスエリアに比べて小規模な休憩施設のことです。ただし、これは原則的な定義であって、実際にはとても広いパーキングエリアも存在しています。

 民営化されるまでは、ファストフード店やコンビニエンスストアなどをパーキングエリアで営業することはできませんでしたが、現在ではそれも可能となり、サービスエリアに近いような機能をもつパーキングエリアも出てきました。その一方で、地方など採算性がとりにくいところでは、売店やスナックコーナー、案内所といった機能を廃止し、無人化して、合理化を進めているところも多くなっています。